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「て、訳で! 今回、我々は出来るだけ多くの城を攻略するだにゃん。
守る必要はない。取られたら、取られた以上に取り返せばそれでよし!
但し、炎のエレメント・女神イルオナが居る城だけは守る。
“オレの女”だからにゃ♪」
途端、メンバー全員が爆笑する。
実際のところ、女神イルオナの城を支配していることで、火+炎属性の恩恵が得られるからというのが本当の理由だった。
「今回は従属ギルドの《ファルメシにゃん♪》《タルタルソースは美味いでちゅ》 連盟ギルドの《黒騎士団》が仲間として加わってくれるだに。
パーティー編成については、昨日決めた通りで、配置も予定通りで行くのでぇよ、とにかく頑張って褒賞を得ようにゃん!」
「「「にゃにゃん!」」」
GMのねこパンチさんの説明とかけ声に合わせ、ギルドメンバー全員は一斉に声を上げ、わいわいと談笑し、決戦開始時間をソワソワと待つ。
そうして間もなく、頭上に《会戦開始まで、残り5分》と表示された。
と、同時に。『決戦参加メンバーリストに、あなたは登録されています。今すぐに戦場へ移動しますか?』というアナウンス案内があった。
わたしは当然、コクリと頷く。
すると、グレゴリアの街から一気に、場面は決戦場へと暗転移動する。
ここは6大城の一つ、炎のエレメントを守護する女神イルオナが居る城。今やわたし達ギルドの拠点だ。彼女は相変わらずの冷徹な微笑みを浮かべ、そこに佇んでいる。しかしその姿は、ゾクリとするほどの艶美な美しさ。
城内にはわたし以外にもギルドメンバーが次々と光を放ちながら姿を現しては降り立ち、パーティー編成を随時始めていた。
わたしも予定通り、フェイトさんや他4名のギルドメンバーと編成し声を掛け合う。
〈剣聖〉フェイトさん、〈聖騎士〉ランズベルナントさん、〈姫騎士〉マーナ……これは、友人の真中 〈大魔道師〉ネトゲ最高さん、〈神官戦士〉ぶっちゲロゲロさん、〈召還術士〉アリスでございありんす……あ、これはわたしね?
「足手まといになるかも知れませんが、皆さんよろしくお願いします」
「はは! 逆、ぎゃくw 今回もお世話になるよ」
わたしにそう優しく言ってくれたのは、フェイトさんだ。
とてもいい人なので、わたしは彼ことが何となく大好き。
本人には、勇気がなくてとても言えないけど……。
今は会話が混線しない様、パーティー内実声チャットで会話をしている。基本的にゲーム内はボイスチャットなので、耳と口だけあれば良い。
他にもワールドチャットや、ギルド内チャットが文字のみだけど、自動変換され、わたしの左手に半透明化した状態で流れている。もちろん、必要に応じそれを指先でタップさえすれば、いつでも簡単に切り替えは可能。
今は、物凄いペースで流れる文字情報をこうやって眺めているだけなんだけど。そうした情報も案外重要なので、チラチラと眺め確認しながらの行動となる。
そうして、いよいよ《決戦》開始の合図と共に、皆一斉に各城へと向かい走り出した――!