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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第二期】、第1章《新GM誕生!!》 
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-2-

「へ?! それってどうゆうことなんですかぁ??」


 首都フェル=ベル内に設けたギルド集会所へ到着して間もなく、わたしは驚くような話を聞かされていた。


 ギルド集合場所といっても、小さな3階建ての一軒家。皆が集まり話し合うには、正直なところこれでもまだ狭過ぎるけど。ニューワールドが始まってまだ日も浅いということもあり、ギルド資産が少ないので仕方なかった。


 この建物は、中央部分的が二階まで吹き抜けとなっているので、二階部分に居る人たちになら話は聞こえる。なので、手狭ながら仮のギルド拠点としては、取り敢えず都合のいい造りになっていた。


 それに今は、それどころの騒ぎじゃない!


「いやまぁ、みんなには大変申し訳ないことになっておるにゃりが……天山ギルドの要であった山河泰然殿が、まさかの勢力移籍失敗したにゃので、『天山ギルド本営』の執行部役員にと天龍姫殿に頼まれ、断れなかったのにゃ。

そんなことにゃので、皆には本当にすまぬ……」

「そ、そんなぁ~……それって、断れなかったんですかぁ? というよりも執行部に入ると、GM止めないとダメなんですかぁ??」


「――あ、いやっ?! そ、そぅいう訳ではないのにゃりがなぁ……」

「アリス、あまり無茶を言うなよ。ねこパンチさんだって、リアル仕事の合間を縫うようにして、これまで結構コレで無理してGMをやってくれていたんだ。これからは執行部役員だけでも、大変なことになる。

その上、これまで通りうちのGMも続けることなんて、頭で考えるほど簡単に出来ることじゃない」

「そ?! そぅ、ですよね……すみません。考えが足りませんでした……」



 フェイトさんから厳しくそぅ言われ、わたしは元気なく俯き謝る。

 実は、今回のワールドリセットで約3割の人が勢力移籍を失敗していた。話によると、北西アストリアや南東ワイズヘイルに至っては、約6割の人が勢力移籍で失敗しているらしい。

 それを考えると、わたし達はまだマシだったことになるんだけど。でも、実はうちのギルド内でも数名が勢力移籍で失敗していて……。わたしがよく個人的にとてもお世話になっていたギルド補佐官のネトゲ最高さんも今回、移籍失敗していた。


 そのことを後日知り、思わず泣きそうになったくらいだ。


 他にも、ぶっちゲロゲロさんが移籍失敗している。

 現在のうちのギルドメンバーは、前回の最大定員であった60名から49名にまで、大幅に減っている。



「どうやら運営は僕たちが思っていた以上に色々と想定し考えていたようで、強いギルド同士が今回の我々みたいに連携し組んで移籍しないよう、例え移籍希望者数が少ない勢力を第一希望に設定したとしても、そう簡単にはいかないようにしていたようです。

おかげで、他のギルドでも勢力移籍失敗者が続出しているようで……」

「只でさえ、ギルドレベルキャップが10から20にまで一気に引き上げられ、新規のギルドメンバーの確保が大変になるのに。実際、これにはかなり参ったよ……」


 そう、前回はギルドレベル最大にしてもギルドメンバー60名までだったのが。今回からギルドレベルキャップが解放され、これまでの2倍となる120名まで加入可能となる。

 といっても、まだギルド自体のレベルが低いので、その辺りの心配はまだまだ先のことになるんだけどね?


 今回はその他にも、ワールドリセット後から導入された新システムが色々とあるから、それらを覚えるだけでも、しばらくは大変なことになりそうだよぉ~……はぁ。


 わたしがそう思いため息をついていると、フェイトさんがそんなわたしを呆れ顔に見つけ口を開いた。


「まぁそんな訳で、新しいGM……ギルドマスターをこれからみんなで決めたいと思う。

話し合いで決めるのもいいし、多数結で決めるのもいい。また、立候補したい者が居るのなら、優先的に任せたいと思う」

「とりあえず、GMを一度『やってみたい』、または『やりたい』という方は、この場で手を挙げて頂けますか?」


 太一こと、ランズベルナントさんが普段フェイトさんに続いて皆にそう聞いていた。聞いてはいるけど、なかなか居ないだろうなぁ?と思っている中、意外にも1人だけ手をスッと挙げる人が居たので驚く。 


 しかもそれは、まさかのカテリナさんだ!!


 最近では、苦手意識は段々と薄れ無くなっては来ているけど。だけどあのカテリナさんがGMというのは、流石にまだそれはちょっと……辛いかも?


 太一ことランズベルナントさんとフェイトさんも、そこで困り顔で互いに顔を見合わせている。


 どうやら2人も、あまり歓迎していないみたい。

 わたしがそう思い見つめる中、フェイトさんが口を開き聞いた。


「……カテリナ。お前、ギルドマスターなんかやってみたいのか?」 

「いや、違う。そんな面倒くさそうなこと、やりたいとは思わないよ。だって実際、面倒なんだろう? そうじゃなければ、ねこパンチさんが辞める筈がない」


「……? だったら何故、手を?」

「推薦でもいいのか? と思ってな……」


 

 推薦!?

 あ、なるほどっ! 『そっち』でしたか!!



 わたしとしては取り敢えず、カテリナさんがGMをやろうとしていないことを知り、ホッと無い胸をなで下した。


 まぁ……カテリナさん本人には、とても言えないことなんだけどさぁ~?



「ああ、推薦ですか。それもありですね? 

それで、誰を推薦します?」


 太一ことランズベルナントさんがそう聞くと、カテリナさんは腰に軽く手を添え。そのあと何故かわたしの方を急に見つめ、口を開いてくる。



「おい、足手まとい! お前、GMやってみろ」

「──はあーっ!?」


「「「──へ!?」」」



 これには、わたし以外のみんなも想定外だったらしい。

 そりゃあ、そうだよねぇ~……。




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