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「はぁ~っ……。結局、ダメだったー」
「まあ、仕方ないよ、アリス。元気出そう?」
拠点NPC討伐まで、あと少しっ! という所までは行ってたんだけど、結局のところ、倒すことは出来なかった。なので、明日の大決戦は、南西シャインティア城からのスタートとなる。
AFから作り笑いで手を振りふり皆と別れ、ログアウトしたあと。わたしはため息混じりにクタクタ~とその場で腰を下ろし、ヘッドセットを外して、そう言ってくれた真中に作り笑みを浮かべ、ふと……時計を見つめる。
時刻は、夜の23時半を過ぎていた。
隣を見ると、弥鈴ちゃんが可愛い感じで横になりスヤスヤと居眠りをしていて、りなりぃが優しく毛布を掛けてあげていた。
「まあ、あれだけ頑張ったんだからな。まったく気にすることはないよ。やるだけのことは、十分にやったんだ。むしろ情けないのは、ウチらの方さ。
だろう?」
「だよね?」
花藤璃奈は、当然であるかのような様子で弥鈴ちゃんを起こさないように小声で気遣いながら、わたしを横目に見つめそう言い。真中は、それに真顔で頷いてくれている。
わたしはそれを聞いて、ハッとした。
「あ、ごめん!! 勿論、真中もりなりぃも頑張ってくれてたと思うよっ! ただ、わたしがもう少し、ちゃんと研究したり努力してさえいれば……と思ってさ。皆には、いつも感謝してる!」
「ほらっ、それだ」
「えっ。それ、って??」
「普通、そこで謝ったり、感謝なんかするかぁ? 此処は、堂々としてても良いくらいだ。堂々と。
アリスは気遣いが過ぎて、ネガティブに細かいことを気にし過ぎなんだって」
りなりぃは、ため息混じりにそう言ってわたしの方を向いて困り顔で見つめたあと肩をすくめ、それからまたからかうようにしてクスクスと笑みながら口を開いてくる。
「いつまでもそんな性格をしていると、そのうちに頭、禿げちまうぞぉ~?」
「──はッ、禿げっ!!?」
「ばぁ~か、冗談だよ。そうなりたくなかったら、もっと肩の力を抜いて、気楽にして居ろ、ってことさ」
「りなりぃのそれ、ひどい冗談……。でも、もう少し気楽にしてても良い、っていうのは私もたまに感じてる時があるかな?
アリスは気遣いが真面目過ぎるんだよ、きっと」
「えっ。気遣いが……過ぎる、かな??」
2人は、そこで大きく真顔で頷いてる。
よく分からないけど、そこはわたしの直すべきところなのかも?
「まあ~っ。そこが同時に、アリスの良いところでもあるんだけどなっ♪」
「だよねっ♪」
「──えっ。ちょっ、どっち??!」
困り顔で真面目にそう聞いたわたしを見て、2人はお腹を抱え、何故か大いに愉快そうに笑っていた。
【第三期】第11章《新ワールド大決戦、開始っ! ~白き召還術師のユイリ~》おしまい。
最後の方がちょこちょこ短くなりすぎたかな?と思いましたけど。ここまでお付き合い頂きまして、ありがとうございましたっ。
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