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「くっそぉーっ!! あの友翔めぇ~~っ!」
「は、はは……」
あれから、わたし達も友翔くんに情報提供した。と言っても、既に出回ってるような情報ばかりだったけどね?
今は皆と別れて、予定通り真中と花藤璃奈の3人で横並びに本屋ってる。
「それにしても、泰然さんがワイズヘイルに居るってのは意外だったなぁ~っ」
「うん。それともう1つ、ワイズヘイルにもアリスみたいな召還の使い手が居るってのも気になるよね?」
「考えてみれば、もうそろそろ召還の使い手が1人や2人 現れても不思議ではない頃合いではあるけど……。そうは言っても、まだまだアリスの相手にはならないんじゃないのかぁ? 何せ、あの友翔の話だからなぁ。そんなに気にする必要なんて無いよ。きっとデマだ、デマっ。単に、大袈裟に言っているだけだって。たぶんな?」
「は、はは……」
どう考えても、さっきの事を根に持ってるとしか思えないりなりぃの個人的感情全開な発言に、わたしと真中は困り顔に苦笑いを浮かべてる。
そのあと、わたし達は満面の笑みで手を振りふり別れた。
「たっだいまぁ~」
「あ! アリスお姉さまっ、おかえりなさいませっ!」
家に帰ると、弥鈴ちゃんが居間の方から元気の良い笑顔で飛び出してきた。
それからわたしと入れ替わりに靴を履き、手を元気よく大きく振りふり振って「では、また夜に~っ!」と言って、玄関をトテトテと可愛い感じで出てゆく。
「また夜に、って?? なんじゃらほい?」
「あら、アリスおかえりなさい。弥鈴ちゃんは?」
「今、元気よく出ていったよぉ~っ」
「あらあら、これをあげようと思っていたのに。残念ね」
「アイス? 今から追い掛けてみようか?」
「お願い出来る?」
「うん。いいよぉ~」
「じゃあ、頼むわね」
わたしは直ぐさま弥鈴ちゃんを追い掛け走った。すると間もなく、角を曲がった所で弥鈴ちゃんがスマホ片手に誰かと電話ってた。
わたしはホッとし、笑顔でゆっくりと近づく。
「だから、これから直ぐに集合して、幻獣退治をやるからと……! うんうん、あのアリスさまが浮遊遺跡の解放方法を見つけてくれたのだ。その討伐方法を、これからフェイト達が伝授してくれる。明後日から始まる大決戦の為にも、ここでの戦力アップは必須であろう? ならば、これへ参加しない手はない。違うか?
うんうん。
ああ、ではな。グランセル」
へ? ぐらんせる…………さん?
「──!?」
弥鈴ちゃんがスマホを切って間もなく、こちらに気づいて、瞬時にドングリ眼ってる。
「あ、アリスさまっ…………あ、いえ。アリスお姉さまっ、いつからそこに……?」
「えっ? あー…………今さっき、から……かな?」
「…………」
「えーっと……」
凄い、疑いの眼差しられてる??
「あ……コレ。うちの母さんから……弥鈴ちゃんに、って。食べる?」
「──!! わ、食べます、食べますっ! いただきますっ♪」
弥鈴ちゃんは満面の笑みで手にとって美味しそうに、あむあむとアイスを食べてる。わたしも一緒に並んで、あむあむと美味しくアイスを食べた。
「……ところで弥鈴ちゃん、ぐらんせるって?」
「──!!?」
暫くして、様子を伺うようにソッとわたしがそう聞いた途端、弥鈴ちゃんが顔を青ざめ固まった。
「あ、あわわ! 実は、この近くに……ぐらんせる、って名前の美味しいケーキ屋さんが出来てですね……?」
「…………」
あからさまに疑わしかったので、わたしはわざとらしく半眼で、改めて聞いた。
「へぇ~っ……。それはとても美味しそうなお店の名前だねぇ~っ? あ、ミレネちゃんは、ケーキだとどういうのが好き?」
「あ、私は圧倒的にタルト派ですね! サクッと香ばしくて、甘いクリームと凄いマッチしてて、あれは最高ですからっ!」
「へぇー! よしっ、じゃあこれから一緒に買いに行こうかぁ?」
「えっ!? いいんですかあッ?! 行きます、行きますっ!」
「勿論いいよ♪ あ、アイスもう1つあるけど、食べる?」
「わ! 食べます、食べますっ♪」
弥鈴ちゃんはまた美味しそうに、あむあむとアイスを食べてる。
「あ、そういえばさ。この後、一度集まるじゃない?」
「あむあむっ!(←頷いてる)」
「それから、どこへ行くんだっけ?」
「幻獣討伐ですよ♪ そのあと門番を倒して、浮遊遺跡へ向か……………えっ、あれっ??」
「……へぇ~っ。じゃあさ、それもこれから一緒に行ってみようかぁ? ミレネさん」
「………は………わ、えっ?……へぇー!」
次の瞬間、冷や汗たらたらってた弥鈴ちゃんはジャンピング土下座った。
ははあ~ん……。
まさかな?と思って、フェイクってみたんだけど……。ハハ、なるほどねぇ~っ。




