ガーデンパーティー
色とりどりに咲き誇る花々と涼やかに流れる小川
まるで絵本のような空間はとても美しい。
今日は年に一回の王妃様主催のガーデンパーティー
男性厳禁の女性だけのパーティーで、主にドレスやアクセサリー、社交界の噂話が多い。
さらには、令嬢同士の交流も積極的に促されるので、このパーティーは少し苦手だった。
普通のパーティーならば、令嬢はほとんど王太子殿下をはじめとする将来有望な子息に集まるので、令嬢とは話さなくて済むが、このパーティーでは1人で佇むということがまずできない。
必ず席が用意されているし、同じテーブルに座っている令嬢からの視線もびしびしと送られる。
いつも側にいてくれてるお兄様はもちろんいないし、お母様は御夫人同士仲良く話してる。
いつも以上に気を引き締めて、トーキンの名に恥じぬようにと心がける。
「あ、今日はガーデンパーティーでしたね。見てください殿下、色とりどりの御令嬢がいますよ。」
「ウィル、仕事しろ。」
「いやぁ、美しいものは癒されますねぇ。…あ、リリアちゃんだ!今日はなんだか可愛い感じですね。」
俺の後ろにある窓に近寄って、まじまじと中庭を見ているウィル
仕事しろと言っても聞かない奴を俺も無視して黙々と書類を片付ける。
「そういえば殿下、そろそろ婚約者決めないとうるさいですよ?特に神殿が。」
外のパーティーを眺めながら、どこの令嬢だとか呟いているウィルを横目にペンを置く。
実際問題、急かされているのは事実だ。
そして、神殿が積極的に関わってくると面倒なものがもっと面倒になる。
「どれも皆同じに見えてしまう。気が進まない。」
「またそんなこと言って。まずは殿下がしっかり御令嬢を見ようとしないからですよ!ほら見てください。皆違うでしょう?」
窓へと引っ張られ、外の眩しさに目が眩む。
整備された中庭でテーブルを囲みお茶をしている貴族たち
確かに色とりどりだなと納得するが、ただそれだけ。
見ているだけで、彼女たちの強い混ざった匂いやねっとりとした視線を思い出して気分が重くなる。
紳士だと良く彼女たちに褒められるが、それが任務だと思ってやっているまで。
その方が何かと円滑に進むことに気づいてからは、男女関係なく自然とそうしていた。
気楽に無感情無表情で眺めながら、妙にカチッと背筋の伸びた淡い緑のドレスに目が止まる。
後ろ姿だから、どこの令嬢かは分からない。
すっと伸びた姿勢に庭に溶け込むような緑のドレス
そして淡い金の髪は緩く纏められて横に流されている。
「えーっと、殿下の神託は〜」
勝手に人の相手を探しているウィルの独り言を聞き流しながら、人知れず目を晒せないでいた。
「殿下はお相手がいらっしゃるのかしら。」
「聞いたことありませんけど、ね?」
「どんな方がお好きなんでしょうか。」
「殿下の神託って何でしたかね?」
お茶とお菓子を口にしながら御令嬢たちが盛り上がるのは、やっぱり殿下の話だ。
ひっそりとお菓子を口にしながら、存在感を消している私は黙って話に耳を傾けていた。
「金髪ではなかった?確か殿下が参考にならないとか何とか言ってたような。」
「そうそう!神託に囚われたくないともおっしゃっていたわ!」
「本当素敵な方ですわ。私にもチャンスがありますわね。」
「私にも!」
「私だって!」
金髪ではない令嬢たちが燃え始めたのを横目に軽く息を吐く。
金髪という神託はないものとみなされているのが貴族の認識なのだろう。確かにあまりに参考にならなすぎるが。
「【金色に輝く麗しい令嬢は民を愛し、王家を愛する天女となり得よう。】まさに私のような女性のことだと思わない?」
燃えるような真っ赤なドレスに身をつつむ御令嬢
胸元は大きく開いており、彼女自慢のものがこれでもかと強調されている。
彼女がディアナ・ラージ
ラージ公爵家、自慢の御令嬢である。




