ー10ー
……それから3日が経った。
「ただいまー」
「あら、おかえりなさい。アリス」
「今日は大決戦だから!」
「わかってるわよ。手と顔を洗ってらっしゃい」
「は~い」
それからご飯って風呂って2階に上がりのんびりとした。そして少し勉強って、今日はいつもより早目に入る。AFセットを装着し、EEFドリンクを飲んでからログインした。
天空の城に光り輝きながら降り立つ。女神ファリアの周りにみんな集まっていた。わたしもそこへ向かう。
「一度あることは2度ある、2度あることは3度あるにゃ。そんな訳で今回も勝ちに行くかにゃで!!」
「「「にゃにゃん!!!」」」
猫パンチさんがみんなの士気を上げていた。
「猫パンチさん、気合入ってますね」
「やるからには、勝ちに行くにゃ。まあ今回も冬馬殿とアリス頼みになるとは思うにゃりが、よろしく頼むにゃ」
「はい。頑張ります」
それからしばらくして運営からのアナウンスがあり、大決戦のカウントダウンが始まった。
早速、大決戦場に光り輝きながら降り立つ。そしてパーティーを組んだ。
天龍姫さん、猫パンチさん、フェイトさん、ランズベルナントさん、ミレネさん、マーナとわたし。これにフォローパーティーが加わり、1軍となる。
「先ずは相手の動きを見よう」
「そうですね」
「北西アストリアは南下してくるにゃろうにや〜」
「前回はユイリが陥落させてくれたお陰で助かったんですけどね」
「今回はそうはせんにゃろうにゃ〜」
「しないでしょうね。いきなりこちらに来る可能性すらあります」
報告が来た。
「北西アストリア、南の拠点を次々と取っているとのことです」
「やはりこちらに来るにやりか……」
「これでワイズヘイルまできたらヤバいですね」
また報告が来た。
「ワイズヘイル軍、南西シャインティアと北東ガナトリアへそれぞれ軍を展開」
「ワイズヘイルは流石に余裕がありますね」
「ユイリは?」
わたしは気になった。
「ここまでユイリの動きはないな」
世界チャットにもユイリの情報はまだ流れていない。不気味だ。
「いきなり此処に現れたりしないだろうな?」
「洒落にならないですね」
その時、ようやくユイリの情報が流れた。場所は北西アストリアだった。既に城内に突入し、陥落寸前とのことだ。
「前回と同じパターンだな」
「これは好意的に捉えてもいい展開だな」
間もなくアストリアは陥落した。
次はどちらへ来るか!?
「アリス、頼むにゃで」
「はい!」
物凄い速さでバイコーンのような白い馬に跨がってユイリがきた。
「久しぶりだな、アリス! 決闘を申し込む!!」
「望むところよ!」
アリスはパーティーから外れた。
「アリス!?」
「これは、わたしとユイリの決闘だから!」
アリスはユイリに着いて走ってゆく。しばらく行くと、ユイリはバイコーンから降り、初めて見る魔杖を手にしていた。法衣はアリスのよりも一段階下級だ。装備を整えるのには間に合わなかった様子。でも、遠慮はしない!
「ご!」
「ら」
「す!!」
「スキュレー! あの者を攻撃せよ!」
《冥海神姫:おお……グラウコス。私はソナタのことを許しはしない…!》
ユイリに無属性のダメージを与えた。そして空かさず抱きつき耳元で唱えた。
「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ!」
アリスは素早く下がり、防御する。
「き、貴様相変わらずだな! レジナは辞めろ!」
「『我が名に従えし汝なんじらに、今こそ命ずる!
