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今日からお前はパンツを履くでない!

登場人物

 宮原みやはら 琴音ことね:女子校生。本編ヒロイン。・・・たぶん。

 竹之内たけのうち りょう:琴音のクラスメイト。真面目だが女の子と話せない小心者。

 ヤス:日向家で飼われている猫。本人曰く霊獣らしい。

 日向ひゅうが さくら:琴音の祖母。現在療養中らしい。

 藤崎ふじさき 麻里まり:女子高生。琴音の親友。

「今日からお前はパンツを履くでない!」


女子高生の琴音はクラスメイトの竹之内から昼休みに裏庭に呼び出され、突然そう言われた。

「はあ?」

あまりにも突然の事に琴音の頭は動転していた。


(こんなパソコンおたくの男、女の子に話しかけられても、いつもおどおどしてる奴が何故?)

琴音自身、竹之内と同じクラスになってから今まで彼と話した記憶は全くない。

「お前は一日中、パンツをく事はならん」

竹之内は繰り返す。

「あ、あんた。妄想もうそうで頭がおかしくなったの?

 警察に捕まりたいの?」

「パソコンばかりしてるから、2次元と現実の区別もつかなくなってるの?

 これだからオタクって奴は白い目で見られるのよ」

それを聞いて竹之内は、ふうっとため息をついて、

「やれやれ、全く世話がやけるの。お前にもっと霊力さえ有れば、こんな面倒な事はせずとも良いのだが」

ニャー

ふと気が付くと、琴音の足元には祖母が飼っている猫がいた。

「あれっ、ヤス、どうしてここに居るの」

琴音はそう言って猫の頭をなでる。

猫の名はヤスという。

「ほら、今、お前の目の前にいるワシが『ヤス』じゃ」

竹之内は自分を指差してそう言った。


「何から話すべきかのう」

「この男の身体を借りたのは、たまたまお前の周りにはこの男しかワシと波長が合う者が無かったからなのじゃ」

「たぶん、こやつの祖先もこの土地に関わりが深い者なのじゃろう」

「先日、お前の祖母、ワシのご主人、桜様がお倒れになったじゃろ」

「なんであんたがそれを知ってんの?」

琴音は騙されないぞと言う顔をして竹之内を睨む。

「だから、ワシがヤスだと言うておろうが」

「お前には桜様の代わりを務めてもらわねばならぬ」

「ひょっとして私に巫女をやれって言うの?」

「無理無理、だいたい私、おばあちゃん家の神社の事、あまり知らないし」

「ワシだって、お前みたいな素人に頼み事などしたくはないわ」

「だがな、巫女は日向の血を引く者でなくてはならぬ」

「それに今は代わりの者を探す時間も無いのじゃ」

「あんたの話を信じるとして、なんで巫女とパンツに何の関係があるのよ」

「だからの、巫女の霊力と言うのは大地から得られるのじゃ。

 大地と会話し大地の気力をもらう事で巫女自体の霊力が上がるのじゃ」

「お前さんのように霊力が足りない者は大地との間に少しの遮蔽物しゃへいぶつがあってはならんのだ」

「だから私に一日中ノーパンで居ろって言うの?バカバカしい」


教室に戻った琴音に友人の麻里が近づいて来た。

「なになに?ひょっとしてオタク君から愛の告白かな?」

麻里は琴音の一番の親友。

「何言ってんの。あいつにそんな度胸が有る訳ないでしょ」

「だって琴音〜。竹之内君、教室に戻っても琴音の事ガン見だよ」

背中に視線を感じて琴音が振り返ると竹之内が自分の席でこっちを見ながらにっこり微笑んでいる。

竹之内は琴音が自分の方に振り返ったのを見て手を振っている。

「あいつ〜」

琴音は耐えきれなくなって竹之内の机の前まで来た。

「あんたねえ。セクハラって言葉を知ってる?」

「なんだ、恥ずかしいのか?ふふふ、生娘きむすめよのう」

パン!

反射的に琴音は竹之内のほおをぶっていた。

そこにはいつもの気弱な男子が座っていた。

みるみる彼の目から涙が落ちる。

「あ、ごめん」

琴音はとっさに謝っていた。

「うわ〜ん」

次の瞬間、竹之内は泣きながら走って教室を出て行った。

教室は一瞬シーンと静まり返る。


「琴音、さっきのはちょっとひどかったんじゃない?」

学校からの帰り道、琴音は麻里にさとされていた。

「あの後、竹之内君、早引きしたそうよ」

「あたしもちょっとやり過ぎたって反省してるよ」

「でも、あいつがあんまり変な事言うからさ」

「え?変な事???」

麻里は興味津々の顔で琴音をのぞき込む。

「まあ、明日ちゃんと謝るよ」

「麻里ごめん、これから寄るとこ有るから、明日ね」

(麻里の奴、結構鋭いとこ有るからな)


「で、何でお前がここに居るんだ?」

自分の家に戻った琴音は予想外の来客に困惑していた。

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