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   +シルク・ダーウィン+

今回は、第1章の最終部分です。シルクが、ほんの少しだけ、リーエムを信じます。

 それからだった。師匠の刑が、翌日には決まり、私の里親も遠くの町のルー・ナドと、言う人に決まり、この町の二級神官として、クウィンタぺッドが迎え入れられた。

「この話、信じる?」

シルクは、ちょっと考えた。

「お前、なんの罪を師匠がかぶったか、知ってるか?」

「殺人って言う事以外何にも。」

シルクは、そんなこったろうと思った、と言った。

「俺の両親以外に、11人が殺されている。あわせて、13人の死者だ。お前の師匠の無罪を唱える奴も、6、7人程いる。お前がいった様に、殺されたのは買い物をしていた時刻だ。アリバイがる。が、しかし、神官じゃないとできない事がいくつかあるんだ。」

シルクは、信用しているのか、信用していないのかよく分からない。

「魔傷があるんだ。」

「マショウ?」

シルクは、うなづいた。

「呪われたり、火ではない、雷のような光線の痕。こんな事ができるのは....。」

「だから、師匠はやってないんだって!!師匠は、光線の魔法をそんなに上手に使える人じゃない!もし使えるなら、加減の調節ができる、クウィンタぺッドに決まってるじゃない!!」

「でも証拠なんかは...。」

その時、いきなり雷が鳴り、家が揺れた。私は、シルクに旅の用意をする様にと言った。これは、どんなに鈍感な人にだってわかるはず。何かが違う。ただの雷じゃない。風がないのに、部屋の火が消えた。異常だ。早く...早く逃げなくちゃ!!

「なんだあれ...。」

シルクは、鞄を二つだし、私に食べ物と布とナイフの入ったものを渡した。シルクは、支度を急いでしながら、窓の外に目を奪われていた。

「あれは...。」

私も、目を疑った。雷が、竜巻きの様になっている。ゆっくりと町を壊してゆく。人々は逃げまどい、体力のない老人は、町の角に座り込んで祈りを捧げている。

「出来たぞ。行こう。この町に未練はないぜ。」

「そうね。」

私達は、階段を急いで下り、走って裏通りを駆け抜けた。私は、後を追いながら、激しい頭痛と戦っていた。

〔来い。リーエム。生き残り。死に損ない。お前が私を捜せば、私もおまえを捜している。真実を知るただ一人。〕

「や...やだぜったいに。私は...。」

「きゃああああああああ!!」

竜巻きの中から、けたたましい叫び声が聞こえた。

「くそっ。」

シルクも、同じ考えを持った様だ。助けたい。でも....。シルクが言った。

「助けたいのは、やまやまだけど、今行ったら...。」

「私も同じよ。助ける方法が一つだけあるの。」

シルクは私を見て、顔をしかめた。

「顔色が悪いぞ?で、助ける方法ってなんだ?」

「今、私に、クィンタペッドが、話しかけて来ているから、私が、おとなしくクウィンタぺッドに、身柄を引き渡したら多分、みんな助かると思う。」

シルクは、止まってくれなかった。ずっと私の手を引いたままだった。

「引き渡したりしたら、俺が、何もできなくなる。お願いだ。何所にも行くな。」

「そんな、そしたら、町の人は、どうなるの?」

私は止まった。

「来い!!」

「い、嫌よ。私のせいで、この町が....。」

シルクは、舌打ちして、私を持ち上げて、走り出した。

「この町に未練は無いって言って、うなづいたのは、何所のどいつだぁ?」

「お願い、降ろして!!私のせいで、みんなが....みんなが...。」

私は、また泣き出した。

「めそめそ泣くな!!だいたい、お前がいなくなったら、この町に残された人々は、西国の魔女の支配下に置かれて、重税や兵役にまわされて、苦しむんだぞ?!」

「だからって、死んでしまったら....。」

「少しは黙れよ。まだ、誤解は完全に晴れているわけじゃないんだぞ!」

私は、言う通りに黙った。

「まだ、支配下に置かれていない町は、ここから一番近いところで、何所があるのか?」

「キャリバリー村。ここから、東に行けば、すぐ着く。まず、パンナコッタの河で、船に乗って。」

「分かった。」

シルクは、私を担いだまま走った。町を振り返る勇気は無かった。炎の熱、人々の叫び声、クウィンタぺッドの声、大雨、木々のざわめきや、倒れそうな強風. . . .。 雷の竜巻きが、光線を放ちながら、町を崩してゆく. . . . . . 。

「どうか、お願いだから、ひとりでも多く生き残って。」


今出来る事は、願う事。ただ、それだけしかできなかった。




さて、やっとこさ、第1章が終わりました。次から、物語の冒険の始まり始まり!!

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