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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第二期】、第1章《新GM誕生!!》 
52/213

-3-

「それにしてもさ。あれは流石に、ビックリだったよねぇー?」


 次の日のお昼休み。

 いつものように学校の屋上で真中と一緒に楽しくお昼ご飯して、昨日のことを話してた。

 真中はそこでクスッと笑み、愉しげに言う。


「あはは♪ でも、それもありかな?って私は瞬間だけそぅ思ったかな。アリスがGMって、なんだか面白そうだし。せっかくだから一度、やってみたら?」

「ぅわ! そんな他人事みたいにさぁ~……わたしは真中のこと大・大・大親友だと思っていたのに、ヒドいよ!」


「あ! ごめん……。でも、何もからかってイジワルで言ってる訳じゃないんだよ? ギルドのみんなだってさ。あの時、誰も反対はしなかったでしょ?」

「あ……まぁ、それはそうなんだけど……」


 言われてみたら、確かにそうなんだけどさ。

 でもさ、わたしみたいな地雷がGMとか……やっぱり有り得ないと思うんだよねぇ~……。


 わたしは『ほぅ…』と空を見上げ、困り顔にも苦笑い軽くため息をつく。



「よっ! アリスに榊原、今日も仲良くやってるな」


 そんなところへ、いつもの様に太一と岡部くんが笑顔で軽く手を挙げやって来た。


「丁度いいところへ来てくれた! 太一も岡部くんも本当のところ、わたしがGMとか有り得ない、って思っているよね? でしょ?」

「いや……オレは案外、それも有りかなと思っているけど?」

「ええ。僕も、アリスがGMなら異存なんて何ひとつありませんね」


「──は? なんで??」 


 2人の返答は、わたし的に意外過ぎた。

 実際、わたしには太一たちが何を考えてそんなことを言っているのか、まるで意味がわからなくて思わず困惑顔。

 それなのに、何故か2人とも澄まし顔! ついでに、その2人の言葉に対する真中の反応が気になって隣を驚き顔にソッと目をやると、やはり同じく澄まし顔!?


 それの何が問題なの?って顔をしてるからさ、わたしは自分が変なのかなと思って慌てた。


「いや、だって、あの黄昏のGMなんだよっ! しかもわたし、地雷なんだよっ!!」

「ああ、そんな些細なこと気にしていたのか? だったら何も心配はないよ。GMをやるのに、キャラの能力なんて一切関係ない」

「ええ。GMをやりこなすセンスと、ゲーム内プレイヤーとしての強さは余り関係ありませんからね」


「え? …………そういうもの、なの??」

「ああ、意外に思うかも知れないが、案外そんなモンだよ? 

それにな、例え何か問題があったとしても、オレと太一とで何とでもしてやるから、安心をしろ」

「ってことで、もう決まりにしても良いですね? アリス」

「やったね、アリス!!」


「へ? いや…………いやいや!! 待って、待って!」


 急にそんな……冗談にも程があるよ!

 そもそも、わたしがGMなんて……今まで考えたこともなかったから、正直いって参る……。

 だいたいさ、別に太一たちのことを疑う訳じゃないけど。本当に、そんな簡単にGMなんてできるものなの??


  ◇ ◇ ◇


「ええ。意外とGMなんてそんなものですよ、アリスさん」

「へ?? そ、そういうものなのですかぁ?」

「というよりも、アリス様!! 是非とも、GMをやってくださいませ! そうすればこのミレネ、及ばずながらアリス様の元へと何時でも馳せ参じまして、幾らでも助太刀致しますので、御安心くださいませ♪」


 その日の夜。

 わたしは早めの時間からアストガルド・ファンタジーへとログインし、天龍姫さんとミレネさんにGMの件で困っていたので相談してみたんだけど。返って来た言葉は結局のところ、太一たちのとそう変わりないものだった。


「実のところ、このわたくしだって同じで……形としては、天山ギルドのGMをやってはいますが。GMといっても、わたくしなどはただの象徴みたいなもので。内実は、これまで全て泰然に任せ切りでしたので、それで困ってねこパンチさんに執行部役員を願ったほどなんです」

「そ! そうだったんですかぁ……?」


 何だか聞いてみると意外だったので、ちょっと驚いてしまう。

 だって天龍姫さん、見た目から凄くしっかりしてそうだったからさ。


「でもアリス様が求められているのは、天龍姫様のとはまた種類が違って。対外的な外交力とか、ギルド運営能力の方かもしれませんよ?」

「へ?」


 外交とか運営能力とか言われても……それこそ、とても無理だと思われ…。


「あ、それもそうですね! アリスさんがGMとなれば、外交関係はそれで解決したも同然ですもの。

あと残るは……運営の方くらいなのかしら?」

「いや……待って、待ってくださいよ!」


 なんでわたしがGMになれば外交関係が解決してしまうのか、かなり不明過ぎるのですが??


「無理ですよ、無理! わたしには外交とか、とても……経験なんか、まるでないし!!」

「なに言ってんですか? それならばもぅ既に、ちゃんと出来てるじゃないですか」


 わたしは意味が分からず、キョトンとなる。

 そんなわたしを天龍姫さんとミレネさんは驚き顔のあと肩をすくめ、口を開いた。


「……念のために言って置きますが、アリスさん。わたくしはこう見えても、『天山ギルド本営』のGMも務めているのですよ?」

「……あ!」



 ──まさか、そういうことなのっ??



「えっと、コホン!! 言っておきますが、アリス様。この私ミレネも、ギルド《グリュンセル》のサブGMなんですから、侮らないで下さい! 

それに、これから南西シャインティア内の情勢がどうなるか次第にもよりますけど。取り敢えず現段階でいえば、『天山ギルド本営』との強いパイプ及び信頼関係があるかないかで、南西シャインティア内に於ける外交関係は、《安泰》と決まったのも同然なんです」

「ええ……幸いに。今回も多くのギルドが、『天山ギルド本営』に加盟してくれましたからね。おかげで、南西では最大の《ギルド連合体》になれました。

あ、そう言えばまだ《黄昏の聖騎士にゃん2nd》からの加盟申請の方がまだ届いてないのですが……」

「え? それならば、ねこパンチさんかフェイトさんに一言伝えれば、直ぐにでも申請が届くかと思いますよ?」


 わたしがそう言うと、天龍姫さんは艶美な微笑みを浮かべ口を開く。


「いえ。わたくしとしては、それをアリスさんに是非、お願いしたいのです」

「つまりは、アリス様のGMとしての初仕事ですね!! 頑張ってください!」

「ぅわ!! まさかの、『そっち』でしたか……」


 わたしは困り顔に頭を抱え込む。それから2人に苦笑いを浮かべ向けた。


 これはもぅ、やってみるしかない流れっぽいのかも?

 だけど何だか思わず、ため息が出てしまうよ……。


 だってさぁ、本当にわたしなんかで大丈夫なの??

 自分でいうのもなんだけど、ギルドの先行きが色々と心配になってくるよぉ~……。


 わたしはそれとなくそぅ思い、軽くため息をついた。




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