王子様と出会うには
さて、後宮入りしてから手続きなどの面倒ごとでバタバタしていたがようやく落ち着いてきた今日この頃。
政治の中心から遠いような遠くないような距離のわが家に牽制しようとなんていう人はいなく数十人いる「女」の中の一人として与えられた部屋で芋虫のように私は過ごしていた。
広い部屋に窓から見える庭園。
話によると最近陛下が籠妃の要望に答え新設された庭園らしい。
本人の名前になぞらえ「クラムソンアリーの庭」
と、なづけられたこの庭は、ほかの小規模で趣が違う庭を見下すような華やかで大振りな花が咲き誇っておりほかの庭園が引き立て役としてあるように視える
華やかで苛烈で強烈。存在するだけで周りをかすませてしまうクラムソンアリー妃をあらわすような美しく壮大な庭はもう一人の彼女自身かのように咲き誇っていた。
しかし、私の目標は壮大な庭もきらびやかな世界も手に入れるという大いなるものなのだ。
いつかはこれすら手に入れる、そう考えると汚いアレにも気づかないフリができた。
(だけど、玉の輿といったってどこで出会えばいいのかしらね。あいにく素敵な男性がいる場所なんてしらないし、外へ行く根性もないしなぁ…)
そうなのだ
自分は外に出る勇気も無くどうしようもなく燻っており部屋の中で芋虫のようにすごしているのである。
ほんとうにどうしようかと悩んでいると…
「失礼します。ヤドアルージェ様 今夜陛下のお渡りがあるそうです」
本当に運がいい
☆
この国での王の後宮に入る際の手続きの一つに仮名をもらうという重要事項がある。
仮名は、陛下自身が考えており今のところ奇怪な名前あれど気持ち悪い名前は無いので王家のセンス遺伝子はなんとなく無事だということがわかっている。
だがしかし、いつ名前付けのセンスに恵まれない坊ちゃんが王様になるかわからないのだ この危ない、ご令嬢(たまに男)の仮名が原因でいじめられたなんて事件を起こす可能性のある伝統はやめるべきだと私は思うのだ。
ぐたぐたいってるが何を伝えたいかというとぶっちゃけ私がめっちゃ緊張してるということだ
処女で生娘で純情で乙女で初心でウブで破廉恥で淫乱予備軍の娘に一人寝室で夜中に恥ずかしいネグリジェ姿で待たせるとはどういう了見だ
性的なことに関心があるから一人で待つのは辛いんですよ!?
そのことはこの国の王様はわかっておいでなのだろうか
3時間待っても来ないとかどういうことだよってことだよ…
というか寝るのに化粧をさせられ王様も寝るときまで絵をかくよう化粧品にぬりたくられた仮面女と寝るとか大変だなーなんてどうでもいいことを考えて頭をさえさしていたが、もう眠い
王様&実家ごめんね。
アルは眠ります・・・
というわけで寝ました・・・
ヒロインとしてだめのような気がします