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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第一期】、第3章《六大城攻略・女神イルオナ奪還大作戦!》
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-2-

「ただいまー」 

「おかえりーアリス……なんだか今日も元気ないわね? 男の子にフラでもしたの?」 


 ──な、なんでうちの母さんって直ぐにそういう方向へ話を持って行こうとするかなぁ……? ここで返ってくるわたしの答えなんて、始めから分かりきってるのにさぁ~。



「残念ながら、そう言うのには余りご縁がないもので……最近、気になってる人なら居るんだけどねぇー」

「お! 遂に進歩したわね」


 進歩?


「気になる人が居る、好きになる、恋人になる、そして……アリスも遂に!」 

「──つ、遂に?!」


「……避妊だけは、ちゃんとしなさいよ?」



 ──うわ、ぐは! ひ、ひにんて……。



 そ、それが母親の言うセリフなんですかぁあー!? かなり今の信じられないんですけど……。


 わたしは母さんを呆れ顔に見つめる。

 実際、流石にそれはまだないと思われ……。もちろん恋愛はしてみたいな、って思うけど。何せ、恋に恋い焦がれる年頃なものですから!

 でも、わたしの理想はあくまでもプラトニックラブなんだから、それは要らないのだ! あはは!



「それよりも母さん、今日は《決戦》だから」

「はい、はい。分かっているわよ。直ぐにご飯の用意するから、早く手を洗ってうがいもして、さっさと着替えて降りてきなさぁ~い」

「はあ~い」


 そのあとモリモリとご飯を食べ、お風呂にくたぁ~とゆったり入り、自分の部屋へと戻る。


 今の時刻は20時、集合時刻は21時半、まだ時間はある。なので、取りあえず勉強って、最近すっかり止まっている小説をあとで書くことにしよう。

 そう思いスマホのタイマーをセットし、勉強開始。でも集中していると時間が経つのが早く、もうチャイムが鳴った。



 わたしは仕方なく勉強を辞め、ノートパソコンを素早く起動。そしてイヤホンセットを耳に掛け、スカイプを開き皆に明るく挨拶。


 そうして棚からヘッドギアを取り出し、頭へ装着。目を左右上下に動かし“目”認証カメラ連動感度確認よし。“頭”も左右上下に動かし、前面上下210度HDフル画面カメラワークの動作と感度確認よし。

 それから赤いラインの入ったセンサーグローブを装着し、手指を動かし動作感度確認。

 次に専用ボディースーツを着込み、ポンポンと軽く叩き衝撃の程度を調整確認。それから腰や身体をひねり、動作感度共に良好確認。

 そして専用シューズを履き、軽く前後左右とクイック&クイックバックでチューニング具合確認。

 ついでに《シンクロ率87%》確認、変化なし、ぐは!


 やはりコレは、高過ぎかなぁ……?


 因みに、わたしがゲーム内で何気にモテまくるのは、この高過ぎるシンクロ率が原因だったりする。

 この頭に被っているヘッドギアとボディースーツセンサーからの情報は、最初にゲーム内で動くアバターを作る際に、その選択可能な種族を元にして、実際のわたしに似た体系と顔形をほぼ同じように再現し当てはめ、自動成形される。


 運営さん曰わく、『キャラ作成をより手軽に行えるようにした工夫』らしい。


 わたしが選んだラグリット・ハイエルフという種族は、元々姿形がスマートで綺麗であるというのもあるんだけど。初期状態で特に不満は余り感じなかったのよね?

 もちろん、そのあとユーザーの好みで更に細かく変更は可能なんだけど。変更すると、それだけシンクロ率が下がり、何故かそれがプロフィール欄に表示される意味不明な機能を持っていた。なので、シンクロ率80%超えのわたしの場合は、ほぼ現実世界のわたしに近い?という認識をされる傾向がどうやらあるらしく、結果として“モテ易く”なる。

 少なくとも、“ネカマ”でないことはそこで確定するから、らしいよ?


 まあこうなった理由としましては、ただ単に……早くゲームを始めたくてキャラ作りとかもう面倒だったので、手を抜いただけなのでありますが……だってさ、最初のキャラ生成時点で不満はなかったからさぁ~。


 だけどわたしにだって見栄はありますので、脚の長さをほんのちょっと……あとは胸に極振り? それでいてCカップ止まりなのが笑えるけどね…………ぐは!


 せめてDカップは欲しかったのになぁ~……。

 あ、言っておきますが! 果てしなくDカップにめっちゃ近い、Cカップですからぁあー!!


 ……すみません、いま見栄を張っちゃいました、ごめんなさい…。


 

 そんな訳で! 全て確認完了!!



「ヘッドギアよし! 

グローブよし!

スーツよし!

シューズよし!

A・F起動よし!

ドリンク飲んで、レッッよし!」



 わたしは真剣な表情で無駄に気合いを入れ!《トリップ用EEGドリンク》を片手にクルリンと腕を回し、『しゃきーん!』と仮面ライダーポーズを真似てかっこ良く決め?素早くキュッとドリンクの蓋を開け、腰に手の甲を軽く当てながらそれを一気飲み!

 すると間もなく、わたしの目の前にアストガルド・ファンタジーの世界が次第に広がってゆく──。





「て、訳でにゃ! 今回は女神イルオナたんの奪還が最大目標にゃり!! 今回も前回同様、連盟ギルドの黒騎士団が我々の仲間として共に戦ってくれるだに、ありがと感謝で皆よろしくお願いするだにゃ♪」

「「「にゃにゃん♪」」」


「いや、いやいや」


 そこには黒騎士団の団長、ギリゥさんが居た。この方もランカーの一人で、とても頼りになる凄腕。


「パーティー編成は各自メール通知した通りなので、そこはよろしくにゃ。

……アリスにマーナ、そういうことなので頼むにゃ……」

「……はい」

「……はぃ」


 わたしは真中を横目に見つめながら、そう答える。

 真中は気にした様子は一切見せず、真剣な表情を真っ直ぐ見せていた。少しそれがわたしには、寂しく感じたけれど……。


 そう……だよね?

 今はギルドのためにも、目の前のことに集中しなきゃ!


「……」


 そうわたしが思っていると、急に真中がわたしの手を握りしめてきて、でもわたしを見ることなく正面を向いたままこう言って来る。



「……次の《大決戦》の時は、絶対に同じパーティーだからね、アリス」

「……──うん!!」


 わたしの元気良い返事を聞いて、真中はそれでようやくこちらを向いて微笑んでくれた。

 わたしはそれを見て、ホッと安心する。



 そうして上空に、運営からの《決戦》開始前カウントダウンが報告され始めた。



「では、いくだにゃー!」

「「「にゃにゃん!!」」」




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