COUNT DOWN.18 想愛唄。
囁き声に近いぐらいの樹梨の声。
相当恥ずかしいのだろう。
まぁ、当たり前だ。
好きな人と同じ布団で一晩過ごすなんて…。
不安と期待と半々、といった所だろうか。
それより、作者は崇宏の理性が持つかどうかが気になる。
まぁ、自分から言い出したんだし、持たなかったら最低男のレッテルを貼られるだろうが。
「嫌?昔はよく一緒に寝てたじゃん」
何ともあっけらかんとした返事である。
樹梨の「昔と今は違うじゃん!!!」と心の叫びもよく判る。
崇宏少年よ、君は何処までマイペースなのだ…?
「気にしない気にしない。今日、親居ないし」
重大事項をさらっと述べるなー!!!
樹梨の叫びも最もである。
それでも、樹梨も諦めたのだろう。
大人しく、崇宏と1つの布団に横になった。
「電気消す?」
「…寝顔見られるの恥ずかしいから、消して」
「んー」
崇宏の声から一瞬置いて、部屋の明かりが消えた。
暗闇の中、樹梨の緊張はどんどん高まっている。
どうしようどうしようどうしよう…。
この状況、訳判んないんですけど!!!
てか、あの崇宏の豹変振りは何?
からかってるの?
学校じゃ見せない顔だとは言え、どっちが崇宏の本音なのよぉー!!!
…多分、崇宏の事だから両方とも大真面目だろうとは思うが。
そこまで崇宏の事を理解している訳でも無く(崇宏が避けていたし)。
樹梨の苦悩は眠りの落ちるその瞬間まで続いた。
夕方聴いた『好き』の意味も、判らないままに…。
樹梨は眠りに落ちていった。
時計の針が、3を過ぎた頃の事。
1つの影が動いた。
そっと起き上がり、隣に眠る愛しい人の顔をじっと見つめる。
暫らくそうした後、影が落ちて重なった。
何の迷いも無い、流れるようなその動きは。
確かに愛しい人へキスを落とした。
相手は知らない。
自分1人のキス。
言葉に代わる、想いの表現。
その柔らかな吐息の後に零れたのは、短な1つの唄だった。
君が居て。
僕が居る。
これ以上に、何が必要?
君の為に
僕は唄うよ...
―僕の全てを捧げよう―
君に今
伝えたいんだ
想
愛
唄