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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第二期】、第2章《新たな仲間》
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-1-

 はいっ! 長らくお待たせ?しましたぁあー!!(←実際、ムダに長かった

 いよいよ第二期、第2章《新たな仲間》投稿開始致します! 


 今回も、かなりシンプル? 但し、作品の中では今後、大切になる新たな仲間が登場となりますのでお楽しみに!


 それから、アリスの“ゲーム内貧乏”ぶりは相変わらずです・・・(泣






挿絵(By みてみん)




「ぅは! こうやって改めてみると、わたし自身貧乏なのも問題あるけど。ギルド資産が少ないのも、相当問題があるよねぇ~……」


 柔らかな朝の陽ざしが差し込む中。7月半ば特有の茹だる暑さにも負けず。わたしは学校へ、ゆるりと澄まし顔に歩き向かいながら、スマホからも確認出来るA・F内の情報を専用アプリで確認したあと。そこでついそう独り呟き、カクリと肩を落とし、それから困り顔に苦笑った。

 

 やがて、立派な桜の木々が立ち並ぶ学校の校門近くまで来ると。スマホの画面を、吐息と共に閉じ。そのあと元気よく走り出して、笑顔一杯に「おはようございまー!」と先生方やみんなに挨拶をして下駄箱まで到着。

 そこで軽く息を整え、上履きに履き替え、テクテクと廊下から自分の教室へと向かい、階段をのんびり上がってゆく。


 と、岡部くんの姿を3階まで上りきった所にある手洗い場で見かけた。


「あ! おは……」


 それで元気一杯に挨拶をしようと思って、満面の笑みで手を大きく挙げ振ってはみたものの……その途中で、綺麗な女の子と話していることに気がついて。思わず慌て、階段側の壁際までそそくさと戻り、その場で小さくなって隠れてしまう……。



 だってさ、岡部くんと今も楽しい様子で話している女の子は、うちの校内では凄く有名な学園のアイドル的存在。


 その彼女の名前は、花藤璃奈はなふじ りな


 壁際に張り付いたままで、その様子を興味津々にソッ……と横目で窺い見る。


 2人はとても熱心に互いに話し合い、急に愉しそうに笑ったりもしている。


 とにかく、凄く仲が良さそうだった……。  

 わたしはそれを見て、思いがけず、チクリと心が痛む。


 でも、何で??



「花藤さんかぁ……。美人だし、岡部くんと並ぶと、なんか凄い絵になるなぁー…」


 切れ長の目に大きくハッキリとした瞳、肩まである綺麗な癖のない艶のある黒髪。とても整った美顔に、スラリとした身体と、わたしよりもありそうな、胸……。


 流石に学園のアイドルと言われるだけあって、とても綺麗。

 まぁ、わたしだってたまになら可愛いとか言われることはあるけど。流石に、あれには勝てそうにないよ。


 は、ハハ……。



 そう言えば、最近の岡部くん。前に比べたら、素っ気なくなって来ているな? とは思っていたんだけど。



「……そっか。そういうこと、なんだ…」


 何だか合点がいった。


 岡部くんの気持ちに対し、わたしはいつまで経っても何一つ応えることなく過ごしていた。

 それどころか、どちらかといえば太一の方に好意を寄せている態度も多かったと思う。


 実際、そうだったし……。ただ、



「これからは……ちょっと淋しくなるけど、仕方ない…よね?」


 いつまでも、今の関係のまま皆と仲良く一緒に居たい、そう願い思ってた。

 だから太一との関係も、わたしは曖昧なままにしてる。


だってさ、今の関係が壊れるのが、何よりも怖かったから……。


 でも、岡部くんだって自由に恋愛したいと思うのは当然なことで。それはきっと、自然なこと。

 


 間もなく、階段の所で隠れていたわたしに岡部くんが気づき、手を挙げ、声を掛けて来たけど。わたしはそこで作り笑いを浮かべ、2人の邪魔にならないよう、わたしなりに気を使って、同じく軽く手を振りふりしながら、愛想良くそのままゆっくりと後退り。知らず知らずのうちに、その場から走り初め、逃げ出していた。




