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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第三期】、第8章《浮遊遺跡の謎》
114/213

ー2ー

「「「──へっ? 浮遊遺跡??」」」

「ええ、今ならそこが最良の狩場だと思います」


 あれから太一も、マックでわたし達4人と合流した。

 今は、テーブル席で皆とポテトを摘まみ食べつつ。ジュースを飲みつつ。今夜向かう、狩場をどこにするか話し合ってる。

 そこで話に出て来たのが、浮遊遺跡だった。


 浮遊遺跡は、南西シャインティアの首都フェル=ベルから出て直ぐに広がる『大平原』を駆け抜け。更に、幻聖獣アルケミフォスの棲む『大樹海』の先に聳え立つ。『山岳地帯』の谷間を通り抜け越えた先に広がる『砂漠地帯』の中心部、『古代遺跡』の上空にある。


 って言われても解りにくいか? 何しろ、凄く遠い場所ってこと。

 まあ、1度は行ったことがある場所だから、テレポートを使えばあっという間なんだけどね?


「だけど浮遊遺跡って。結局、行く方法が見つからなかったんじゃなかった?」

 真中が、太一にそう訊いたのだ。

 わたしもそう記憶していたから、隣でうんうん!と頷く。


「ええ、そうだったのですが。先日、ザカールさん達が冬馬さんを強引(・・)に付き添わせ、一緒に発見したそうで。

どうやら、そこへの鍵となるのが、大樹海に棲む幻聖獣アルケミフォスだったようです」



「「──あの、大樹海の幻聖獣(アルケミたん)があーっ!!?」」



 どうやらわたし達と向かい合わせに座る岡部くんは、既にその事を知ってたらしく、反応が無かった。

 でも、わたしも真中もりなりぃも初耳。


「それって、どういうコトだよ? 何でそんな大切なコト、直ぐに教えてくれなかったんだぁ??」

 りなりぃだ。そりゃ、訊きたくもなるよね?

 わたしも真中も互いに顔を見合せ、一緒にうんうん!と頷いた。


「まあまあ、落ち着いて聞いてください。これでも、ボクとしては直ぐに知らせてるつもりなので。

それより、古代遺跡に1ヶ所だけ変わった場所があったのを覚えてますか? 

ほら、円形の」

「「「…………」」」


 そう言えば、古代遺跡には祭壇があり、凄く不思議な空間があった。

 きっと、そこのコトだと思う。


「それで? 今なら、浮遊遺跡までのルートが解放してるから、『誰でも行ける』ってコトなのかぁ?」

「いえ、残念ながら誰でも(・・・)という訳ではありません。ある特定の(・・・・・)条件をクリア(・・・・・・)した者だけが、そこの鍵を開放可能にするようです」

「「「鍵?」」」

 わたし達3人は、びっくり眼で顔を見合せた。


「で、その鍵って。どういうものなの?」

 わたしよりも先に、真中がそう訊いてくれた。


浮遊(レギル)遺跡の門番(ス=フェルトゥス)というのが居るらしいのですが。先ほど言った条件をクリアした上で、古代遺跡の祭壇へ近付くと、突然にこう言って襲って来るそうです。

『我が弟を倒したは、お前たちか?』と」

「……それって。つまり、アルケミたんのお兄さん(・・・・)、って設定??」


「ええ、そうだと思います。ザカールさん達も『これは勝てない』と踏んで、その場は直ぐに逃げ出したそうですが……。

恐らく、その門番を倒すことで、浮遊遺跡への道が開ける筈です。

とは言え、今はただの推測に過ぎないのですが……。

どうです? 多少リスクは有りますが、この話、乗ってみようとは思いませんか?」

「…………」

 わたし達3人は、またそこでお互いに顔を見合せた。

 そのあとで、わたしは苦笑い徐に口を開く。


「だけどさっ。ザカールさん達でも、手強いと感じて逃げ出した程なんだよねぇ? 

