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◇ ◇ ◇
「泣いても笑っても、大決戦はこれで終わりにゃん。思う存分に戦って、心置き無く楽しむにゃりぃ~!」
「「「にゃにゃん!!」」」
大決戦が再び開始となり、わたし達は戦場へと一斉に舞い降りた。ここから南東ワイズヘイル城まで、結構あるけど、頑張って走るしかないよね?
『北西アストリアも、北東ガナトリアも、復活はしたにゃりが。南東ワイズヘイルの軍が、2勢力近くの拠点からのスタートにゃで。直ぐに落とされることも、十分に考えられるにゃ。
にゃにょで、我々南西シャインティア軍は全軍をもって、南東ワイズヘイルを叩くにゃり!』
『『『おおー!』』』
猫パンチさんのライブチャットからの声を聞いて、南西シャインティア皆の歓声があがる。
因みに今回の編成は、前回とほぼ同じで、
《剣聖》フェイト、《聖騎士》ランズベルナント、《弓剣士》新道冬馬さん、《聖姫騎士》マーナ、《魔剣士》カテリナ、《天聖龍騎》天龍姫さん、《天大弓使》大弓のミレネさん、《召還術士》アリスでございありんす……あ、これはわたしね?
何気に冬馬さんが軍メンバーで居るけど、その詳細はまだ聞いていない。でも、戦術的な配置らしい。だけど、冬馬さんって戦術は苦手なんじゃなかったっけ?? まあ、戦術と戦略の違いなんて、わたしにはそもそもさっぱりなんだけどね?
早速、召還術魔法である《ゴッデス・ウィング》を使い、行動速度を180%も上げて、ワイズヘイル城を高速で目指す。
そうやって向かい始めて直ぐに、わたしはブツブツと独り言を呟いている冬馬さんに声を掛けた。
「冬馬さん。お互い地雷同士、とにかく足でまといにだけはならないでくださいよ?」
「はぁ。善処はするけど、自信はないかなぁ~……」
「というか、何でお前がこの中に居るのだ?」
「猫パンチ氏に、行け、と言われたからです。どの道、今回は、戦略的にやれることも限られていたからね」
「戦略的に??」
「あ、アリスさまっ。今回は、総攻撃を仕掛けるということで、満場一致したらしいのです。細かなことはもういいから、皆でワイワイ攻め掛かろう、ってことになりまして」
「うん、それそれ。
守りを捨て、全軍で向かう。そのように全員一致で決まり、それならばそれで構わないんだけど。僕はボクなりに、やるべき策を打たせてもらいました。後は、盤上の前で、神に祈るのみです。
って……そう言ったら…」
「猫パンチさんから、前線へ行け、って言われたんですか?」
「まあ……そう言うことです」
なるほど。猫パンチさんも案外と人使いが荒いんだなぁ?
「つか、見えて来たよ!」
マーナの声に反応して前方を見ると、大きな拠点が見えてきた。
「ここは一気に攻め落として、復活拠点にするか。それとも、スルーするか……」
「今日手に入れたスキルを、ここで確認するのもありかも?」
「つか、まだ試してないからね。新スキル」
「なるほど、それもそうだな」
「……いや、それはダメです」
そう言ったのは、冬馬さんだった。
「ここでそれを使ってしまうと、こちらの手の内が相手に知れ渡ってしまいます。すると、相手にその対応策を考える時間と機会を与えてしまうことになる……。それは、実に上手くない。なので、出来るだけギリギリまでそれを使わずに、極力、白き魔女ユイリの意表を突くのが賢明ではないかと思うので」
「あ……それもそうか」
言われて納得。流石、冬馬さんだな、と思った。
「つか。ユイリと戦うまで、新スキルは封印、ってこと?」
「……どうやら、その方が良さそうですね」
「だな」
どうやら他の皆も、冬馬さんの意見に納得・賛成したっぽい。
そんな訳で、前方に見える拠点は後から追いかけてくる他の人達に任せ。わたしたちは全力で、ワイズヘイル城を目指すことに決めた。
しばらくするとワイズヘイルの軍が前方から向かって来たが、それを大きく迂回し、衝突を避けた。
「ワイズヘイル城まで、凡そ、あと15分!」
「つか。ワールドチャットからの情報によると、北東ガナトリアは陥落間近。北西アストリアも長くはもたない、ってよ!」
「もう、そんな状況なのかよ!」
「それだと間に合うのか、微妙だなー……」
北西アストリアと北東ガナトリアが陥落したら、次に狙われるのは間違いなく、南西シャインティア。そうなると絶望的になる。
「ねね、ユイリの現在地とかは分かる?」
「それは残念ながら分からないが、北西アストリアに現れたという情報が流れていたから。おそらく、その辺に居るんじゃないかな」
「アストリアに? それは助かった!」
白き魔術師ユイリの動向が一番気になったので聞いてみたら、フェイトさんがそう答えてくれた。それを耳にして、カテリナは喜んでる。
「厄介なのが近くに居ないんだったら、ここは一気に突入しようぜっ!」
「ほう~。カテリナ、珍しく意見が合うではないか」
「つか、私もそれに賛成ーっ! どの道、ダメ元だもんね。何せ相手は、うちら戦力の数倍」
「それもそうだな」
「異論、ありません」
「異論なしです」
「うんうん!」
あっという間に、意見はほぼほぼ一致したので、わたしはそこで再び《ゴッデス・ウィング》を使い、大成功の行動速度220%アップ。それから直ぐに、ワイズヘイル城を高速で目指した。




