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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第一期】、第6章《南東ワイズヘイル城、攻略戦!!》
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-2-

 わたし達は西側の1軍へと高速で走り向かい、先制攻撃を仕掛けた。というよりも、大弓のミレネさんの超・長距離攻撃精度が凄いだけの話なのですが!


 続いて、天龍姫さんが素早く敵パーティー陣の中央へと職種スキルで大ジャンプして踏み込むなり、華麗に一閃し。2本ある片手槍を最大限長めに持ち、8の字を描くが如く舞うかのようにして高速回転させながら、スキルを連続発動し、相手をなぎ倒しまくる。

 最後は大スイングしながらクイックバックで後方回転し、その場で油断なく身構え決めていた。


 それにしても、桁外れに強いな……!!


 そんな天龍姫さんの脇を、わたしやフェイトさん達は走り抜けながら声を掛けた!


「お見事! オレ達も遅れないよう、行くぞ!!」

「言われるまでもないさ!」

「アリス、補助系は今回フォローパーティーが請け負ってくれることになってるから、無理はしないで! 

基本的に《ゴッデス・ウィング》と《ステルス・ホールド》《ファルモル》だけでいいから!」

「は、はい!!」


 走り向かい戦闘を開始する中、わたしは相対する相手の動きに留意しつつ、南や北と東からの動きを気にして少しだけ振り返り見た。

 すると不思議なことに、南側の南西シャインティアの軍勢は、こちらへやって来るのに。北と東の南東ワイズヘイル軍は、その動きを緩めじりじりとこちらへ近づきながらも、静観の様子をみせている。


 なんでだろ??

 まぁ、その方が助かるんだけどね?


「……やはり、そうしますか」

「え? どういうことなの、太一……あ、ランズベルナントさん!」


「恐らくあれは、冬馬殿からの事前指示に黙って従ってるだけです。

仮に南へ向かった場合には、突破された際のリスクを考え、『追撃』せよ。ですが、西に向かった場合には予定通りなので、そのまま『手出し無用』。

南西勢力と北西勢力の我々が、勝手に潰し合う訳ですから。南東ワイズヘイルからすれば、まさに『漁夫の利』という訳です」


 わたしは、太一の説明を聞いて驚いた。


「まさか、そんな先まで相手の動きとか読んでやれちゃうものなの……??」

「信じられないかもしれませんが……これまでのことを考えると、十分に考えられます。

策を仕込む際には、更にその先まで毎回しっかりと仕込んでくる厄介な人なんですよ、あの冬馬殿は…」


「……そんな」


 幾らなんでも、レベルが高過ぎるよ!

 気楽に楽しむとか、そんな雰囲気なんか軽く超えちゃってるような……??


「おい! 足手まとい!! 何をそんなトコで、ボサッとやってる! 早くお前も参加しろよ!!」

「あ、はい!!」


 またカテリナさんから怒られた。

 何も出遅れてるのは、わたしだけじゃないのになぁ……?


 西側の軍内には、1人だけランカーが居たけど。もう大弓のミレネさんと天龍姫さんが倒してしまった。


 本当に、恐ろしく強いな!!


 そんな訳で、わたしは今回もカムカの実をポリポリと食べながら、上級白魔法〈レジェヌドール〉と上級黒魔法〈ファイアスピリッツ〉の2つ魔法を発動。そして〈フェルフォルセ〉と唱えシェイキングし、召還魔法を発動させた!



「《合成召還:炎の隷ファルモル!》」



 遅れて自動連動でオープンし現れる《ターゲットスコープ》を照準合わせ、素早く指示する!


「あの者たちを、なぎはらえ!!」



 ファルモルはそこで、いつものように可愛らしくコクリと頷き、素早くロックオン・ターゲットに向かい襲いかかった。

 それで数名のプレイヤーが、紅蓮の炎に焼かれ倒れ。それで倒れていない者も、かなりの体力を削がれ、慌てて回復行動をとっている。

 が、そこへフェイトさん達が襲いかかり、忽ちの内に倒しきる。


 お見事!