《風の隷:シルフィル!》』」
「──!? うあああーッ!!」
召喚され現れた風の隷シルフィルの放った風の刃によって、わたしの身体は切り刻まれ、そこから血が吹き出し体力ゲージを見る見る奪ってゆく。
「スキュレー! あの者を攻撃せよ!」
《 冥海神姫:……違う? そうではない?? グラウコス、私を殺したのは、ソナタではなかったの………?》
ユイリを捕まえ、無属性ダメージを与えた。そして空かさず抱きつき耳元で唱えた。
「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ!」
「せこいヤツめ! だから、レジナは辞めろ!!」
「『最強のもの、邪悪なるもの……天を衝くほど大いなる鋼の翼の持ち主よ。三頭、六眼の千術を操りし悪神の子よ……今こそ、我との契約に従いて、その力を示すがいい……。
《合成召喚:邪竜アジ・ダハーカ!》』」
「──!!!」
途端、目の前に光り輝く最大規模に大きな魔方陣が展開し、その中から3頭・6眼の大きな翼を生やした巨大な龍が現れた。
「さあ! 邪竜よ、あの者を倒すがいい!!」
「スキュレー! あの者を攻撃せよ!」
《 冥海神姫:キルケー……まさか、アナタなの? 親友だと信じてきたアナタが、この私を裏切って……いた?!》
ユイリを捕まえ、無属性ダメージを与えた。そして空かさず抱きつき耳元で唱えた。
「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ!」
ユイリの指輪が大破した。
「こ、この野郎! だから、レジナは使うな!」
「『シケリア島の、美しき乙女。グラウコスに恋した、キルケーに呪われし悲劇の娘よ……。エンディミオンとの契約に従いて、今こそその怒りを力に変え、我の前にて示すがいい……。
《合成召喚:冥海神姫スキュレー!》』」
「スキュレー! あの者を攻撃せよ!」
《冥海神姫:おお……グラウコス。私はソナタのことを許しはしない…!》
アリスに無属性のダメージを与えた。そして空かさず耳元で大きな声で唱えた。
「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ!」
「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ!」
アリスはユイリから逃れた。
「使うな、って言っといて、自分が使ってるじゃない!」
「お前が使うからだ! 正々堂々と戦え!」
「わかったわよ。レジナは封印する」
「よし、いい子だ!」
「ご!」
「ら」
「す!!」
「スキュレー! あの者を攻撃せよ!」
《冥海神姫:おお……グラウコス。私はソナタのことを許しはしない…!》
ユイリに無属性のダメージを与えた。
「このクソ生意気な召還術師を切り刻んでしまえっ!
《風の隷:シルフィル!》』」
「──!? うわ!!」
ユイリの召還魔法がモロに直撃し、わたしの身体は十数メートルも吹き飛ばされ宙を舞い、地面に叩きつけられる。
「スキュレー! あの者を攻撃せよ!」
《 冥海神姫:……違う? そうではない?? グラウコス、私を殺したのは、ソナタではなかったの………?》
ユイリを捕まえ、無属性ダメージを与えた。そして動けなくなっている間に杖で法衣を何度も殴った。
「そんな杖が効くものか!」
「『最強のもの、邪悪なるもの……天を衝くほど大いなる鋼の翼の持ち主よ。三頭、六眼の千術を操りし悪神の子よ……今こそ、我との契約に従いて、その力を示すがいい……。
《合成召喚:邪竜アジ・ダハーカ!》』」
「──!!!」
途端、目の前に光り輝く最大規模に大きな魔方陣が展開し、その中から3頭・6眼の大きな翼を生やした巨大な龍が現れた。
「さあ! 邪竜よ、あの者を倒すがいい!!」
「ひいっ!!?」
邪竜の攻撃をまともに受け、突き飛ばされた。ダメージが大きい。
「ご!」
「ら」
「す!!」
「スキュレー! あの者を攻撃せよ!」
《冥海神姫:おお……グラウコス。私はソナタのことを許しはしない…!》
ユイリに無属性のダメージを与えた。更に動けない間に杖で法衣を殴る。
「だから杖如きで法衣を壊せるものか!」
「『我が名に従えし汝なんじらに、今こそ命ずる!
