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王太子殿下の神託は参考にならない! 恋愛初心者同士の不器用な恋  作者: 葵和心


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相応しい人




公爵家としての誇りと矜持を感じる後ろ姿を見送る王妃と長年をともにした侍女は優しく微笑んだ。


「素敵なお嬢様ですね。」


「あんな子が娘だったら良いのに。」


「ですが、あれほどしっかりしていらっしゃると失礼な話、リュカ殿下とは異性を超えた仕事仲間という存在になりそうでは?」


「それはそれで嬉しいけれど、んー…。」



産まれた子が王子なだけでもこれから先、彼の人生が大変なことは分かりきっていたが、その上見た目がすこぶる良かったためにリュカは幼い頃から苦労していた。


女の子に付き纏われたり過度に触れられたり。

元々大人しい性格の彼はいわばされたい放題だった。


騎士たちが守ってくれていたけれど、相手は貴族令嬢のため強くは出れず、結局は押し負け続けていた。



成長し、勉強を始めたことにより様々な物事の仕組みが理解できるようになった頃、彼に変化が現れた。

にこにこと人当たりの良い笑顔を見せ、令嬢に対してもそれとなく対応して笑顔と優しい言葉で付き纏わせない技術を身につけていた。


それが結果として、王子としての格をさらに引き上げることになり、彼はよりその処世術を磨いていくのだった。



「リリアちゃんがリュカを好きになってくれるとは思えないものね。それよりかお互いが仕事仲間としてバリバリやっていく方が目に見えるわ。」


「はい。幸いにもトーキン家の御子息は殿下と仲がよろしいようですし、将来的には殿下を側で支えてくださるでしょう。トーキン家との繋がりは保たれます。」


「ん〜…、そうよねぇ。結婚はリュカの気持ちを大事にしてあげたいんだけど、リュカに任せてたらいつになるか分からないし。…なんだかリリアちゃんにリュカはもったいない気がしてきたわ。」


王族になれるだけの素質は十分すぎるぐらいにある。

けれど、そんなリリアを支えてあげれるほどの包容力が素のリュカにあるかどうかが問題なのである。


あんな作った笑顔でリリアは絶対に落ちないし靡かない。それはむしろ好印象なのかもしれないが、素のリュカは基本的に無関心無表情なため、好かれる要素がないのだ。



「でも、1番神託通りなのはリリアちゃんな気がしてるわ。」


「それははい。私もそう思います。」




【金色に輝く麗しい令嬢は民を愛し、王家を愛する天女となり得よう。】


実はこの神託には王と王太子、そして神託を授かった場にいた神殿関係者しか知らない続きが隠されている。




10年前

リュカ・ウェルズリーが10歳の誕生日を迎えた日

神殿から神託が下りたとの連絡があった。


厳かな雰囲気の中、神官の1人がリュカ王太子の神託を口にした。



【金色に輝く麗しい令嬢は民を愛し、王家を愛する天女となり得よう。その美しい肢体を王は一生涯手放すことはない。】


神託を受けた王はちらりと側にいるリュカを見たが、まだ10歳の彼には少し難しいだろう。

それに…、


神託を受けた神官も少しばかり気まずそうに王を見やる。

神殿長だけが素晴らしいと手を打っていた。


『公に発表するのは前半部分だけだ。後半部分を公にすればリュカが面倒なことに巻き込まれかねん。口外することは決してないよう、よろしく頼む。』


『それが最善でございます。リュカ王太子殿下、この度はおめでとう御座います。』


『神託を軽視するというのですか!』


騒ぐ神官長を睨みつけ黙らせる王はじっと黙っているリュカを出口へと促した。



『リュカ、神託は大事だが、神託に囚われることなく、ゆっくり相手を選べば良い。』


『…父上は、神託通りに母上を迎えたのですか?』


『たまたま惹かれた女性が神託通りの女性だったんだ。きっと自分のやるべきことをやっていれば、神はリュカに素敵な女性を引き合わせてくれるだろう。その女性がきっと神託通りの女性だよ。』


そう言うとやっと自分に神託が下ったことが理解できたのか、子どもらしい煌めいた笑顔を見せた。


『はい!まずは、お勉強頑張ります!』



そしてこの神託の前半部分のみを公に発表すると金色の髪を持つ令嬢たちとその親は一斉に王と王太子への売り込みを激化させた。


さらにリュカ王太子殿下の神託が具体的ではないため有効ではないと金髪ではない令嬢を持つ貴族たちも乗り出したために城は一時混乱に陥った。


『私の神託はあまり参考にならないため、まずはやるべき公務を最優先に。私の相手は後々ゆっくり決めることにするよ。』


このことに嫌気が差したリュカ王太子自らがはっきりと公務最優先だと口にしたことで少しは落ち着きを取り戻した。


だが王は、神託を受けてあんなにも煌めいた笑顔を見せていた息子が神託により集まった貴族たちを冷たい眼差しで見ていたことが悲しくなった。


そしてその夜、妻と一緒に息子を抱きしめながら何度も何度も力強く伝えた。



『神託に振り回される必要はないさ。前にも言った通り、やるべきことをしていれば必ず大切にしたい女性に会えるよ。リュカが背負う人生には心休まる時間が少ないかもしれない。…でも、必ずリュカを1番に思ってくれる優しい女性が現れるよ。』






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