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「「わあー! ゴージャスだああ~!!」」
あれから一度部屋へ戻り、少し休んだあと浴衣に着替え、ゆっくりと風呂り、そのあと三階のフロントで太一達と待ち合わせ、夕食を頂きにレストランへと向かった。そこで係りの人にチケットを渡し、指定の席へと案内され驚いた。
そこには綺麗に盛り付けられた料理がたくさん並べられてあったのだ。
「太一っ、こんなに本当にいいのっ!?」
「いや……僕もここに来て驚いていたところなので……」
「だよなぁ? 何せオレ達、今夜はお茶漬け程度なんじゃないかと、さっき話てた所だからなぁ……部屋はあんなだし……。
気づいてたか? オレ達の部屋、窓が1つも無いんだぜぇ~っ……お前のおばさん、マジで鬼…」
「こらこら、馬鹿なことを言うんじゃないの」
「「「──!」」」
そこには太一のおばさんが立ってた。さすがの岡部くんも、それで慌ててた。
「あなた達だけなら、そうした可能性はあるけど。こんな育ち盛りの可愛い女の子を相手に、そんな可哀想なこと出来る訳ないでしょう」
「「「わ、ありがとうございます!!」」」
「それでぇ~っ♪ 太一の彼女って、どの娘なの?」
「「「は!?」」」
おばさんはイタズラっぽくにっこりと笑み、それから聞いてきたのだ。
その瞬間、周りのみんながわたしをじっと見つめてくる。それを見て、太一のおばさんは微笑む。
「あらあら、とても可愛い娘じゃないの。太一、あんたもなかなかやるわねぇ~♪
じゃあ、ごゆっくり。沢山食べてってねぇー」
おばさんはそう言い、わたしに軽くウィンクをしてテーブル席から離れていった。
「……アリス、やったなぁ? 作戦どおり、これで晴れて公認だ」
「へ??」
りなりが急にそんなことをポツリと言ってくる。
「うん……。つまり、外堀から埋めてゆく作戦ってやつぅ? 何だかよくわからないけど、上手くいってるね?」
「い、いやっ、ちょっ、待って! 作戦って、なにッ?! 何の話ですかあっ??」
「お前ら、いつの間にそんな作戦やってたんだぁ? アリス……お前も意外と大胆なやつだなぁ?」
「──いやっ、そんなことやってないですからっ!」
ここで改めて言うけど、そんなことやってません。
太一とは確かに仲良しの友達だけど、でも考えてみると、まだ正式に恋人同士になってなかった。デートもまだだし、手だってまだ繋いで歩いたことすらないんですから!
って……言っててなんだか空しくなったな、はぁ~っ。それなのに何もかも飛び越えて公認とかあり得ないよ。
こうして改めて考えてみるとさぁ、太一はわたしのこと、本当のところどう思ってるんだろう?
何だか急に、不安になってきたよぉ~っ。
そのあとも次から次に料理が運ばれて来て、わたし達はその度に歓喜の声をあげ続けた。でもわたしは、内心それどころではなく、味なんて最後までよくわからなかったよ……。
◇ ◇ ◇




