スカート以外はみんなNGじゃ
登場人物
宮原 琴音:女子校生。本編ヒロイン。「スースーするんだよな」
竹之内 亮:琴音のクラスメイト。なんか更にボコボコに、可哀想><
ヤス:日向家で飼われている猫。「霊獣も温もりが欲しいのじゃ」
日向 桜:琴音の祖母。60代目、巫女さん。現在療養中らしい。
「これで、少しは信じてもらえたかの」
「解ったわ。証明の仕方が激しく納得いかないけど、とりあえず話は聞いてあげる」
「あんた、本当にヤスなの?」
「さっきから、そう言っておるじゃろ」
「なんか猫と話すなんて不思議な気分。語尾に『にゃん』とか付かないのね」
「お前は、アニメの見過ぎだろ」
「これから話す事をよーく心に刻んでおくのじゃぞ」
「日向の家は、代々神官としてこの地を納めてきた」
「だがそれは表向きの話じゃ」
「日向の巫女が、遠い昔から今日まで、物の怪や怪異からこの地を守ってきたのじゃ」
「桜様はちょうど60代目の巫女様じゃ」
「ワシはそんな桜様を助けて怪異と戦ってきた」
「お前は、そんな桜様に代わってこの地を守らねばならぬ」
「そんな、急に巫女だとか妖怪とか言われたって、私に出来る訳ないじゃない」
「その点は心配いらん。ワシはお前に高望みなどしない」
「基本的には巫女の存在自体が怪異を押さえる鍵になるのじゃから」
「お前はこの地にあって霊力を高め、巫女として存在し続ければいい」
「解ったわ」
「でもそれが、パンツ履かない事だって言うのがすごくひっかかるけど」
「じゃあ、パンツを脱ぐのじゃ」
「え?今?ここで?」
「物は試し、善は急げと言うじゃろ」
「じゃあ向こうを向いてて」
「ワシは霊獣じゃぞ。人の裸なんぞに興味はないわ」
「何か、あんたと話してると、どっかの変態おやじと話してるようで、嫌なのよ」
「仕方ないのう。じゃあ向こうを向いてるから、さっさと脱ぐのじゃぞ」
(あーあ、こんなとこを、おとうさんが見たらなんて言うかな)
「脱いだわよ」
「よしよし、じゃあ目を閉じてみい。どうじゃ。大地の気を感じるじゃろ」
琴音は素直に目を閉じ、大きく深呼吸した。
「うーん。解んない」
「まあ、すぐに解るほど甘くは無いと言う事じゃ」
「・・・って、あんた今、何をポケットに入れたの?」
「まさか、ひょっとして、今まで履いていた、あたしのパンツでしょ?」
「いやあ、温もりが欲しくっての」
「気持ち悪い事言って、まだ殴られ足りないの?」
琴音は竹之内に何度もケリを入れてパンツを奪い返す。
「これが目的だったのね。最低!」
「イテテ、お前がここまでの暴力女じゃったとはな。
末恐ろしい・・・いや頼もしいと言った方がいいの。
じゃあ、明日からノーパン登校、よろしく頼んだぞい」
「まあいいわ。パンツ履けなくても、スカートの下にジャージのズボンとか履けばいいんだし」
「はあ?」
「お前、ワシの話をちゃんと聞いてたか?」
「大地との間の遮蔽物は一切NGじゃ」
「パンツもズボンもストッキングも、スカート以外はみんなNGじゃ」
「そんな、風が吹いたらどうするの?それにスースーして風邪を引いちゃうじゃない」
「無理無理無理。絶対無理」
「もしノーパン女だってバレたら先輩に嫌われちゃう。っていうか、それ以前にお嫁に行けない」
「やれやれ、やっぱりお前には事の重大さが解っておらぬようじゃのう」
「怪異がはびこれば、疫病が蔓延し天変地異が絶え間なく起こるじゃろう」
「この地はさながら地獄絵図と化すのじゃ」
「そんな事言われたって無理よ。それに何であたしなの?」
「もう1日だけ時間をやる。明日まで決心するのじゃ。解ったな」
「ただいまー、琴音、とうさん今帰ったよー」
琴音の父親が帰ってきた。
「えっ?ここ何処?」
竹之内の表情が一変、いつものオドオドした表情に戻っていた。
「竹之内君。ここはね。あたしの部屋なの」
「ごめんなさい。訳は後で話すわ。今日は帰って」
竹之内は顔を真っ赤にして帰って行った。
(あいつにとっても、いい迷惑だよね)
琴音はちょっと竹之内を気の毒に思った。
(これは、おばあさんに会って確かめるしかないわ)