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「いゃあ〜昨日の連戦は凄かったねぇ……モグモグ」
「アイスドレイクにリンドブルム。どっちも強かった!」
「りなりぃの気絶が可哀想だったけど……モグモグ」
「慣れるものなのかなぁ? ああいうのって」
「どうなんだろう……モグモグ」
「……アリスに真中、ここ良いですか?」
「え? 良いよ良いよ……モグモグ」
微妙にいつもと違う感じでりなりぃがやって来た。
「……アリス。ウインナーあげる」
「え? いいの?」
「真中も卵焼き、よかったら」
「ありがとう」
「……昨日は本当にごめんな……モグモグ」
どうやら昨日のことを気にしていたらしい。
「いいよいいよ。気にしないで、モグモグ」
「その代わり、ヴィラエウス周回ね!」
「…………自信ない……」
「大丈夫だよ、りなりぃなら。モグモグ」
「自分に自信を持って!」
「………でも……踏まれると分かった途端、意識が飛ぶんだよ……これ、どうしたら良い?」
「でも……実際に踏まれているんじゃないんだよ。仮想空間の中で、そういう体験をしているだけ」
「それは頭では分かってるんだけど……」
「理屈じゃないよね……。だから、慣れるしかないよ!」
「でも………そういうのって慣れるものなのかな?」
りなりぃはそう言って突伏した。
「どうだろうね……モグモグ」
「りなりぃらしくない……いつも強気なりなりぃはどうしたの?」
「ちょっと真中、言い過ぎだよ……」
「良いんだ。その通りだから……モグモグ」
「よっ。3人共仲良くやってんな」
「こんにちは」
岡部くんと太一だ。少しは空気読んで欲しい……。
「ちょっとそこの2人〜、今ちょっと揉めてんの」
「何を揉めてんだ?」
「ほら、りなりぃが気絶しちゃうでしょ?」
「気絶? そんなの……気にすんなよ」
岡部くんはそう言ったあと、わたしを指差し、りなりぃに真顔で言った。
「コイツなんか地雷だったんだぞ! それに比べたら、気絶なんて可愛いもんだ」
それには、わたしは立ち上がって抗議した。
「それってヒドイ! 地雷だったけど、そんな言い方ってないでしょう!」
「……くつくっくっ、あははは。いや、ごめんごめん」
りなりぃが急に笑い出したから、びっくりした。
「そうだよね。こんなことでくよくよしてて、ごめんね。頑張るから。頑張って慣れるからさ。許してくれる?」
「……うん。勿論だよ!」
「わたしも協力するから、頑張ろうねっ!」
「勿論、オレ達も協力するからさ」
「ええ、勿論です」
「ありがとう」
今、りなりぃがちょっと涙を見せた気がした。
気のせいだったかもしれないけどね?