てことは、相当強いんでしょ??」

 興味があるのは確かなんだけど、そんな相手と戦ったら、わたしの装備品がどうなるのか……かなり不安になる。


「まあ、今のアリスの装備だと、また幾つか壊れる可能性があるからなぁ~っ。

そもそも大樹海の幻聖獣(アルケミたん)山岳地帯の黒龍(ヴォルガノたん)の亜種もヤバいってことで、1度は話も済ませていた訳だし……。ましてや、そんな強敵なんてな。

なぁ、真中はどうする?」

「え? どうするって私に訊かれてもな……そこはアリス次第だから。アリスが行くなら、私も着いて行くよ。

アリスが行かないなら、私も行かない」

「あ、いいよいいよ! 真中はわたしのことなんて気にしなくて! 

わたしは今晩、同じ地雷同士(・・・・)、冬馬さんと仲良くヴォルガたん狩りとか適当にやってるからさぁ~っ。

真中達は楽しんで来てよ♪」


 皆に着いて行きたいのは山々なんだけどさ。初めから足手まといになるって判っているからね? 


「バカ言うなよっ、足手まとい!」

「──ぅッわ!!?」

 わたしの隣に居たりなりぃが、急に腕を掴み、怒ったようにしてそう言ってきたのだ。


 それにしても──ぐはっ!!

 久しぶりに足手まとい(その言葉)、言われたなぁ~っ……あは、ハハ…泣けるっ!


「お前が居なくちゃ、意味がないだろう?」 

「──へ?」


「そもそも、お前の装備強化がメインなんだからなっ。それを忘れるなよ」

「そうだよ、アリス! だったら今晩は、一緒にヴォルガノ討伐に行こう! それなら良いんでしょ?」

「あ……ぅん。い、いや、待って! 二人の気持ちは、とても嬉しいんだけど。

でもさ、やっぱり折角だから、みんなで討伐して来なよ! でないと、他の人たちから先越されちゃうよぉ? 

そうなったら、勿体ない、って思わない?」


 わたしがそう言うと、みんな黙って、困り顔で互いに顔を見合せてる。


 何だか、気を使わせてしまったかなぁ?

 勿論、そう言ってくれた2人の気持ちは素直に嬉しい。それなのに、わたしって気の利いたことも言えず、本当に駄目だなぁ~っ。

 こんな時に、弥鈴ちゃんが居てくれたら、きっと、この場を直ぐに明るくしてくれるんだろうけど……。


 わたしがそうこう考えていると、りなりぃが急に苛ついたような表情を見せてきた。


「勿体ないと思うんなら、足手まとい。良いから、お前も来いよっ!」

「え? いやっ! だからわたしが行くと、本当に足手まといになるから……」

「もう、りなりぃ~……今の言葉の選択は、きっと間違えてるよ?」


 真中からそう指摘され、りなりぃは「しまったな」という表情をして、また何かを考えてるようだった。


 たぶん、言葉の選択の方かなぁ??


 

「……あのな。感動的になってるところ悪いんだけど、1つ言わせて貰ってもいいかぁ?」

 見ると、岡部くんが呆れ顔の半眼で、軽く手を上げていた。


「ザカールさんの話だと、討伐参加出来るのは、アルケミフォスを倒した(・・・)ことのあるメンバーのみ(・・)

参加条件が揃ってない他の奴等は、戦闘開始と共に弾き(・・)出される。

つまりな、現状で参加出来るのは、オレ達5人(・・)()カールさんと()エル軍曹と()馬さんということになる。

今だと最大で、8人まで(・・・・)パーティーが組めるから、これで丁度(・・)8人。

しかも、相手は強敵。寧ろ、猫の手も借りたいくらいなんだ。ましてや、アリスの補助召還魔法は、有ると大変ありがたい。

この意味、判るかぁ?」

「…………え? あれっ??」

「「ンっ!!?」」


 結局のところ、どのみちわたしが参加するのが前提(・・)だったっポイ??

 じゃあ、ここまでの時間、何だったの?



 ──ぐはっ!!



  ◇ ◇ ◇


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