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鬼神と月兎  作者: 月神世一


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16/63

ep 16

『鬼神と月兎』 第六章より

その夜、鬼神 龍魔呂たち一行は、ロックウッド村の村長の家に招かれていた。村長の家は、他の家々に比べれば被害は少なかったものの、それでも壁には戦闘の痕跡が残り、村が受けた傷の深さを物語っていた。ランプの頼りない灯りの下、村長は改めて四人に深く頭を下げた。

「この度は、誠にありがとうございました。皆様がいらっしゃらなければ、今頃この村は…言葉もございません」

彼はそう言うと、テーブルの上に一つの革袋と、干し肉や木の実などが詰められた籠を置いた。

「こちらはギルドへの依頼の報酬の金貨でございます。そして、こちらは本当にささやかですが、村からの感謝の印としてお納めください。今はこれくらいしかお渡しできるものがなく、申し訳ない…」

「いえ、十分よ」

ダイヤが、待ってましたとばかりに革袋を受け取り、中身を改めながら(金貨の枚数を数えながら)言った。

「ま、当然の働きはしたつもりだけどね。…ふぅ、これでやっと愛剣のメンテナンスオイルと砥石が買えるわ。あと、矢の補充もしなくちゃ…」

彼女は小さく呟き、金貨を自分のポーチにしまい込んだ。その手際の良さに、ユイは少し苦笑いを浮かべる。

「それで村長さん」ユイが本題を切り出した。「何か、お気づきのことはありませんでしょうか? ダイチ様を狙っていた『黒蠍団』のことや、最近の魔王軍の動きについて、何かご存知でしたら教えていただきたいのですが」

村長は、ランプの灯りでできた自身の影を見つめ、少し考え込んだ後、重々しく口を開いた。

「黒蠍団は、ここ数ヶ月で急速に力をつけてきたならず者の集団でございます。頭目は元騎士団員だったとか…詳しいことは分かりませんが、魔王軍と何らかの繋がりがあるという黒い噂も耳にしたことがございます。彼らがなぜダイチ様の『勇者の印』を狙っていたのか…それは、わしにも…」

彼は言葉を濁し、ダイチの方へ視線を向けた。

「勇者の印については、わしらも村に伝わる古い言い伝えでしか知りません。『星の力が宿り、闇を払う希望の光である』と…。しかし、同時に『その大いなる力故に、大きな災いを招く存在でもある』とも…」

「災い、ですか…」ユイが不安げに繰り返す。

「…なるほどな」

それまで黙って聞いていた鬼神 龍魔呂が、低く呟いた。

「つまり、その印を持つ小僧は、魔王側にとっても、それを恐れる他の連中にとっても、厄介な存在だということか」

彼の言葉に、場の空気が少し重くなる。ダイチは自分の胸のあたりをそっと押さえた。

「いずれにせよ、ここに長居は無用だ」

鬼神 龍魔呂が立ち上がりながら言った。

「追っ手がいつ来るか分からん。明日の朝、ここを発つぞ」

「はい!」ユイが頷き、ダイチも少し緊張した面持ちで「うん!」と答えた。

「了解。ま、どこへ行くにしても、まずは腹ごしらえと睡眠が一番ね」

ダイヤも同意し、軽く伸びをした。

「そうでございますな。今夜はゆっくりとお休みください。部屋は用意してございます」

村長はそう言って、一行を休息へと促した。

話はそこそこに、四人は村長に礼を言い、用意された部屋(あるいは宿)へと戻ることにした。ロックウッド村での一件は解決したが、それは同時に、ダイチという存在が抱える問題の大きさと、彼らの旅がこれからさらに険しいものになるであろうことを示唆していた。明日に備え、彼らは短い休息に入るのだった。

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