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(23)

長い話しを分けたり加筆したりしました。

この後更新出来たらします。出来なければ明日します。

楽しんで頂けていたら嬉しいです。

いつもありがとうございます。


教会の周りにある街路を一周して終わる顔見世の儀は教会表口手前に設置されている格子状の門が漸く見えて来た所だった。


(……後半周…。)


神輿が出る時と戻る時にほぼメインで舞い散る筈の桜銭が未だ至る所から大量に撒かれ続ける異常事態に、街路に落ちた桜銭に足を取られて歩き辛いのだろう予定よりもゆっくりとした速度で進んでいた。


(もう……降りてあげたい!!)


担いでくれている笑顔の教会職員達が教会から出発して少し経った頃から絶対に落とせないと言う張り詰めた雰囲気に変わり始めそれが伝わってくると最初に感じた感動は特に消え失せ別の感情に変化していた。


(問題なのはこの量よ…一体どうして……。ああ吐きそう…。)


光家の若様の婚姻式の時よりも多い量への恐怖と教会職員達から発せられる緊張感で既に気分の悪さは最高潮だった。


(…少し雨でも降ってくれればいいのだけれど…。)


桜銭の水に濡れると直ぐに溶けて無くなる性質から量が多ければ多い程何か大きな困難が起きてもその困難は直ぐに解決されて消えて無くなり、夫婦になった2人の幸せは永遠に続くと言われていた。


(……此処まで来たら原因は全て隣にある気がするわね…。)


未だ片方の手を強く握ぎったまま離さない相手がこの状況を作り上げた張本人では無いかと疑いの意識を向けながら、木造や煉瓦造の建物の前に集まっている見に来た人達から掛けられる祝いの言葉に貼り付け続けている笑顔で手を降り返す。


ーーおめでとう!!


ーーすごい!!


ーー綺麗……、お祝いの量もだけれど濃桃色が多いのね。


ーー本当!!白や淡桃色が少ないわね!?



(ああ……本当にどれだけの…うぅまた胃が……。)


祝いの言葉以外のそんな声も至る所から聞こえて来る度に胃への負担が増え続けるのは色によって桜銭の金額が変わるからだった。

その色合いで顔見世の儀を華やかにするための物でもあるが、後日ご祝儀として婚姻式を終えた夫婦に購入した相手の名と金額が書き記された書類が様々な領から届けられ、一割は購入した領に幸せのお裾分けとして返納するので何処にいても購入できるように又不正が無いように領主が丁重に管理していた。


(購入して頂いた人達へのお祝い返しの為に見せてと言って見せてくれなければ確定よね…。)


今こんなに大量にあっても水を撒くか雨が降れば一瞬で消え去る桜銭が本当に幸せを保つ効果があるのかは不明だが、片付けがとても楽なことは何よりも重要だろうと誰もその部分に触れる者は居なかった。


(……。)


晴れ渡る空を見つめ心の中で肩を落とし、周りから感じる羨望の眼差しと、担いでくれる職員達の鬼気迫る気迫に包まれお腹に手を当てたくなる顔見せの儀は続いた。


ーーー


「何とかなりそうか……。」


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