 そして、その間に南側の南西シャインティアの軍勢が直ぐ近くまで押し寄せていた。



「この場で、直ぐに復活参戦するかと思ったが。幸いにも、拠点まで退避してくれたようだ。

よし、このまま西へ突っ切るぞ!! とにかく全力で走れ!」

「アリス、《ゴッデス・ウィング》を頼みます!!」

「はい!!」


 わたしは言われるがまま、2つ魔法を発動し〈フェルフォセ〉を唱えシェイキングし、《ゴッデスウィング》を発動する。


 行動速度が高まったことで、南西シャインティア軍勢との距離がグングンと開き、なんとか振り切ることに成功。

 だけど……このゲームってさ、トリップしているってのもあるけど。実際に、かなり体力も神経も使うので、もぅクタクタだよ…。コントローラーみたいに手指だけ動かせば良い、ってもんじゃなくて。ただ走るにしても、専用シューズの傾きとか結構細かい動きが求められるし。腕を動かすにも、視線を動かすにも、とにかく身体全体の動きを必要とする。

 ぶっちゃけた話、このゲームはただやってるだけで割と痩せられるし、鍛えられますから!


 ダイエットには最適かも??

 アスリートにだって、なれるかもよ!?



 ……すみません、ウソです。ちょっと流石に言い過ぎました……でも本当にしんどくてさぁ~。



「……はぁ、はぁ!!」

「……アリス、大丈夫ですか?」


 太一が心配して、優しくそう声を掛けてくれた。


「アハハ! まぁ…………なんとか?」

「アリス、辛くなったら遠慮なく言ってくださいね」


「──! ン、ぅん……」

 わたしは、そんな太一の優しい一言に思わずキュンとし。頬を赤らめながら、「大丈夫! 頑張る!!」と笑顔で返す。


 実際、不思議と元気が出たような気がしたんだよね? 身体がフワッと、軽くなったような感覚?


 と、その時。


「わ! みんな、レーダーマップみてみ! 凄い数キタ!!」

「わ、ホントだ、キタ!!」


 レーダーマップ上の西側前方に、星の数ほどあるプレイヤーマークが表示され始めていた。その数は、近づくにつれ爆発的に増えてゆく。


 だけど……コレって、まさか?!


「──ハハハ! ランカーも少しだけ混じっているようだけど、ほとんどが《カモ》だな! 

このまま、あの中へ飛び込んでも構わないだろう?」

「確かにこれは、確実にランキング入りする絶好の機会ですね?

フェイトさん、カテリナさんの意見通り、このまま向かっても構いませんか?」

「天龍姫様、そんなの聞くまでもないですよ! ここは絶対、倒しに行くべきですって!! 

アリス様も、そう思うでしょ?」

「え? あ、ぅん……かな?」


 ミレネさんからそう聞かれ、わたしは苦笑いながらも頷く。


「ハハ♪ まぁ、そもそも南西シャインティアの力を初日から削ぐのが、最大の目的でもあるから。無理のない範囲で、討伐数を稼がせて頂きますか♪」

「なんだかちょっと、可哀想な気もするけどね?」


 た、確かに!


 レーダーマップの情報からは、相手が所属する勢力情報とか、デッキパーティーであるか否かなどといった大まかな情報が見て取れるんだけど。前方無数のプレイヤー達は、パーティー編成の人達も居るけど、デッキパーティーまでちゃんと組んでなかったり、1(ソロ)プレイヤーも結構居る。


 つまりは、組織的なプレイヤー達じゃないっていうこと。


 プレイヤーの中には、大決戦のようなイベントの時にだけ、面白がって参加してくる人達も割と多い。そういう人達は概ね、レベルも低いし。普段余りやってないこともあって、パーティー編成すらしていないことがよくある。


 早い話が、倒し易い。


 なので、マーナが言う通りちょっと可哀想なんだけど。討伐数を一気に稼ぐには、そんな彼らの存在は都合が良かったりする。で、そんな人達のことを総称して、“カモ”って呼んでる訳。


 

「そうと決まればアリス、早速 《ゴッデスウィング》を頼む! 行動速度最速で倒しまくりたいからさ♪

アリスも精神力に余裕があるなら、ファルモルたんで稼ぐといいよ」

「は、ハハ……余裕があればそうさせて頂きます」

 

 でもまぁ、わたしは万が一のことを考えて、無駄な弾は撃たないで置くことにしよう……。

 そろそろカムカの実も、残り少なくなって来てるもんなぁ…。


 何せ次からは、いよいよ魔聖水での回復になる。



 ゴッデスウィング以外の補助スキルは、フォローパーティーの人たちがみんなに次々と掛けてくれる。これは本助かるよ。


 そして、フェイトさん達とフォローパーティーの人達も一斉に、そんな中へと向かい突っ込んで行った!




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