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カイトの剣

「あんた、なにやってんのよ!」


珍しくギリギリで戦っていたユキがカイトが転んだのを見てブチギレていた。


「次は失敗しないでよ」


だが、僕の落とした剣が木を真っ二つにしたのを見てチャンスを感じてくれたみたいだ。ユキの目つきが変わった。本当は好みではないけれど背に腹は代えられない。ユキの体はたしかに魔力が切れていたはずだが、突然、魔力が回復した。


「魔力開放」


自分の生命エネルギーを魔力に変換する魔力開放。これによってユキはかなり強化された。


「俺もなんかできることしっかりやりますか」


そういって炎のエレメントに向かってインパクトパンチを繰り返す。エレメントは炎となって散らばり続ける必要があり、攻撃をすることがなかなかできない。それでもアルベルトの拳を何度も炎で燃やして抵抗する。その炎をユキが消すことをずっと続けていた。エルフ四天王とゼルもエレメントにむかって総攻撃を仕掛ける。


「あまり……長くもたないんだから…はやくしてよね」


ユキの表情から余裕のなさそうな様子がうかがえる。僕の準備にすべてがかかっている。早く準備をしなければ。なかなか慣れない作業をしているからどうしても時間がかかる。


これはライルさんからの入れ知恵だ。


「ライルさん、あんなに固いロボットをどうやって…」


ライルさんに心からあこがれた僕はライルさんにいろいろと質問を続けていた。でもライルさんはなかなか答えてくれなかった。


「お前にはお前にしかできないことがあるって言ったばかりだろ?」


そんなことを言ってライルさんは僕の質問になにも答えてくれないのだった。だが、僕もちゃんと戦力になりたいのだ。いつまでもユキとアルベルトに頼っているわけにもいかない。もしかしたらあの二人じゃ勝てない敵も出てくるかもしれない。そうなったとき、僕の出番が来るんじゃないか。その時のために僕にもできることをしっかりと見つける必要がある。いつまでもこのパーティのタンクとして、ただの囮としてここにいるわけにはいかない。そういった想いをライルさんにぶつけた。ライルさんも仕方ないな、というような表情をしつつも僕に1つだけ教えてくれた。


「こうやって、剣に魔力をまとわせるんだ。これだけで単純な破壊力は増すし、水とか空気とか実態のないものを切ることもできる」


そして、ユキのあの言葉。


「本で読んだことあるわ。エルフの弓矢には魔力が込められてるから強力な一撃になっているって」


エルフの弓矢がエレメントにダメージを与えられたのがもしも弓矢が魔力をまとっているからだとしたら。ライルさんから聞いたこれもきっと使えるはずだ。魔力のまとわせ方?そんなの知らん。なんとなくこんな感じでやっている。でもさっき、木を真っ二つにしたあの感じ。きっと成功しているのだ。もう一度、同じ感じでやってやる。ユキもアルベルトもエルフ四天王もゼルも。みんなが僕に期待して協力をしてくれている。この期待に応えるしかないのだ。


剣に魔力がたまってきた頃合いだ。これで終わらせる。俺は魔力の溜まった剣を構えて攻撃を仕掛ける。足元にもしっかりと注意をしてこんどは転ばない。同じミスはしないのだ。だが、今回はとんでもないミスをする。炎のエレメントとの距離と自分の剣のリーチが計算できていなかったのだ。


空振りをした。


全く、自分の戦闘経験の無さには絶望する。カウンターに炎を浴びた。


しかし、焦りのせいか熱さを感じなかった。即座にユキの水魔法で消火される。


「その攻撃、嫌な感じがs」


炎のエレメントがしゃべっているときに突然吹き飛んでいった。


「こいつが、この森を荒らしている黒幕か」


どこからか褐色肌の男が現れた。だが、着ている服はエルフたちが着ている服に似ている。年齢は見た目では30歳くらいだろうか。だが貫禄を感じて落ち着きもあるかのように見える。だが、この男どうやってこいつに攻撃を食らわせたのか。一体こいつは誰なんだ。その答えはまさかの炎のエレメントの口から明かされる。


「族長さん!!ようやく出てきてくれた!!!魔王復活のためにお前の膨大な魔力ほしいんだよ」


まさかの褐色肌の男がエルフの族長だった。だが、エルフの特徴ともいえる尖った耳もなかった。本当に彼が族長なのか。エルフたちすらあまり見る機会の少ない族長の正体をなぜ、エレメントは知っているのか。そんなことを考えるくらいには余裕が生まれた。この褐色の男がどういう攻撃をしているのかわからないが、エレメントを一方的にぼこぼこにしていた。こうして炎のエレメントは消滅した。

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