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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第一期】、第6章《南東ワイズヘイル城、攻略戦!!》
39/213

-6-

「お! 今日は早いですね」

「うん、なんとなくね?」


 集合場所へと到着すると、太一ことランズベルナントさんが笑顔で声を掛け迎えてくれた。

 わたしも同じく、笑顔で返す。


「皆も早いね? いつもこんな感じだっけ??」

「ハハ、決戦の時は割とこんな感じですよ」


 あは、あはは……わたしはいつも開始30分前のログインだったから、知らなかったかも? その直前まで勉強やったりとかしてるからね。それでいて成績微妙なのが泣けるけどさぁ~……。



「それで太一、作戦は昨日の通りでいいの?」

「それが実は……その件で今、意見が別れていまして……」


 意見が別れてる??

 わたしはキョトンとし、聞いた。



「それって、どういうこと??」

「思ってもみない情報が入って来たんですよ、アリス様♪」



 ──ぅわ!! び、びっくりしたぁあー!

 急にわたしの真横にミレネさんが現れ抱き付いて来るなり、耳元でそう言い、そのままゴロニャンしてきたのだ。

 

 わたしはその様子を苦笑い見つめたまま、口を開く


「こ、こんばんは! ミレネさん!!」

「ノンノン。アリス様、そこ間違ってますよ」


「……え? なにが??」

「ですから、そこはこんな感じで『ミレネ、こんばんにゃん♪』とキッチリやって頂かないと……」



 ──ぅわ! 今の、めちゃくちゃ可愛い!!



 わたしは思わず、そんなミレネさんを幸せ満面の微笑みでギュッと抱き寄せた。


「ミレネさん、今のヤバい、可愛いよ!! 絶対、次のワールドでも一緒になろうね!」

「──?! も、もちろんですよ!!」


 ミレネさんはそう言うと、わたしの胸辺りの微妙なところをまたしてもスリスリしてきた!!

 あ、いや……だからその辺りは結構ヤバいところなので勘弁してもらいたいのですが……いくら草食系女子なわたしでも、そこは流石に、それなりに感じ不可抗力にも反応しちゃうものがあるので……参るよ。


「ミ、ミレネさん! それでその情報って??」


 わたしはミレネさんを軽く引き離し、焦りながら聞いた。もぅ頬とか身体中が熱くなって、真っ赤だったけどさぁ~……。


「……アリス様、可愛い♪」

「──うっ!!」


 近くに太一が居るというのもあるけど、バレると恥ずかしいのでもぅ勘弁して欲しいよ……。


 わたしはそんな思いで頬を真っ赤に染めたまま、ミレネさんを困り顔に見つめた。

 するとミレネさんもそこは分かってくれたみたいで、軽く咳払いし、話を本題に戻してくれる。


「実は、うちの領地内に侵攻してきた総数が、シャインティアの軍勢も合わせ150万名規模らしく……」



 ──ひゃ、150万!?



「その為、ワイズヘイル城付近はいま手薄だという情報が入って来てですね。それで南西シャインティアではなく、このまま南東ワイズヘイル城を落とすべきだ、という意見が出ておりまして……。

何でも、うちの勢力へほぼ全軍を出しているらしく。あとは中央平原に抑えとして、10軍程度。ワイズヘイル城付近には少なくとも、冬馬殿のギルド連合体所属の軍は現在不在。

本拠地である城の防御は、他の連合体に任せてある感じなんだそうです」

「流石に、本拠地の城が危険だと感じて動かない連合体はないだろう、という冬馬殿なりの考えからそうしたらしいのですが。今回は、この思い切った作戦に面白がって乗った連合体も数多いらしく、結果として150万規模にまで膨れ上がったそうです。

これについては、冬馬さんも予想外だったのでしょうね?

なので、これを絶好の機会と考えるかどうかで今、意見が別れてるんです」

「そうは言うても、ワイズヘイルは平均してレベルの高い勢力にゃ。組織的軍が城付近に存在しないとしても、そう易々と落とせるとは思えにゃいにょにゃで……今、泰然殿と対策を話し合っておるところにゃが……」


 途中から、こちらに気づいたねこパンチさんがやって来て、会話に参加してきたのだ。

 わたしはそれとなく笑顔で挨拶する。


「じゃあ、ねこパンチさんとしては南西で良い、ということなんですか?」

「ぅむ……まぁそこも判断の難しいところにゃりが…少なくとも陥落を目指し、数軍ほど送り込むつもりにゃが……」


 なんだか今日は、歯切れが悪いなぁ?

