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ユキの好きな場所

王城を後にしてほかの二人とは別れた。普段からアホアホしい男二人といることが多いためとても疲れる。旅の前のこの準備の時間が私にとっての一番幸せな時間なのだ。心落ち着く静かな場所に向かう。図書館だ。王都にあるこの王立図書館にはこの世界に存在するすべての書物がここにある。私の願望はここにある本の内容をすべて頭の中に入れることだ。まだ三割くらいしか入っていない。魔法関係の本はすべて頭の中に入れて、今の私の中でのブームは神話関係である。ちょっと前まで創世の神話を読んでいた。この世界は神が作ったとかいう話とか、私たちの魔法の起源が神であるだとかそんな話だった。せっかく水の国に行くのだから。今回は水の国に関する神話でも読もうか。『水のアトランティス』と書かれた本に手をかけた。

それと同時にほかの誰かとも手が重なった。


「ご、ごめんなさい」


とっさに謝る。


「こちらこそ、ごめんなさい」


紳士的なやさしい声がした。顔を見上げるとそこにはイケメンがいた。きりっとした顔立ち、よく手入れされたさらさらの髪。白い肌。目から感じる優しさ。素敵な方だ。普段とんでもない筋肉バカとドヂを相手にしているからもしかしたら、私の男へのハードルが下がっているのかもしれないけれど。


「どうかされました?」


ちょっと彼にみとれてしまっていた。ぼーっとしていた分、時間が経っていたようだ。


「あ、あ、本はどうぞ、先によんでください!私はほかの本を読みますんので!」


私は急いでその場を後にした。とにかく焦ってその場を去ったので次にどこに行こうかなんて考えていなかった。あたふたしてしまった。とりあえず、行ったところはおしゃれ系の雑誌のところだった。私にとって最も興味のないところであったが、心を落ち着かせるためにとりあえず適当に本をとって席に座ろう。


席に着くと目の前にはさっきの男性がいた。『水のアトランティス』を読んでいた。本を読んでいる彼の姿勢もとても素晴らしかった。ピンと伸びたその背筋。周りを差し置いてとても目立つ姿勢のよさだった。彼はこっちに気づいた。本を閉じてこちらへと歩いてきた。ちょっと、まだ心の準備ができていない。


「やぁ、さっきの」


彼が隣に座ってきた。どんだけこの人はコミュニケーションに慣れているのだろう。さっきまでは見ることができていたのに。


「あら、オシャレにも興味あるの?」


しまった。別に興味もないのにこんな本を持ってくるべきでなかった。最悪なこの状況。切り抜けるためには


「うん」


この一言しか思いつかなかった。私はずっと目線を下にやっているので彼がどんな反応をしたのかがよくわからなかった。


「あ、ごめんね。邪魔したね。じゃ」


そういって彼は席を立った。


「あ、あの!名前教えてもらってもいいですか!!」


「こら!ユキ!そこうるさい!!」


図書館司書のナギに怒られてしまった。


「ふふ、ユキさんというのですね。僕はサムです。よろしく」


そういって彼は立ち去っていった。


わたしは自分の服を見て図書館を後にした。


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