前編1
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薄暗くはあるが灯されたランタンの明かりによって洞窟内の岩壁に背を向け控える執事達の間を1人歩く少女の姿が伺えたが、その装いはドレスにヒールと余りにもこの場所には不釣り合いな出で立ちに、地面は石高で足は限界なのだろう固い表情で歩みはぎこちないものだが、何かに取り憑かれているかのように休まず一心不乱に先へ向かって行く。
ーーカツッ、カツッ、カッ…ン。
少女が漸く歩みを止めたのは煌々とした明りが漏れ出す大きな横穴が開いた部屋の様な場所に到着してからだったが、その顔色は白磁のような蒼白に変化していった。
(どうしてこんな事に…後もう少しだったのに…隠しきれないなんて!!)
目の前に広がる光景に今直ぐに腰まで伸びた緩く波打つ金色の髪を掻き乱し石畳の床に膝を付いて大きな声で叫び出してしまいたい衝動に堪えながら、父と家令達によって取り囲まれている人物達を赤褐の瞳に絶望色を滲ませ見つめる。
(何とかしなければ………。)
そしてまさかこの時の行動によって自分の運命が大きく変わる事を知る由もなかった。
後編の更新を始めます。
読み辛いとの友人からの意見を受けて前編話数を細かくしてみました。
切る部分がよく分からなかったので逆に読み辛くなったかもしれません。
初心者なのでまだまだ分からない事が多いですが楽しんで頂けたら嬉しいです。