ー11ー
次の日の朝、5時には弥鈴ちゃんが起きて着替え支度をし、庭の掃除を始める。わたしもちょっと気になって起き出し、一緒に手伝うことにした。そのうち真中もやって来て手伝ってくれる。そのあとお供えものを運び、台所へ行ってお味噌汁を作り始める。わたしも切るのを手伝った。そこへ潮兄もやって来て、朝ご飯のおかずを作り始める。そうして6時頃には用意が出来て皆を起こした。
「……ちょっと早くねぇか?」
「文句言わない。早く来る!」
「はい、はい……」
居間には朝ご飯が綺麗に並んでいた。
「では、いただきます!」
「うわ、うめー! この味噌汁」
「わたしとアリスお姉さまが作ったのだ。当たり前であろう」
いや、わたしはほんのちょっとなんだけど……。
「今日はこのあとどうするの?」
「わたしは、神社の仕事があるので……」
弥鈴ちゃん、大変だなぁ……。
「わたしの家に行って、真中を親に紹介するか?」
「え!? 早いよぉ〜……」
「こういうのは早い方が良いんだよ」
「という訳で、決まりだね」
「じゃあ、わたしは本屋にでも行って帰ろうかなぁ」
「アリスは、岡部太一とデートだ」
「え? なんでそうなるの?」
「二人のこと気になってんだろう? どっちが良いか、3人でデートしてこいよ。それとも何か?わたしとそんなにキスしたいのかぁ?」
「わかったわかったって、デートしてきます!」
そんな訳で、わたしはデートに決まった。
取り敢えずAFセットを家に置いて、駅の近くで待ち合わせ。本屋に寄って気に入ったの買って。近くのスターバックスに寄って、コーヒーってAFのこととか色々楽しく話した。それから小物売りや寄って、アレ良いねコレ良いねして、家に帰った。
「ただいまー」
「あら、おかえりなさい。アリス。デートはどうだったの?」
「うーん……わかんない」
「え?」
「どっちもどっちっていうか……」
「決め手がない?」
「うん。それ」
「そういうのは付き合っていくうちに、分かっていくものよ」
「それが2人居て……選ぶ段階だから」
「あらあら、贅沢な悩みね」
「それはそれで大変なんです」
「世の中には選ばれない人だっているのよ。そのこと分かってる?」
「……勉強になります」
「はいはい。手と顔洗ってらっしゃい」
「は~い」
そのあとご飯って、風呂って、2階でしばらくゆったりとした。
昼間のことをふと思い出す。2人と居て今日は楽しかった。何も不満はない。ゲームやっていて楽しいし、仲間だし、友達だし、恋人?
……急に恋人となるとハードルが高くなる気がする。それはわたしの気のせい? 別に恋人になったって、結婚するとは限らない。だったら付き合ってみたら?……そぅだよね。取り敢えず付き合ってみて、それで決めて良いのかも知れない。
時間になったので、わたしはAFセットを取り出し、ログインすることにした。