「ねぇ、アリス知ってる? なんか最近、岡部くんとあの花藤さんがよく話しをしてるんだってよ」

「あ……それなら今朝、丁度、見たばかり…」


 今日もいつものように、学校の屋上で真中と楽しく一緒に、ご飯って雑談ってると、その話が出た。


 わたしとしては、かなりホットなニュース。



「え? 見たの??」

「うん。凄く仲良さそうだったよ? それに、とてもお似合い、って感じだった」


「そっか……何だか淋しくなるね?」

「……ぅん。実を言うとね、わたしとしては……出来たら、真中にくっ付いて欲しかったなぁ…」


「──え?!」

「だってさ! そうすれば、今まで通りの関係でやっていけたと思うから」


 真中は頬を真っ赤にして、わたしの話を聞いている。

 それから照れくさそうにして、どこか困り顔に口を開いた。

 

「理想はそうかも知れないけど……そんな言うほど、簡単なことじゃないよ。相手の気持ち、次第だから……」


 それから元気なく俯き、更に繋げてきた。


「それに、アリスは本当にそれでいいの? だってアリスも、岡部くんのこと、少しは好きなんでしょ?」

「──え?!」


 真中からの思ってもみない言葉に、わたしは絶句し、頬が朱色に染まる。

 いや、もぅ全身朱色かも?? 何故か心臓の鼓動まで、ドキドキ早くなるから、参る。


「いや! ない、ないないない!!」

「あるよ!! だってさ! 端で見ていて、たまに感じることあるし。私にいつまでも遠慮なんかしてないで、一度素直に言ってみ! 

どうせ、もぅ終わったことなんだから、気にすることなんかないよ?

それに、言わないで済ませると……あとで後悔するかもしれない…」


「……」

 たぶん、真中の言う通り……なのかも知れない。

 でも、今改めて考えてみたけど、自分の中にまだ迷いがあるのに、告白なんてとても無理。


 それに、フェイトさんに対するこの想いは、単なる憧れで済まされるけど。太一へのこの想いは、だったらなに??


 わたしには、まだその違いがよくわからない。気持ちの整理すら、まだ出来てなかった。


 それよりも今は、このまま皆と一緒に愉しく過ごすことの方が、大事に思える。それが今の、わたしの素直な想い。

 だから……これまでずっと、無意識に本当の自分の気持ちに蓋をして、誤魔化して来たのかもしれない。

 この今の関係が、壊れるのが、一番イヤだったから……。


 そのことを真中から今、改めて気づかされた。



「そういう真中は……岡部くんに告白とか、したの?」

「──!?」

 

 真中は再び、元気なく俯いた。

 たぶん、まだ告白してない、ってことなんだと思う。


「……どうして?」

「そんなの……聞く前から、分かり切ってるでしょ? 相手から伝わってくる雰囲気で、大体わかるよ。

だって、考えてもみてみ! 私は、アリスほど可愛いくないし。花藤さんみたいに、美人じゃない。性格だって、特に際立ったものなんてない」


「でも、そんなの、言ってみないと何も……!!」


 わたしはそぅ言っている途中で、言い切るのを辞めた。

 だって自分も、そんなのちゃんと出来ていないから。


 それに……わたしとは、また違うことで悩んでいる真中に、追い討ちを掛けるような気がして。


「……ごめん。そうは言っても、なかなか言えないよね? かなり勇気とかも必要だし。わたしだってまだ、とても無理だし……。怖いし。

でも、真中」

「?」


「真中は今、自分に魅力がないようなこと言ってたけど。それは違うよ! 

だってさ、わたしは真中のこと、大好きだから!!」

「──!!」


 わたしの言葉を聞いて、真中は涙目に、わたしを見つめてきた。

 それを見て、わたしは照れくさく感じ、更にこう繋げる。


「それにさ……少なくとも胸の大きさでは、真中の方が勝ってると思うよ?」

「──へっ?」


 きっと最後の余計な一言が無ければ、感動で終わったんだろうけど。その言葉を聞いて、真中は「くっくっ」と困り顔にも吹き出し、つぎに嬉しげに笑い始めていた。 


 何だか複雑な気分だけど、まぁいっか?


