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私はもう長くはないわ。後の事はあなたが頼りよ

登場人物

 宮原みやはら 琴音ことね:女子校生。本編ヒロイン。「女の胸は、形よ形。それと感度よ」

 竹之内たけのうち りょう:琴音のクラスメイト。

 ヤス:日向家で飼われている猫。「琴音よ、お前もワシの事『ヤス様』と呼べ」

 日向ひゅうが さくら:琴音の祖母。60代目巫女さん。現在入院中。

「私、宮原琴音16歳。市内の高校に通う高校2年生よ。

 家族はお父さんと二人暮らし。

 お父さんが私に甘過ぎるのが悩みの種ね。

 お母さんは、私が小さい頃に家を出て行ったわ。

 浮気とか家庭内暴力とか、そういう原因では無いみたいだけど、

 その頃の私はまだ小さかったから、詳しい事は解んない。

 何故か、その時の事、私あまり覚えてないのよね。

 学校での成績は中の上ね。部活は弓道部で頑張ってるわ。

 前の大会では、結構上位に入ったのよ。

 まあ、やれば出来る子って感じね。

 ルックスは、自分で言うのも何だけど、いい先いってると思うわ。

 高校に入ってから、男子に告白された事も何度か有るわね。

 あっ、でも心に決めた人(♡)が居るからお付き合いは断ってる。

 スリーサイズは内緒。

 高校生がそんな事、教える訳ないでしょ。

 学年貧乳ベスト3って言われてるみたいだけど、女は胸の大きさじゃないのよ。

 形よ形。それと感度よ。

 もう、何言わせるの。

 こんなとこで、ヒロインに自己紹介させるなんて、

 作者、頭腐ってるの???」


-----------------------------------


琴音は学校帰りに祖母が入院している病院に立ち寄った。

(おばあさんに話を聞けば、真実が解るわ)

病室に入ると祖母の桜が笑顔で迎えてくれた。

「琴音、お前が見舞いに来てくれるとは、私にとっては何よりの薬だよ」

「おばあさん、すぐに見舞いに来られなくてごめんなさい」

「いいんだよ。近くに来て顔をよく見せておくれ」

「今日はね、おばあさんに相談が有るの」

「入院中で悪いと思ったけど、私にとってとっても大事な事なの」

何から話そうかと琴音が言葉に詰まっていると、

「ヤス様の事ね」

桜の方から話を切り出した。

「えっ?何で解ったの?」

「数日前にここにヤス様がみえて、『後は自分が何とかする』って

 言ってたからちょっと心配していたの」

「琴音の所に行ったのね。まあ、それしかあの方には選択肢は無いだろうけど」

「お前にも迷惑かけたようだね。済まなかったね」

「あいつ、私に巫女になれって言うんだよ」

「そんな事、出来るわけないのに」

「あれあれ、ヤス様もせっかちだねえ」

「でもね琴音。これは以前から決まっていた事だったのさ」

「お前の母さんがお前の家を出て行った時から決まっていた事なの」

「本当はお前が高校を卒業する時に私から伝えようと思っていたんだけどね」

「私がこのザマだからね。許しておくれ」

「ヤス様の言う通りにしていれば、お前は立派な巫女になれる、それは保証するよ」

「でも、あいつ、私にパンツを履いちゃダメって言うんだよ」

「ふふふ、あの方らしいわね。まあ極端だけど、それは間違っていないわ」

「私みたいなおばあちゃんでも神事の時はパンツは履かないのよ」

「私はもう長くはないわ。後の事はあなたが頼りよ」

ゴホゴホッと桜は咳き込んだ。

琴音はそんな祖母の背中をさすって寝かせた。

「おばあちゃん、無理しちゃダメだよ。もう休んで」


(ヤスの言っていた事はみんな事実だった)

琴音は呆然ぼうぜんとして病室を出た。

(おばあさんも、『ヤス様』ってなによ。まるであいつが偉いみたいじゃない)

(いずれにしても、私がおばあさんの分まで頑張らなきゃいけないって事ね)

病室を出てすぐに琴音は看護婦とすれちがった。

「あっ、お嬢さんお見舞い、もういいの?

 あなたのおばあさん70代だっていうのに若いわね。

 何でも若い男と北海道にスキーに行って足を折ったって話よ。

 それに先生がおばあさんの回復力は30代並みだって驚いてたわ。

 もう数日で退院じゃないかしら」

「えっ?えええー?」

(私、いろいろだまされてる???)


病院を出ると、竹之内が外で待っていた。

「あのババアは、ワシより上手うわてじゃぞ」

そう言ってニィっと笑った。

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