《風の隷:シルフィル!》』」
「──!? きゃああーッ!!」
召喚され現れた風の隷シルフィルの放った風の刃によって、わたしの身体は切り刻まれ、そこから血が吹き出し体力ゲージを見る見る奪ってゆく。
「ご!」
「ら」
「す!!」
「スキュレー! あの者を攻撃せよ!」
《冥海神姫:おお……グラウコス。私はソナタのことを許しはしない…!》
ユイリに無属性のダメージを与えた。更に動けない間に杖で法衣を殴る。ユイリの法衣が中破した。
「なっ!!? 貴様なにをした!!」
「ひみつ!」
「まだ何か隠してるのか!? シルフィル!」
《風の隷:シルフィル!》』」
「──!? うわ!!」
ユイリの召還魔法がモロに直撃し、わたしの身体は十数メートルも吹き飛ばされ宙を舞い、地面に叩きつけられた。いてて……。
「ご!」
「ら」
「す!!」
「スキュレー! あの者を攻撃せよ!」
《冥海神姫:おお……グラウコス。私はソナタのことを許しはしない…!》
ユイリに無属性のダメージを与えた。更に動けない間に杖で法衣を殴る。ユイリの法衣が破れてきて、肌が露出してきた。大破が近い。
「ち、近づくな、この!!」
「『最強のもの、邪悪なるもの……天を衝くほど大いなる鋼の翼の持ち主よ。三頭、六眼の千術を操りし悪神の子よ……今こそ、我との契約に従いて、その力を示すがいい……。
《合成召喚:邪竜アジ・ダハーカ!》』」
途端、目の前に光り輝く最大規模に大きな魔方陣が展開し、その中から3頭・6眼の大きな翼を生やした巨大な龍が現れた。
「コイツを近づけるな! 攻撃しろ!!」
邪竜は炎を吐いて攻撃してきた。
「ご!」
「ら」
「す!!」
「スキュレー! あの者を攻撃せよ!」
《冥海神姫:おお……グラウコス。私はソナタのことを許しはしない…!》
ユイリに無属性のダメージを与えた。更に邪竜の肩に乗り、逃げ出すユイリを捕まえ、法衣を杖で殴る。
「こら、アリス。お願い、やめてーっ!!!」
次の瞬間、法衣が大破し……ユイリの上半身の胸や白い肌が顕になった。ユイリは泣き出しながら、走り消えた。
「……勝った」
間もなく世界チャットに、ユイリにアリス勝利の報告が流れた。それを見て南東ワイズヘイル軍は動揺した。
「ここまで来たら、勝つ!」
アリスは南東ワイズヘイル城目指して走り始めた。
通り掛かる軍、通り掛かる軍にアリスはレジナを浴びせた。レジナは小声で言えば範囲は狭いが大声でで叫ぶと広範囲となる。効果は敵味方関係ない。なので普段は小声で言っていたが、ここでは大声で叫んでいた。
「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ!」
「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ!」
「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ!」
「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジナ!」
声が潰れそうだよ……。
その頃、フェイト達はアリスを追っていた。時々、装備が大破した軍団の残骸を見かけるので、アリスの仕業だとわかる。
「アイツ、1人でワイズヘイル城を落とすつもりかよ!」
「何だかその勢いですね……」
しばらくすると前方で誰かの叫ぶ声が聞こえてきた。
「……アリスか?」
聞き覚えある声に急いでいき、確かめる。
「レジナ」「レジナ」「レジナ」「レジ」
「アリス! オレたちだ!!」
アリスは聞き慣れた声にホッとし、膝をついて倒れた。しばらくして気がつくと、みんながわたしのことを見ていた。
「アリス大丈夫?」
「うん、何とか」
「残り時間、30分ってとこだ。ワイズヘイル城まで行けないことはないが、今日はここらの拠点で終わりにしよう。疲れたろう?」
「うん。それなりにね」
「声がかすれてるね?」
「大声出してたから……」
わたしは起き上がり、近くの拠点をみんなと目指した。そして陥落させ、そこで座り込む。
「明日もユイリさん出てくるかな?」
「装備の状況次第じゃないか?」
「勝てたってことは、大破させたんでしょ?」
「うん。法衣とか色々」
「法衣か……明日出て来ても、やられに来るようなもんじゃないかな?」
「相手がアリスならね」
「まあ、そうだな」
それからしばらく経って大決戦は終了した。残りは明日の21時からの2時間である。