 

 わたし達が、そんなこんなで笑顔で笑い合っていると。いつものように岡部くんと太一、そして……驚くことに、あの花藤璃奈さんまでもが、こちらへ向かって歩き近づいてきたので参る。


 わたしは、途端に緊張した。

 まさかの、『恋人出来ました宣言!』なのかなぁ? と思ったから……。


 隣をみると、真中もわたしと同じで、困ってるみたい。



「アリスに榊原、紹介するよ。実はな、コイツなんだけど……」

「あ! し、知ってるよ! 岡部くんの、新しい彼女さんなんでしょ? いま、付き合ってるんだよね??」


 岡部くんが先に言う前に、わたしは無理をして、元気一杯な笑顔を見せ言ったのだ。


「は? アリス、お前はまたなにを言って……」

「誤魔化したって無駄だよ? このところ、校内ではお2人さん、凄い噂になってるんだから。『美男と美女が、とうとうくっ付いた』ってね……?」

「ぅん……実際にさ、凄くお似合いだと思うよ? 岡部くん、良かったね!」


 わたしが苦笑い気味ながらも、笑顔でそう言うと。岡部くんはなぜか、かなり不機嫌な顔を見せてくる。

 それから困り顔で軽く頭を掻き、横目でこちらをジッと見つめ、口を開いてきた。


「ばーか、良くなんかねぇーっつの。アリスに真中、お前ら2人、間違いなく勘違いしているぞ」

「え? なにを??」

「何もかもですよ、アリス」


 最後にそう言ったのは、太一だ。

 そしてその時、花藤璃奈さんはため息をつき。その細い腰辺りに軽く手を添え、折角の整った顔から呆れ顔を漂わせて、その形の良い唇を開いてくる。


「おい、足手まとい……お前は、仮想世界だけでは飽きたらず。現実世界でも、リアルに『バカ』なのか?」

「──へ?」


 その台詞とか言い回し、どこかで…………でも、どこでだっけ??


 わたしがそう思う間もなく、花藤さんは自身の学生手帳を内ポケットから取り出し開いて、両面一杯に自分の名前をサラサラと書き。そこへ、フリガナとアルファベットまで書き足し、わたしと真中にその学生手帳を『ビッ!』と開き見せ言った。



「これ、何度か連続して読み返してみな!!」

「え? あー……カトウ、リナ?」

「あれ? 名前、『はなふじ』じゃないんだ? いま初めて知った…」


「もちろん本当は『はなふじ』、でもゲーム内ではそれをひねって名前を付けたのよ。

理由、分かる?」

「え? ……不正に特定されないため、かな?」

「あ、そっか。特にわたしたち学生だから、そういうところ気をつけたがいいからね?」


「まぁ、そういうこと。そこまでバカではないみたいで、安心したよ」


 ──ぐは!


 もぅ何というか……散々な言われ様だなぁ…? 思わず泣けてくるよ。


「は、ハハ……まぁ私たちも、本名で登録なんかまずやらないもんね?」

「まぁね! それにしても、カトウ……リナさん? 

えと、誰だっけ??」


「ああーもうー!! 勘の鈍いヤツだなぁあー! とにかく、何度も連続して読み返してみな!!」

「あ、はい!! カトウ、リナ……カトウ、リナ、カトウ、リナ」


「はい! そこ、わざわざ分けない! カトウリナ。前後、繋げて読み返す!! 

もし……それでもまだ分からなければ、一度OをEに変えてみな?」

「え? あ、はい!! 

カトウリナ、カトウリナ、カトウリナ、カテウリナ、カテ……ウ……カテ? 

……E? ──あ!」



「「まさか、『カテリナ』さん?!」」



「正解♪」


 わたしと真中は互いに顔を見合わせ、何しろ驚いた。

 ていうか……あれだけ散々悩んでいたの、何だったんだろうね??




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