+シルク・ダーウィン+2
今回は、真実を明かします。
真実だと思っていた事を嘘と言われたなら、簡単には信用してくれない物である。彼、シルク・ダーウィンに、真実を、本当は嘘なのだと言えば、信じてもらえるだろうか?そして、本当の真実を話せば、どんな反応をするだろう?
「だから、『誤解』って何だよ。」
「きっと、あなたに話しても、わかってもらえないと思う。」
シルクは、ため息をついた。
「物分かりが悪いってか?」
「そんなんじゃ....無いけど...でも、信用してないでしょ。」
私は、顔色をうかがった。
「完全にはな。でもまだ事情を聞いてない。話終えるまでは、何も言わねぇから。話せよ。」
「うん...じゃ、何にも言わないでよ。」
シルクはうなずいた。
「まず、師匠は、誰も殺したりなんかしてないわ。」
師匠の処刑の15日前...
師である、ルーンスプールは、私の他に、14人の弟子が居た。私よりみんな年上で、親や兄弟のいない私にとっては、姉や兄だった。今日も、師匠と買い物に行き、今夜の礼拝をした後、みんなでいつもの様に楽しい夕食を共にするはずだった。
「ただいま。みんな...。」
礼拝堂に帰ってきた私は、言葉を無くした。
「師匠...。」
「何?」
「ここ、本当に、礼拝堂ですか?ここ、本当に、現実...なんですか....。」
私は、駆け出して、一番可愛がってくれた、メルの側にかけ寄った。礼拝堂のベンチの下で、メルは、小さく震えてうずくまっていた。周りには、みんなの遺体と、おびただしい量の血が...。
「師匠!!まだ息があります!!」
師匠もかけ寄った。
「メル・モーリー、何があったか話せる?」
「さ...さいごく...西国の魔女です...西国の魔女が....『警告』を残しました...。」
私は、泣きながら、助かる見込みのないメルの傷口を、必死で押さえた。
「西国の魔女...!?クウィンタぺッドね。」
「えぇ...そうです...。し、師匠...。」
メルは、師匠の手を、力なく握った。そして、最後の力を振り絞ってこう言った。
「お願いです....リーエムだけは....。」
私が押さえている傷口から流れ出す血が、サーッと一気に冷たくなった。私は、涙を浮かべながら、メルを見た。目をつむり、私に微笑みかけていた....。師匠は、大きな扉の上方を見ていた。
「いやあああああ!!メル、お願い!!目を開け....て.....。」
泣叫んだ瞬間、扉が大きな音をたてて開き、町の役人と、警備隊が立っていた。
「助けて!!お願い!!」
私は、言葉を詰まらせた。
「ついに、弟子にまで...手を出したか。来い。汚れた魔女め。」
「はい。」
師匠が静かに立った。
どういう事....?
「ふん、いさぎが良いな。来い。お前を何らかの刑に処する!!!」
「ま....っ!待ってください師匠は!何にもして....。」
私は、走って師匠を止めようとしたが、身体が震えてうまく走れなかった。
「お前も気の毒だな。良い里親を捜しておく。」
役人がそう言った。次の瞬間、鼻先でドアが閉まった。どうして?師匠は何もしてないのに。私は、また涙を目に浮かばせた。ふと、扉の上方に目が行った。
『警告 もし罪をかぶらなければ、町人は、皆殺しにして、焼き払う。』
あの時、どんなに、西国の魔女を恨んだ事か。本当は、クィンタペッドの陰謀で、町の人々、私の兄や姉が殺されたんだ....。
何かまた暗くなってしまいました。ごめんなさい!!