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王太子殿下の神託は参考にならない! 恋愛初心者同士の不器用な恋  作者: 葵和心


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ウェルズリー帝国の王太子様



グラスを傾けながらこの後どうするのかとお兄様に聞こうとした時、会場内で黄色い歓声が上がり始め、一斉に着飾った令嬢たちが流れるように移動していく。


その中心人物は見なくとも誰か私でも容易に想像がつく。

このウェルズリー帝国の王太子殿下、リュカ・ウェルズリー様である。

政務をしっかりと務めるのはもちろん。国中の人々に誠意を持って対応する姿はもはや神だと言われてるらしい。


それに加えて金髪碧眼の殿下は人々の目を惹き、王太子殿下とは思えない物腰の柔らかさで人々をたらしこんでいる。

その上未だにパートナーがいない殿下

彼の元に令嬢たちが雪崩れ込むのには十分すぎる環境である。



「あー…、あの中割っていくの嫌だから待とうか。」


「うん。」





それからどのくらい経っただろうか。

私たちは休憩を終えて、再び貴族との会話を再開した。


さっきまでと違うのは、お兄様に話しかけてくるのは貴族の当主だけだったり、子息だけだったり。

貴族の令嬢たちは皆、王太子殿下のところにいるため、男性ばかりの挨拶回りでお兄様は少しだけ楽そうに見えた。


隣に令嬢がいた時は、結婚相手にどうだと言われ続け、遠回しに断っていたけど、今は『殿下のパートナーとなり得る可能性がある御令嬢を私なんかが囲う訳にはいきません。』と、雄弁に語ってる。



公爵家の跡継ぎであるお兄様にはお父様たちも良いご縁を結んでもらいたいと言いはしないけど雰囲気で感じる。


私もお兄様も結婚というものを一切感じさせないにも関わらず、何も言わずに見守っていてくれる両親には感謝しかない。

普通の貴族なら公爵家の跡継ぎであるお兄様に迫っているように、子どものためと言いつつ自分たちの懐を潤すために、より格上の貴族に自分の子どもを売り込むのがほとんど。


でもお父様たちは、そんなこと一切しない。

何度かお父様に貴族の当主たちが自分たちの子どもを売り込んでるところを見たことがあるけど、『自分たちで見つけて欲しいから。』と必ず言っていた。


そのことを私がお母様に言ったことがあって、それを聞いたお母様は笑って言ってた。


『私はお父様にね、たくさん愛してもらって幸せなの。だから、ラルフとリリアにも自分が心から想える方と出会って一緒になってもらいたい。…でもまあ、あまり遅いと心配になっちゃうわね。』



お兄様は現在21歳

適齢期であり、公爵家、王宮勤め、その上整った容姿

貴族の当主たちが必死にお兄様と繋がりを持とうと売り込むのも当然なのだ。


しかし、それを聞いていると、逆に私は売り込むには1番の適齢期なのではないかと自覚し始めた。

お兄様への売り込みを聞いて、1番出てくる言葉はとにかく年齢の話であった。


『うちの子は今年デビューしたばかりで。』

『元気が取り柄の子ですが、あと数年経てば大人の色も出るでしょう。』

『うちの娘は19なのですが、頭も我々に勝るほどです。』


若さというのは婚姻を結ぶことにおいて1つの武器なのだと知った。

そして私は今18歳。

もし、今私をお父様たちが売り込んだとするならば、どこかしらに引っかかるのではないかと甘く考えるほどに若さは強い武器のようだった。



そんなことを考えている私の顔が強張って、じっと相手貴族を見ていることには気づかない私

慌てたように会話を切り上げ、去っていく貴族がちらほらいた。


「さて、リリアのおかげで割と早めに挨拶し終わったし、気は進まないけど最後の挨拶に行こうか。あまり長引くとリリアの足が心配だし。」


私の腰に手を回しながら引き寄せられ、大きな輪になっているところへ突き進んで行くお兄様


「心配してくれてありがとう。お兄様」



お兄様に気づいた令嬢たちが次々に道を開けてくれ、輪の中心にいた人物へと辿り着く。


「お疲れ様です、殿下」


声をかけたお兄様に合わせて頭を下げる。


「お、ラルフ。珍しいな。」


「たまには公爵家としての役割も務めないといけませんので。」


「ははっ、そうか。そちらは妹君かな?」


お兄様の言葉に頭を上げる。

この距離では初めて見る王太子殿下

体中から輝きを放っているのか、眩しいくらいだった。


「リリア・トーキンと申します。お目にかかることができ光栄です。」


頭を再び下げながら、殿下に対してあっさりしすぎたかと不安になる。


「噂のトーキン御令嬢だ。本当に綺麗だね。何歳?」


「18です。」


「ウィル様、妹に変な目を向けないでください。」


「…向けてないっ!そんな睨むな!」



殿下の側にいるウィル様という方は確か側近の方だ。

軽い雰囲気を感じるウィル様は不機嫌になったお兄様に謝りながら絡んでいる。


…意外と仲が良いのかもしれない。

お兄様の仕事のことは何も知らないから、こんなに殿下の側近の方と仲良さそうなことに少し驚いた。


「見てっ!ウィル様とラルフ様がお話ししているわ!」

「ああっ…眩しい。」

「リリア様でリュカ様が見えないわっ。」

「何であの御三方と一緒にいるの!」


ちらほらと聞こえる声にため息を心の中で吐きつつ、尖った視線が突き刺さる背筋を更に伸ばしながらお兄様の背に手を当てる。


「ごめん、リリア。退屈だったね。」


「妹、溺愛かよ。」


「何か?」


首を振るウィル様を無視して殿下に向き直すお兄様

そんなお兄様を見て殿下はにこやかに笑っている。


「僕たちはお先に失礼します。」


「うん。わざわざありがとう。妹君もありがとうね。」


「お邪魔致しました。」



深く頭を下げ、お兄様と寄り添いながら会場を後にした。





「まるで恋人みたいだな〜。あれで18とか怖すぎる!」


「トーキン公爵家らしいな。」






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