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ああ、あたしお嫁に行けない

登場人物

 宮原みやはら 琴音ことね:女子校生。本編ヒロイン。

 竹之内たけのうち りょう:琴音のクラスメイト。

 ヤス:日向家で飼われている猫。

竹之内:「え?何?僕にも自己紹介しろって言うの?

 そんな事言われても、何がどうなってるか、まだ全く状況が飲み込めて無いんだけど・・・」

琴音:「いいからやんなさいよ。私だってしぶしぶやらされたんだから」


竹之内:「僕、竹之内亮16歳。えーと、高2です。

 普通の高校生です。

 パソコンが得意かな。

 あ、あの得意っていうか人よりはちょこっと出来るっていうか、

 まあその程度です。

 よく、性格暗いって言われるけど、脳天気に明るいよりは、

 いいんじゃ無いかな。

 ははは。

 最近、記憶が飛ぶ事あります。

 何か病気なのかな?

 暴力反対・・・」


-----------------------------------


琴音はとぼとぼと病院からの帰り道。

(もう、何が何だか解らなくなったわ)

竹之内はその後をニヤニヤしながら付いて行く。

「もう、あんた、どこまで付いて来るの?」

「ワシはその、お前が心配じゃからな」

「ヤス、あんたはいったい私に何をさせたいの?」

「みんなを守るスーパーアイドル巫女になるってのはどうじゃ?」

「ばっかじゃないの」

「そうじゃ、これから神社に行ってみぬか?」

「巫女になるって決めたのじゃ、神社を見ておいて損はないじゃろ?」

(別に、まだ決めたっ訳じゃないのに)

しぶしぶ琴音は竹之内に付いていく。

「そうじゃ、いい機会じゃ。

 お前からこの男にいろいろと説明をしておいてもらえないかの。

 この男もワシに取りつかれて相当混乱しとるようじゃしな」

「嫌よ、あんたが自分で説明すればいいじゃない」

「ワシではこの男と会話するすべがないのじゃ」

「ワシはこの男の身体を借りないと普通の人間と会話する事は出来ないのじゃ」

「要するに、お前のような凡人と話す為に、

 この男の身体を借りているという訳じゃ」

「じゃあ頼んだぞい」

そう言ったとたん、前を歩いていた竹之内は立ち止まった。

「竹之内君?」

竹之内は振り向きニヤッと笑い琴音に近付いてきた。

次の瞬間、竹之内は両手で琴音のスカートの裾を衝かんで大きくめくりあげた。

「ギッ、ギャー」

琴音は悲鳴をあげると同時に竹之内の頬を両手で平手打ち。

「痛い」

竹之内は頬を押さえてうずくまる。

「もう、あんたが悪いんだからね」

「ご、ごへんなはい」

ニャー

竹之内の後ろから猫のヤスが現れた。

「え?あれっ、ひょっとして竹之内君?」

琴音が猫をキッとにらむと、そのまま猫は草むらに逃げて行った。

あわてて追いかけたが、既に猫の姿は何処にも見当たらない。

気まずい雰囲気、そしてしばしの沈黙。

「え、えっと、見たよね?」

琴音がそう聞くと竹之内は顔を真っ赤にしてコクりとうなずき、

その後、しまったという顔をして首を横に振る。

「ヤスの奴、あのタイミングで入れ替わるなんて。

 ああ、あたしお嫁に行けない」

琴音は涙ぐむ。

「ごめんなさい」

竹之内はもう一度謝る。

「あ、でも、竹之内君が悪い訳じゃないの」


「ねえ、妖怪って信じる?」

そう言って琴音は今までの経緯けいいを手短に竹之内に説明した。

「猫が僕に憑依ひょうい?」

「すごくHな猫の妖怪。本人は巫女に仕える霊獣って言ってるけどね」

「そいつが竹之内君じゃないと憑依出来ないらしいの」

「ごめんなさい。私、竹之内君に暴力ふるってばかりだよね」

「顔がこんなアザだらけに

琴音は済まなさそうに竹之内の顔を覗き込む。

「僕は大丈夫です。大変なのは宮原さんの方です。

 僕なんてただ憑依されてるだけですから」

竹之内はアザだらけの顔で明るく笑う。

(あれ、こいついつも暗い顔ばかりしてると思ったのに、こんな顔もするんだ)

(一応、私に気を使ってくれてるんだ)

「これから私、神社に行くの。竹之内君、付き合ってくれる?」

「うん」

「あ、それからさっき見た事は忘れます」

(こいつ、ただ暗いだけの奴じゃ無いみたい)

琴音は少し足取りが軽くなった。

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