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007:組み合わせによって抜け道を作り出す


 無事、頭ハッピーから解放された満桜まおは、澄ました顔になって寝っ転がる。


「はあ、はあ……」

「堪能したか?」

「思わず調子に乗ってしまいました」


 弾切れしなければ、一日中撃っていたかもしれない。二週間のうっ憤が溜まっていたのか、ついはしゃいでしまったと申し訳程度な気持ちで謝罪する。


 レイティナと出会う前までは、映画という娯楽にふけっていた。


 ラブロマンス、青春映画、SF、アクション等々。様々なジャンルを観ていたが、特にガンアクションについて興味があった。


 仕方ないもん。凄い笑顔で撃ちまくる人の素顔を見てしまえば、私だって味わいたい。なので、謎の幸せを感じてしまうのは必然だった。


「もう使えなくなったのか。想定よりも早いな」


 先程まで乱射していた銃は、原型を留めることなく分解される。


 これがスキル〈装備効果増大〉の代償。装備の破損具合を見れば、修理する余地はなさそうだ。


 強制的に発動するタイプのスキルは、どうしても融通が利かない。たった数分間の射撃で壊れるのならば、レイティナが言う大量生産と大量消費の考えは正しいと認めざる負えなかった。


 ……ただこれ以上の火力を手にしたら、私は凶変するのではないのかという気持ちがあって怖い。その現場を目撃していた一名が若干引いているので、機会を見て直さなければ……。


「満桜ちゃーん、やっと終わった?」


 その一名である三由季みゆきは、元に戻ったと分かり、寝っ転がっている満桜の隣へと座り、


「あっ、三由季。どうだ、私の力は?」

「迫力満載。で、説明できる? 見ただけじゃ分からないよ。初めて見るものばっかだし」


 満桜の製作した武器やら防具などをじっくりと見て、質問攻めが始まった。


「あー……、レイティナが歯車になるのは知っているよな? その姿になると伝えてから動くまでのスピードが速くなる。あとはスキルの組み合わせで……――」

 満桜はいっそのこと見せた方が早いと思い、自身の能力値ステータスを公開する。




 富士原ふじはら満桜まお 15歳 女性


 種族:人間

 職業:召喚士 Rank1

 サブ職業:マシーナリー Rank 5

 

 力:D

 耐久:E

 器用:S

 敏捷:D

 魔力:S

 

 〈スキル〉

 〈眷属召喚アンシェイン

 特殊なアイテムを触媒に力を持った者を呼び覚ます。

 

 〈魔力増大〉

 魔力による補正が増大する。しかし、魔法が使用不可能になる。


 〈装備効果増大〉

 装備品による効果が増大する。しかし、簡単に装備が壊れてしまう。


 〈サブスキル〉

 〈持ち上げ〉

 自分より大きく重い物を持ち上げる事が可能。ただし、その場から動けなくなるので注意が必要。炭鉱夫をマスターすれば永久取得。


 〈テンプレートフォーマット〉

 設計した図面により素早く生産が可能に。品質は「良質」に固定する。


 【装備】

 【白桜しろざくらmark-1】※満桜専用カスタマイズ

 レイティナの知識を基に製作した簡易展開防具。僅かに足元が浮遊できるよう設計されているため、スラスターを使っての移動が可能。

 満桜専用なので他者が装備すると走行不能になる。


 【ヴィント突撃銃】

 レイティナの知識を基に製作したアサルトライフル。魔力を込めると貫通力が増加する。




 説明すると、炭鉱夫で手に入るサブスキル〈持ち上げ〉によって、満桜は重量過多である武器と防具が持てるようになる。


 そして〈持ち上げ〉の性質上、発動すると足の操作を受け付けない仕様を利用して、代わりにレイティナが白桜しろざくらを使い、補うように動かしていく。

あとは念じつつ、その場の判断を下すぐらいだった。


「サブスキルを活かして戦うなんて、まじで珍獣だよ」

「褒めてないよな? 貶してるよな?」

「いやいや、凄いことだよ? 普通の人なんてサブスキルはおまけ程度の認識だもん」


 一連の戦闘方法を知った三由季は思わず感心する。


 サブスキルはその職業の頑張りによって取得できるものであり、どれも戦闘で発揮するようなスキルではなかった。

 というよりも、一般的に探索者は積極的にサブ職業を極めるという考えなど持っていない。サブスキルを使うぐらいなら、メイン職業クラスに沿ったスキルで強くなる方が早い話だった。


 ただ、そのサブスキルすらも活用しなければ、満桜は新米探索者以下の雑魚である。どんな手段でも使いこなさないと行けないのが、今の現状であった。


「うーむ……。どうしよっかな……」


 満桜の戦闘スタイルを知った三由季は、悩む仕草をする。


「どうしたんだ?」

「このまま二階層に行っても大丈夫そうかなって」

「ここではダメってことか?」

「一階層はさっきのモンスターぐらいしかいないよ。私と満桜まおちゃんの戦力じゃ、絶対飽きるね。多分、三階層も視野に入れていい」


 三由季の見立て通り、二人での迷宮探索をするとなれば、一階層程度など物足りなかった。増してや、すんなりと二階層も踏破できると思っていた。想定よりも満桜の戦力が過剰すぎたのであった。


「んー、迷宮に関しては三由季の方が詳しいし、そこの所は任せる」

「それじゃあ行くよー。……でも、満桜ちゃんとの連携ってどうやればいいんだ?」

「あくまで、私のは自己完結型の戦闘スタイルみたいなものだしな……。回復ユニットならば合わせやすいと思うけども」

「まあ、私が戦ったあとから考えようね。何か思いつくでしょ」


 満桜は考えるよりも、まだまだ戦いたい気持ちの方が強く、次の階層へと目指そうと決めた。

 迷惑掛けない程度に暴れたいお年頃なので、もっと楽しみたいのが本音であった。


008:12時頃に公開予定

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