 それだけ北西アストリア領が、危険な状況にある、ってことなんだろうけど……。

 何せ相手は、総勢150万……。南西シャインティアの主力軍までもが来てる訳だから、楽な筈がないもんね?


「どうやら情報によると、それでも冬馬殿自体の指示は依然として変わりないらしく。『ワイズヘイル城は何とかする、その前に相手の城を何とか陥落させて欲しい』ということで、恐らく動きに変化はないそうです」

「……つまり、ワイズヘイル城を攻めたところで、うちの領地内の状況に変化は見込めない、ということにゃでな」

「だから先に私達がワイズヘイル城を陥落させちゃえば、一気に状況は変わりますって! ここは一気に、攻めましょうよ!」


 ワイズヘイル城を陥落??

 わたし達デッキパーティーだけで、本当にそんなことが出来ちゃうの?


 わたしが不安顔にそう思っていると、太一ことランズベルナントさんが思案顔に口を開いた。

 

「……冬馬殿も何も無策に『大丈夫』などとは言わない筈です。彼なりに策があるのかもしれない。そう考えるとやはり、ここは南西シャインティアを攻め落とすのが良策ではないかと、僕には思えます。そうすれば、北上しているシャインティアの軍勢だけでも消滅させられますから」

「お前! そんな相手倒したって、つまらないとは思わぬのか?! ワイズヘイル城攻略の方が盛り上がって、楽しいに決まっている!!

ね、アリス様もそう思うでしょ?」

「え? 確かに、そういう考え方もある……かな?」


 これが最後の大決戦だもの。どうせなら最後のお祭りイベントとして、大いに楽しんで終わりを迎えるのも良いのかも知れない。

 それで結果ダメだったとしても、最後まで楽しめるのなら、それでいいような気がする。


「わたしも、ミレネさんの意見に今回は賛同します! 

だってさ、これで最後なんだよ! だったらさ、楽しい方を単純に選んでやるのが良いと思わない? 少なくとも、わたしはそう思ったの。

もちろん、フェイトさん達の最終的な判断に従うつもりなので、これはわたし個人の一つの意見として、なんだけどね?」

「……ぅん。アリスの言う通りだな」


 ──ぅわ!

 誰かと思えば、フェイトさんだ!!


「確かに、南西シャインティアを陥落させるよりも、南東ワイズヘイル城を陥落させる方が、よりスリリングで楽しめるのかも知れない……。

陥落困難なのは、どちらにしても同じだと思う。

ねこパンチさんとしては、どちらでも構わないんですよね?」

「……ぅむ。南西シャインティアを陥落させるというても、やはり時間が掛かるにゃでにゃ。その頃には、うちもかなりやられておる頃にゃので。どちらに転んでも、厳しい状況であることには変わりにゃいにょにゃ。

なので、そこは任せるにゃで頼む……」

「だったらもぅ、迷う間でもないですって! 今すぐ、ワイズヘイル城攻略で決定にしろ、フェイト!!」

「……その話、とても面白そうですね? 私もそれに乗らせて頂きますね」


 天龍姫さんだ。

 相変わらずの優しげな微笑みを浮かべている。何だか凄い説得力があるから、不思議。


 それを受け、フェイトさんは頷き軽く笑みを浮かべ口を開いた。


「……って訳で。ランズベルナントには悪いが、多数決でワイズヘイル城攻略に決定させて貰うよ」

「ハハ。まぁアリスの話を聞いて、僕も意見が急に変わりました。

僕も、ワイズヘイル城攻略に賛成します」



 それを聞いて、その場に居合わせた仲間全員が満面の笑みを浮かべ、間もなく始まる大決戦を心待ちにする。


 そうしていよいよ、最後となる大決戦後半の始まりだ!


 間もなく運営より、大決戦開始のアナウンスが始まり。わたしは直ぐに、大決戦場へと暗転移動した。




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