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王太子殿下の神託は参考にならない! 恋愛初心者同士の不器用な恋  作者: 葵和心


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トーキン公爵令嬢




スッと伸びた背筋に光を受けて輝く白金の髪

洗練された所作はさすが公爵令嬢という声が聞こえる中、彼女に近寄る者はいない。


17歳とは思えないほど落ち着いている彼女は周りから恐れられていた。



すっきりとした黒い総レースのドレスに身を包み、白金の髪はそのままに左肩へと流す。

大ぶりのピアスを身につけ、今にも転んでしまいそうな高いヒールを履けば完璧

兄に手を引かれて、今夜も憂鬱な夜会へと足を運ぶ。




社交界デビューした貴族令嬢のすることといえば、一に縁談、ニに縁談

つまりは家を確固たるものにするべくより良い良縁を結ぶこと。

そのために社交界シーズンになると頻繁に夜会が行われ、独身の男女がパートナーを見つけるべく奮闘してる。


トーキン公爵家の令嬢であるリリア・トーキンは兄のラルフ・トーキンと共に煌びやかな夜会に足を踏み入れた。


公爵家という立場もあり、入ったそばから声をかけられる。

それらは全て兄であり次期公爵家当主であるラルフがそつなく対応していく。

しばらく対応したところで給仕からグラスを受け取ると心配そうな表情で私の手に握らせてくれる。


「リリア、少し休憩しよう。」


「ありがとう。お兄様」


「しかし今日は一段と高いヒールなんじゃないか?綺麗だけど無理するなよ?」


「大丈夫。この方が気が引き締まるの。」


そう言った私を気遣わし気に見て頭を撫でるお兄様

それを見ていた周りの貴族たちは声を潜めながら話した。


「ラルフ様今日も素敵ですわね。」


「お話してみたいのだけど、リリア様がいると怖くて話しかけられないのよね。」


「毎回お2人でいらっしゃるから、ラルフ様と仲良くなれないですわ。」


ラルフは次期公爵家当主という立場であり、また王宮で文官として働いている。

優しいと評判のラルフは、密かに王宮の使用人や令嬢たちから好意を向けられているが、本人は全員に対して一定の距離感を崩さないと言われている。


唯一彼が見えない壁を無くすのは妹のリリアに対してのみ、とも言われている。

対して、リリアは憧れと同時に恐怖をもたれている。


表情がほとんど変わらないリリアはじっと目を見て話を聞いているだけでも、怒っていると勘違いされてしまう。


リリアもまた子息たちから好意を向けられているが、リリアは全く気づくことなく、むしろ粗探しをされているのでは。と勘違いしている。



怖いと言われていることは知っている。

でも改善のしようがない。

元々がこういう顔で冷たい目をしてるというか。

表情が変わらないのと目つきで怖いと言われているんだろうと理解してる。


それに夜会中は色んな貴族と挨拶を交わすから気を張ってより顔や目つきが固くなっているのかもしれない。


貴族令嬢らしい上品な笑みを練習したこともあったけど、それよりも挨拶などのマナーが上手くいくかが不安で表情が固まってしまうことが多かった。


現に今もこちらを見る貴族たちと目が合うが、一瞬で逸らされ、こそこそと話しながら遠くに行ってしまう。


貴族はより強力な繋がりを広げることに重きを置くものだと思っているので、こんな私が側にいたらお兄様の邪魔になってしまうと言ったことがあった。


だけど、お兄様は、


『うちは文官の家系だから、真面目に政務をこなして、王家に忠誠を誓っていれば良いんだよ。それに、こっちから行かなくても向こうから来るんだから。』


と軽い調子で言った。


『それに、へこへこ近づいてくる奴らは大抵ろくな奴らじゃないからリリアが心配することなんて何もないんだよ。』



そう言い放ったお兄様には次期公爵家当主としての器を感じた。

お兄様を、トーキン公爵家を支えたい。


強く思うようになってからはより一層気を引き締めて夜会に臨むようになった。



お父様、お母様の公爵家に恥じぬよう。

未来の公爵家当主の妹として恥じぬよう。


それが社交に加勢できない私ができることだと決意した。





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