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──ミラーリング!──
「きたッ!! 皆っ、そのまま動かないで!」
幻魔獣メテルフォーゼの幻術発動と共に、わたしは近くのメンバーから順にファイアを仕掛けた。
でもそれは、今の召還術士になってからは実質使えない黒魔法なので、瞬間だけ眩い炎が対象者を襲うが、効果無く消滅してしまう。
実際に今、近くに居たマーナに仕掛けたことで、真中は驚いたけど。ダメージを受けることは無かった。
「ちょっ! アリス、これは何のつもり?!」
「まあまあ~、これからだから」
わたしはそう言って真中を宥めて、次々とメンバーをファイアで攻撃した。それで皆、同じような反応を見せていた。
が……一人だけ、それまでと違う反応を見せるメンバーが居た。
ファイアを受け、他のメンバーは一瞬だけ慄き、身を屈めたり腕などで庇うが。その者だけは動じた様子を全く見せず、ファイアをスルーよろしく受け流していたのだ。
よくよく見ると、その者と同じ人物が少し離れた所にもう一人居た。花藤璃奈だ。
その事に気づき、皆一斉にカテリナをみたっ!
「──なっ、なんだよっ?! 私は違うぞ! 本物だからなあーっ!!」
「あはは。分かってる、分かってるから~っ♪」
「ていうか、となると…………自動的に[擬態]は、アレだな」
「ええ、そうなりますねッ!」
「流石はアリスさまっ。見事な作戦ですねっ!! 完璧な見破り技ですッ!」
「ニャハハ!! こぉ~の装備の恨みぃ~っ、トコトン晴らしてやるにゃあ~でぇっ!」
「…………」
「ほっ、本当に分かっているのかあっ!? それなら良いんだが……」
「うんうん、分かってるっ♪ もちろんっ、分かっているよぉ~っ。このッ!」
「「「──擬態ヤローッ!!」」」
「ぅわあああ───ッ!!?」
皆一斉にカテリナ?に飛び掛り、凹殴り、蹴飛ばし、魔法にスキルに剣や杖による連撃で清々するほどボコボコにしてやった。
『 おっ、お前ら……この者に何か恨みでもあるのか? これは余りにも容赦無さ過ぎ…………ぐふっ!』
「「「よっしゃぁぁあ──ッ!!」」」
「……………」
幻魔獣メテルフォーゼは倒れる直前に正体を表し、最後にそう告げて、間もなく崩壊消滅。
その様子に皆が喜びはしゃぐ中、ただ1人だけ花藤璃奈は……間を置いて、こう呟いた。
「いや………なんか、あんまり嬉しくない……」




