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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第二期】、第5章《幻聖獣アルケミフォス、討伐!》
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-4-

「ですから! そんなことは全くないですって!!」


 アリス達が幻聖獣アルケミフォス討伐を行っていた丁度その頃、『天山ギルド本営』の拠点である天空の城にて、《黄金の聖騎士団》《豪傑のバヌワーン》《朱雀妙音》 の3ギルドGM並びに多くの幹部が集まり緊急会議を開いていた。



「ミレネ殿はそう言うが、我々にはとても信じられん」

「そもそも、今や敵対関係にあるギルドとの交流など非常識にも程がある。これは何か裏があるのではないかと勘ぐるのは、当然のことだろう?」

「ああ、全くだ!」


「だからそれは! ……単なるその場の流れで、自然にそうなったのだと何度も言ったではないか!! 

他意は無いのだ!」

「ここに至っても尚、ミレネ殿は黄昏などを擁護なさるおつもりか?」

「ふむ……こうなってくると、ミレネ殿自身も疑わざるを得ませんな」


「──!? お、お前ら、それは本気で言っているのか……?」

「……ふん。それに前回の決戦でのことも、まだこちらは納得していない。この意味、お分かりか?」

「天龍姫殿、ここは他のギルドへの示しもあります。どうか適切な判断を願いたい」

「……」



 《黄金の聖騎士団》《豪傑のバヌワーン》《朱雀妙音》の連盟3ギルドGMの申し出には、どうにも個人的な感情からなる匂いのようなものが感じられたが……しかし。


 天龍姫は困り顔にミレネをふっと軽く見つめ、それから3ギルドGMの面々に対し口を開き言う。



「仕方がないですね……。それでは、黄昏の聖騎士団に対し、厳しい〈注意勧告〉をします。

これでどうかしら?」

「いや、それでは手緩い。話にもなりません」

「ああ、ここは〈排除処分〉が適当であると思われますが?」

「おお、そうだな。『それ』ならば、こちらも異存はない」


 これには、天龍姫も唇を噛み締めた。が、深いため息をつき口を開く。



「……分かりました。『天山ギルド本営』GMの名に於いて、黄昏の聖騎士団に対し3日間の〈連盟排除処分〉とします。

これで……納得してくれますね?」

「――て、天龍姫様!! しかし、それだと……そんなのは、絶対にダメですよ!」

「ええ。それだけあれば、十分です」

「流石は、天龍姫殿。御理解頂けて、恐縮至極!」

「では我々は早速、これにて! ああ、そうそう……ミレネ殿もこれに御不満なら、この連盟から即座に出られてもこちらとしては全く構いませんよ? 

但し、我々から《狩り》の対象にされますがね。では!」


「…………」

「あ、アイツら…………もぅ許せん!!」

「待て! ……ミレネ、もぅこのぐらいで辞めておけ。此処が、引き際だ。

このままでは我々までもが、巻き添えを喰うことになる…」


「ぬあ、グランセル!! お、お前……臆病風にでもやられたのか? 

ふん。意外にも情けないヤツだったのだな……お前はっ!」

「ああ、情けなくて結構だ。それで、他のギルドメンバーを救うことが出来るのならな」


「──!?」


 グランセルからそう言われたことで、ミレネもこの時になってようやくそのことに気がついた。

 でも、それでも納得なんか出来ない。


「天龍姫様! 天龍姫様は、まさか本気でこのままアリス様を見捨になるおつもりなのですか?!」

「ミレネ……」


 天龍姫はミレネの言葉を受け、困り顔を浮か浮かべている。

 が、何時まで経っても言い訳する様子もなく黙り込み、思案気に沈んでいた。


 ミレネはそんな天龍姫に対し、次第に苛立ち始め、キッ☆と不快気な厳しい表情で見つめ、口を開き言う。



「アイツらが最初に狙うのは、間違いなくアリス様なんですよっ!! この所、連盟内での主導権がアリス様のギルドに移りつつあるのが単に気に食わないだけなんです、アイツらは! 

実に、小物だ!!」

「……ミレネ、仮にそうだとしても……あの者達3ギルドの力は、この天山にとって必要なのです。

この厳しい情勢の中。仮に、此処であの3ギルドが連盟から抜けることなどがあれば。それこそ、我々連盟に敵対する多くのギルド連盟体が連携して、宣戦布告してくる可能性があるのです。

この私には、皆をそうした脅威から守る義務があります。

3日間……とにかく、この3日間をアリスさん達が凌いでさえくれたら。あとはこの私が、あの者達を説得し納得させます。

だから、それで……解っては頂けないかしら?」


「……」

 ミレネはしかし、不満顔を天龍姫に向けたまま口を開き言う。


「……天龍姫様の考えは、よく分かりました。お立場もありますもんね? 仕方がないです……。

ですが、ならば私は私で好きにやらせて頂きますよ、天龍姫様…」


 ミレネはそう言ったあと、ギルド《グリュンセル》のGMグランセルをゆるりと真剣な眼差しで見つめた。



「グランセル、お前は天龍姫様の傍に居てあげて。私は……本日をもって、ここを《脱退》する! 

いいな?」

「――な、なんだってぇー?!」


 これには天龍姫もグランセルも、そしてこの場に居合わせた誰もが、驚かされていた。






 【第二期】、第5章《幻聖獣アルケミフォス、討伐!》おしまい。


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