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「──べっ、別に隠そうとしていた訳ではないのであって! うっ、そのぅ~……あ、あのぅ~…」
「…………」
ジャンピング土下座ったあと、弥鈴ちゃんは一生懸命にそう言い訳ってる。顔が青ざめ、涙目に見せるその様子から、悪気は無かったんだなぁ?と分かって、わたしは内心ホッとし軽く吐息った。
「ハハ、別に良いよいいよ。何も責めてる訳じゃないんだからさぁ~っ」
「ほ、本当にですかぁ!?? でも実は、まだ怒ってたりしてません??」
「ううん。してない、してない。ただね……」
「──た、ただ??」
「出来れば、直ぐに言って欲しかったかなぁ~とは思っているかな?」
「──!!? す、すみません……アリスさまっ。本当に、ごめんなさい…もう、こういう事は2度としないので……っ!」
反省色濃く、その場で申し訳なさそうに正座までしている弥鈴ちゃんの姿を見て、わたしの中で少し顔を出していた何かが今は鎮まり、自然と笑みがあふれ出し、慌ててそんな弥鈴ちゃんの手を取り立たせた。
「いいから、いいから! 何もそこまでする必要はないんだからさぁ。ほらっ、立って立って♪」
その素直さは、いつまでも大事にして欲しい、そう願って──。
◇ ◇ ◇
「ライアスさぁ~ん、居ますかぁ? アリスでぇ~す」
「おお、アリスちゃん、いらっしゃい! 待って居たよ。装備品だよね? ちょっと待っていなよぉ~、今出すからさ♪」
いつものように通常ログインし、街の中心近くにある《鍛冶屋ライアス》店内の小部屋から顔を出し声をかけると、ライアスさんが笑顔で挨拶してくれた。
「昨日渡された素材から色々と作ってるんだが、実を言うとまだ全部は仕上がってないんだよ。だから、先ずはこの3つを試しに使ってみてくれると助かる」
「3つ?? わ!」
そう言って渡された装備品のステータスを見て、思わずびっくりった。
その装備品というのが、コレ。
【《天空覇者の腕飾り+7》
全耐性+18:体力+727:敏捷+22:スキル発動速度+16%アップ】
【《風魔聖獣のショース+7》
風・魔・聖耐性+12%:体力:+461:精神力+367:敏捷+14:移動速度:8%アップ:運-27】
【《光魔獣のレギンス+7》
光・魔耐性+8%:体力+237:敏捷+27:移動速度:11%アップ:運-11】
「めちゃくちゃ凄いし強い、しかも全部+7!!」
「ハハ♪ ちょっと奮発してみたんだ。折角、これだけの優秀な装備品だからね。職人としては、しっかりと仕上げてみたかったんだよ」
「とても助かります! ……ですが、足りてましたかぁ?」
+7にまで上げたとなると、相当にリフィルも掛かった筈。なので、ちょっと心配になった。
「ああ、いいよいいよ。これはサービスだ。アリスちゃんのお蔭で、うちは随分と儲けているからね♪ ただ、その代わりと言う訳ではないんだが……1つ頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」
ライアスさんがそう言って、急に改まった表情をしてきた。
「わたしに出来ることであれば、勿論、何でもやりますけど?」
「そうか、それは良かった! 寧ろコレは、アリスちゃん達にしか、まだ出来ないことだからね♪」
そう言ってお願いされた依頼内容を聞いて、わたしは直ぐに納得した。
──なるほどっ!
【第三期】第9章 《レギルス=フェルトゥス討伐!》おしまい。
最後ちょっと短くなりすぎたかな?と思いましたけど。ここまでお付き合い頂きまして、ありがとうございましたっ。
本作品をお読みになり、感じたことなどをお寄せ頂けたら助かりますっ。また、評価などお待ちしております。今後の作品制作に生かしたいと思いますので、どうぞお気楽によろしくお願い致します。




