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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第一期】、第2章《デュセオルゼ=ヴォルガノフス討伐!》
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 デュセオルゼ=ヴォルガノフスは、首都グレゴリアから遥かに離れた北部の山岳地帯に住み着く巨龍王で、炎を吐き毒のブレスも吐く体長モニター画面範囲超えの巨龍だ。近づくとその全体像が分からなくなるほどにバカデカいらしい。

 それでいて動きも早く、棘の生えた尻尾による360度回転攻撃をモロに受けると、かなり致命的なダメージを受けるので注意が必要。

 場合によっては、それで瞬殺されるとか……。


 わたしは今、その山岳地帯の入り口辺りで、マーナと二人して岡部くん達が来るのを待っていた。

 間もなくワープポイントにGMのねこパンチさん、ランズベルナントさん、カエル軍曹さん、それから……なんとフェイトさんまでもが現れた!


 わたしはそれで、思わずドキドキとしてしまう……まともに顔なんか見れないよぅ~…。



「あれ? そう言えば、岡部くんは……??」


 あ、そっか。

 考えてみたら、ゲーム内ではニックネームを使うのが普通。となると……ハハ、キャラ的にカエル軍曹さん辺りかな?


 わたしは勝手にそんな風に理解し、カエル軍曹さんへニコニコと笑顔を向け、軽く手を振ってみる。

 するとカエル軍曹さんも、そんなわたしに合わせ、嬉しげに手をにこやかに振ってくれていた。


 うん。これはもう間違いないかな?

 わたしはそう理解する。



「では早速、行こうかにゃ♪」

「「「にゃにゃん♪」」」

 

 わたし達はねこパンチさんの声を合図に、デュセオルゼ=ヴォルガノフス討伐に向け、険しい山岳地帯を登るようにして走り出した。

 途中に居る雑魚にしても、この辺りくらいのレベルだとかなり手強い。

 が、わたしを守るかのようにして、みんなあっという間に狩り倒し、次へ次へと先に走り進む。


 やがて急に開けた土地が現れ、その向こうに何か大きな影が見える……まさか、アレが?!

 想像以上の迫力だった。今まで攻略サイトでしかお目かけしたことのないデュセオルゼ=ヴォルガノフスの本物が、無警戒にも静かに眠っている。


 それにしても……本当にデカいな!!



「アリス、予定通りお前は後ろで隠れて補助系魔法だけ掛け続けてくれ」

「あ、はい!!」


「ほいなら、行くにゃー!」

「「「にゃにゃん!」」」

「にゃ、にゃん!!」


 わたしは初めてということもあり、みんなから遅れ後からついてゆく。そしてもうそろそろかな?と思い、白魔法〈フィラルザ〉と黒魔法〈ベスティファル〉の2つ魔法をほぼ同時に発動、そして上級召還術士スキル〈フェルフォルセ〉を唱えた。


 すると先に唱えた2つ魔法が〈フェルフォルセ〉の中へと吸収され、間もなく発動可能スキル一覧が表示される。それから即座に、スキル発動。

 

「《デルタフィルホールド》」


 途端、パーティーみんなの防御力と耐魔法が上がる。

 更にわたしは続けて〈ティアラス〉〈ザグラスト〉の2つ魔法を発動し、即座に〈フェルフォルセ〉を唱え、《リミットオーバーキル》を発動する。


 間もなくスキル効果により、パーティー全員の攻撃力と魔法打撃力が増大する。それに呼応して、ねこパンチさん達はデュセオルゼ=ヴォルガノフスへ攻撃開始した。



 攻撃を受け、慌て起き出した巨龍王は咆哮を上げ暴れ始める!



 それが衝撃波として、こちらの精神力を削ってきた?!

 わたしとしては、かなり貴重な精神力を……!! 仕方なく、わたしはカムカの実を袋から取り出し、いつもの様にポリポリと食べる。


 尻尾をただ地面に叩きつけられると、瞬間的に身動きが取れなくなり、咆哮を上げられるとその間は術を唱えられなくなる。でもその時が逆に攻略チャンスらしく、そのタイミングでみんな一斉に攻撃していた。

 見事だ!


 マーナも始めは要領を得なく上手くはなかったけど、段々と慣れてきたらしく、他のみんなにも引けを取らない動きを見せ始める。

 凄い対応力だ!


 その間わたしは、皆から離れた場所に居て、適当に補助系魔法で支援しながらその様子を窺う。



 そうした攻防が凡そ45分も続き、やがて巨龍王デュセオルゼ=ヴォルガノフスは絶叫をあげズシリと倒れた。


 それに合わせ、経験値とリフィルが手に入る。

 が、その討伐貢献度に応じて自動的に分配配布されるので、わたしはそんなに多くは貰えなかった。何せ遠くから、支援していだけだしね?

 でもドロップアイテムは、ランダムの一定確率で貰えるので、それに期待する。



【アイテムドロップ】

『ヴォルガの牙(Sレア素材)』

『巨龍王の宝玉(SSレア素材)』

『邪龍王の大剣(レア武器)』

『巨龍王の皮(Sレア素材)』

『なんかの皮(素材)』

『カムカの実』



「……剣? はぁ…」


 レア武器なので、恐らくは強力なんだろうけど。このゲームはアイテムの受け渡しが出来ないので、結局は売り払う他ない。

 思わずため息だよぉ~……。


「アリス、どうだった?」


 真中だ。


「はは……世の中そんなに甘くはないようで……」

「そか、ダメだったか……一度討伐すると、最低でも二時間は出てこないからな」

 誰かと思えば、フェイトさんだ。とても残念がってくれている。なんだかそのことが、わたしには凄く嬉しく感じられた。


「この先にも、もう一頭居たと思うけど、どうする?」

「オレは大丈夫だけど、時間的にみんなどう?」


 言われて今の時間を確認すると、もう23時半を回っていた。このあとやらなければならない装備の修復やアイテムの売買などを考えると、ここまでが限界かも?


「すみません……わたしはこれにて、失礼させて頂きます。今日は大変、お世話になりました!」

「……そか、時間が時間だしね? アリスたん、お疲れ♪」

「わたしも、これで失礼します。今日は本当にありがとうございました!」


 真中だ。


「おつさまー♪ マーナちんは良い働きをしていたし、また一緒に狩りましょん」


 わたしは、ねこパンチさんの何気ないその言葉を聞いて、内心ズキリとした。

 まあ実際、わたしは戦力外だったのは間違いなく……思わずため息だよ。


「アリスもお疲れ! 決戦まであと2日あるし、明日も良かったらデュセオルゼ討伐参加よろ♪」

「……。はい!」


 フェイトさんのその一言に、救われた気がする。

 それはそうと……岡部くんこと、カエル軍曹さんは何も言ってくれない。

 まあアイツなんて、そんなもんか? それにしたって、意外と冷たいなぁ……。


「じゃねー! アリスたん♪ また明日も遊ぼ」

「……」 


 そう思っていると、カエル軍曹さんがそんな一言を言ってくれた。

 が、なんか岡部くんらしくない気がしたけど……まあ、いっか?



 そのあと直ぐ近くにいたマーナに、「たぶんカエル軍曹さんが岡部くんだと思うよ?」と伝えると。マーナは驚いた顔を見せたあと、それからソワソワとカエル軍曹さんの側へ、モジモジしながら向かって行った。


 わたしはその様子を笑顔で見送ったあと、テレポートで首都グレゴリアへと帰還する。




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