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COUNT DOWN.2 素直。

俺は、補習終了のチャイムが鳴るのを待って教室に入った。


「おはよ。崇宏、余裕だな」

慎哉(シンヤ)。はよ。別に、余裕って訳じゃ…」

「あー…樹梨ちゃん?さっさと告ったら良いのに」

「それが出来たら苦労しないから」

「俺が見てる限りでは、樹梨ちゃんも崇宏の事好きっぽいけど?」

「はっ。有り得無いから」

「前から言おうと思ってたんだけど」

「何?」

「崇宏って、冷たいよな」


俺は、何も言わなかった。

慎哉の言葉を無視して、自分の席に座る。

慎哉も、少し気まずそうに頭を()きながら、自分の席に戻った。


冷たい?

強がり?

判ってるよ、そんな事。

樹梨にあれこれ言う前に、自分の態度直したら?

判ってんだよ、そんな事。


苛々してきて、担任が教室に入って来たのにも関わらず、俺は席を立った。


「池内?どうした?」

「…気分悪いんで。保健室行って来ます」


そう言い捨てて、俺は担任の言葉も聴かずに教室を飛び出した。


俺の学校の保健医は、女の先生。

まぁ、当然なんだけど。

でも、凄く若くて。

美人で。

俺らの話も、ちゃんと聴いてくれて。

男子生徒からは勿論、女子からも絶大な人気を誇る先生だったりする。


「失礼しまーす…」


遠慮がちに、保健室のドアを開けた。

最近、此処に入り浸っていて、軽く嫌味を言われるから。


「崇宏。いらっしゃい」


保健室の主は、軽く俺を招きいれた。

…何だ。

俺以外誰も居ないんじゃん。


「今日はまだ誰も来てないんだ?」


保健医のデスクの脇にあるソファが俺の指定席。

俺はそのソファに座って、綺麗に足を組んで書類に眼を通している女に声を掛けた。


「こんな時間に来るのは、崇宏ぐらいよ。また、何かあったの?」


持っていた書類をデスクに置き、彼女は俺に視線を合わせた。

絡み合う視線。

俺は、少し視線を外して言った。


「慎哉に…冷たいなって言われた」

「慎哉…。ふーん…。それで?」

「…判ってんだろ?亜貴(アキ)

「おいで」


亜貴は微笑んで、手を広げた。

俺は躊躇(タメラ)わずに亜貴の元へ走った。


――一方。

樹梨のクラスでは。


「あぁぁー…」

「ちょっと。煩いんだけど」

柚依(ユイ)…。冷たい…」

「元からなんだけど」

「柚依も冷たい…」

「は?…あぁ、池内の事?」

「池内って呼び捨てにするなぁ!!」

「だって、崇宏って言ったら樹梨、怒んじゃん」

「そぉだけどぉー…」

「じゃ、良いじゃん、池内で」

「何で柚依は崇宏の事、池内君て言わないの?」

「君付け、嫌いだから」

「本当にぃ?それだけ?」

「てか、ウザいよ。そんなに池内が気になるなら、教室行けば良いじゃん。隣なんだし」


柚依はそう言うと、廊下の方へ首を振った。

樹梨は、そのまま読書し始めた柚依を恨めしそうに見つめると、決心したのか、立ち上がった。


「…行って来ますっ」

「はいはい」


柚依は、本から眼を離さずに、手だけ樹梨に振った。



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