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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第三期】、第11章《新ワールド大決戦、開始っ! ~白き召還術師のユイリ~》
134/213

ー3ー

「予定通り、北西アストリア領内へと侵入したが……問題は、このあとだよな?」

 フェイトさんだ。


 大決戦開始から30分後、わたしを含む軍は北へと侵攻し、次々に拠点を制圧しまくってた。


 因みに、今の編成はというと……。


【G1ランク・メインパーティー編成】

《剣聖》フェイト、《聖騎士》ランズベルナント、《狂魔戦士》ザカールさん、《聖姫騎士》マーナ、《魔剣士》カテリナ、《天聖龍騎》天龍姫さん、《天大弓使》大弓のミレネさん、《召還術士》アリスでございありんす……あ、これはわたしね?


 そして更に、デッキパーティーとして3パーティーがこれに加わる大所帯。メインパーティー・デッキパーティー共に、双方ある一定度の能力強化が総能力値に応じて、ポイントが反映される上。補助系と回復系魔法なども全て、共有化される特典がある。そしてこれを単位として、1軍と呼んでいる。


 予定では、領内付近で衝突し、自分達の圧倒的な強さを見せつけて、北西アストリア勢力を北東又は南東へと向かわせる筈だったけど。ここまで、まともな軍同士の衝突も無く、びっくりするほど順調に領内まで突き進んでいた。一度は北西アストリアの軍の姿が見え、急襲しようと追い駆けたけど。直ぐに相手から気付かれ、逃げ出されていたからだ。


「それにしても、やけに静かだよなぁ?」

「だね。ここまで、まだ1軍としか戦ってないし。驚くほど相手が慎重。アリスはこの事、どう思う?」

「う~ん……。もしかしたら、天龍姫さんが余りに強すぎて、もうから逃げ出してるとか??」

「それはあり得ませんよ。今期はまだ一度も、相手と手合わせしてないのですからね」


 あ、それもそうか?


「寧ろ、アリスの噂が広まってるんじゃないのかぁ?」

「あ、それもあり得るね?」


 ──えっ!?


「無い、ないっ。そんな訳ないですからっ!」

「無い、とは言い切れないですよ、アリスさまっ。うちの勢力内にスパイが居て、情報が漏れてる可能性だってありますので!」

「だとすれば、寧ろ助かるんじゃないのかしら? 戦わずして勝つなんて、とても素敵なことじゃない♪」


「……」

 まさか、そんな訳はないと思うんだけど。

 それにしても、天龍姫さん……意外と楽天的なんだなぁ??



「……残念だが。相手も、これ以上の北上を望んではいないらしい。ほら、前方を見ろ」

「「「──!!」」」


 ザカールさんのその一言に反応して急ぎレーダーを確認すると、前方に赤い大勢の敵が居ることを指し示していた。

 しかも、物凄い数!


「おおよそ、3軍ってとこだな」

 岡部くんこと、フェイトさんだ。

 一気に緊張感が走る。


「では作戦通り、アリスに軽く蹴散らしてもらうことにしますか♪」

 太一こと、ランズがそんな気楽なこと言ってる。

 他人事みたいにそう言われ、なんか微妙にしゃくさわるし憎らしいけど。ここはまあ、ギルド皆の為にも頑張りますか!


 わたしは、早速とばかりに上級召還魔法《防御・全耐魔法アップ(デルタフィルホールド)》と、メテルフォルセを使った最高位召還魔法《基礎ステータスUp(ラディカル=ブースト)》を掛ける。結果、180%アップ成功。


 よしっ!


 そこから前方へと駆け入り、間合いを確かめ、《状態維持メインテイン》を発動。それから、素早く最高位・召還術士スキル《アルカマ・アロー》を唱える。



なんじ、我と共に在れ……《アルカマ・アロー!》」



 先程発動したメインテインが、アルカマ・アローの中へと吸収吸引され、スキル一覧が表示される。

 その中の一つを、素早くタップ。



「《アルカミック=コンティニュ・アロー!》」


 途端、わたしの直ぐ足元に光り輝く円形の魔法陣が展開し。その魔法陣の中から、光輝く大弓が現れ、素早くそれを手にし構え射った。

 射った光の矢は、導線上に居た相手の身体を貫き、装備も被弾大破し、途端、塵と化して消滅してゆく──。

「よしっ!」

 ちょっと可哀想だけど、遠慮してられるほどの余裕はないからね。


「お見事です、アリスさまっ!!」

「ハハ、ありがと♪」

 それに遅れ、ミレネさんもわたしと横並び超長距離ロングレンジで相手を連続で攻撃! 相変わらず見事な命中精度で、相手は次々に倒れ消滅してゆく。


「相手の残り2軍が左右から向かって来てるよ! ここは進むか後退するか、どうするの!?」

 真中ことマーナだ。

 レーダーを見ると、確かに相手2軍がこちらを左右から取り囲むように大きく動いている。

 このままだと不味いかも?


『そのまま前に進み、軍のリーダーを倒し解散させ。解散した軍は、相手にせず、放置。

引き続き、時計回りに2軍目、3軍目とリーダーのみを狙い倒し強制解散させる、これをしばらく繰り返してみて』

「──!?」

 南西シャインティア城内の戦略室に居る冬馬さんが、ボイスチャットでそう指示して来たのだ。


「なるほど、それは面白い。やってみよう」

 ザカールさんだ。

「あ……はいっ!」

 何だかよく分からないけど、言われたようにやってみる!



 わたしは改めて、上級召還魔法《防御・全耐魔法アップ(デルタフィルホールド)》と、メテルフォルセを使った最高位召還魔法《基礎ステータスUp(ラディカル=ブースト)》を掛ける。

 結果、210%アップ成功。


 ──うしっ!! 良い数字キタっ!


「よしっ! 一気に突っ込もう!! そして、狙うは敵軍リーダーのみ!」

「「「にゃにゃん!!」」」

 フェイトさんの掛け声と共に、わたしたち軍は一斉に前方の軍に仕掛ける。わたしとミレネさんの超長距離攻撃に、それで乱れる相手軍の中へと踏み込んでゆく、フェイトさんとザカールさん、ランズの近接白兵戦。更に天龍姫さんの華麗な剣技から繰り広げられる連撃と鮮やかな最後の一閃っ! これには、相手軍も途端に怯んだ。


「アリス、《ステルス・ホールド!!》」

「あ、はいっ!!」

 フェイトさんにそう言われ、召還術を掛けると、相手軍リーダーであるランカーの前で、フェイトさんの姿がスッと消え、次の瞬間、その相手リーダーの脇腹に剣を突き刺し、抉り込み口から血を吐き倒れクリティカルとなって光の塵と化し、消滅。

 と、同時に。敵軍は強制解散となり、敵プレイヤーにそれまで掛かっていたブースト効果なども消滅する。

 その事に気付き、相手プレイヤー達は途端に慌て『倒されては堪らない!』とばかりに焦り、その場からバラバラと逃げ出してゆく。


「あ、なるほど!」

 わたしはここに来て初めて、冬馬さんの作戦を理解した。


 軍リーダーが倒れたら、その軍は強制解散される。その後、3分間のペナルティがあって再編成出来ないから、プレイヤーの能力は激減。なので、この様に逃げ去る。この隙を突いて、同じ方法で他の2軍、3軍を攻めたら良いんだ。


「よしっ! 次々に行こう」

「「「「にゃにゃん!!」」」」

 そのあと、この同じ戦い方で、残り2軍も蹴散らし、この事が世界チャットで噂として流れた。


───────────────

『《アストリアの赤き召還術師》が、南西シャインティアにいやがった!』

『しかも、その強さは以前の非じゃないってよ!』

『──マジか!? なら、いまは化け物じゃねぇーか!』

『で、その化け物は今どこに居るの?』

『北西アストリア南部の領国付近に居るらしい……』

『なら、そっちは避けて、北東へ向かうのが良さそうかぬ? 少しでもポイント稼ぎたい』


─────────────────


 ワールドチャットの情報を見る限り、何とか作戦通りに進んでるみたい。

 と、なれば。冬馬さんが組んだ作戦通り、ここは後からやって来た3軍に任せて。わたし達は北東ガナトリア南部まで進み、そこで共闘ギルドと合流し。南東ワイズヘイルへと向かって、南下すれば良いんだよね?


 そう思ってた矢先、思いもしない情報が突如として舞い込んで来た。

「大変! ワールドチャット見てみ! 北東ガナトリア城が、いま陥落したって!!」

「「「──!!?」」」


 マーナが何をいま言ったのか、この場に居た皆が一瞬、理解出来なかった。


  ◇ ◇ ◇



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