もえるエルフの森
アルベルトの乗り心地の悪い馬車引きによってようやくエルフの森へとたどり着いた。
「うぅ…」
ユキの顔色がとても悪い。アルベルトの引く馬車は本当に最悪だった。揺れが激しいとかそういうのだったらなんとかなるんだろうけど、微妙な速度で動いているせいでぎこちない動きをするのが本当にダメだった。もう一生乗りたくない乗り物であった。
だがそんなことを気にしている場合ではない事態が発生していた。エルフの森から煙が出ていた。
「俺はここまで。次の客を待つ」
ライルさんとはここでお別れだ。乗り心地の悪い馬車の中でもライルさんからいろんな話を聞くことができたのが不幸中の幸いであった。僕たちは急いでエルフの森へと入っていく。
「侵入者だ!!」
ボロボロのエルフが弓矢を構える。エルフたちも気が動転しているのだろうか。こっちの話を聞いてくれる様子もない。
「俺たちはガーディアンだ。王都からきた!」
「打て!」
弓矢が放たれる。ユキとアルベルトは華麗に弓矢を避けるのだが、僕は脚を絡ませてその場で尻もちをついて避ける。なんてかっこ悪いんだろうか。エルフの放った弓矢は僕たちの後ろにある木に刺さる。いや、刺さるだけならいいんだが、木に大きな穴があいた。一体どうなってんだ。
「本で読んだことあるわ。エルフの弓矢には魔力が込められてるから強力な一撃になっているって」
あんなの喰らったら僕でもひとたまりもないのだろう。いや、そんなことを考えてる場合ではない。燃えるエルフの森と目の前の襲ってくるエルフをどうにかしなければならない。
「炎のあるところを探して。あとはなんとかする」
「俺が、弓矢をどうにかする。カイト、お前が探せ」
そういわれても手掛かりがとくにない。なんとなく、煙の方向的にもこっちな気がするからという理由だけで進んでいく。でもどこか確信もあるような気がする。しばらく歩くと火元のようなものがあった。
「おっけい。いくわよ。ウォータボール連射!」
火元にむかってユキの手から水の玉が何発も放たれる。やがて火はどんどん小さくなっていく。そして火は完全に消えていった。襲ってきていたエルフも消えていく火を見て落ち着きを取り戻していた。
「すまなかった。つい、森を襲いに来たのかと。謝罪をしたい。エルフの集落まで来てくれ」
道中、いろいろな話をすることができた。このエルフの名前はゼルというらしい。エルフの兵士として働いているという。最近、エルフの森では物騒な事件がよく起きているらしい。さきほどの火災さわぎなんてほぼ毎日起きているし、凶暴な魔物が出現したりととにかく異常が多いという。森を守る兵士としてこの事態に気が動転しているのだという。そんな話をしながらしばらく歩くと集落が見えてきた。
「ようこそ!ここがエルフの森にある集落、エルフの集落です!」
森の中にちょっとした町があった。とても活気のある町でいろんなエルフがそこにいた。エルフの肌は白く、その特徴的な耳がやはり目立つ。しかしぱっと見の外見は人間とそこまでかわらないような気がした。違う種族なのはわかっているが、どこか近しい部分を感じる。そんな気がしたのだ。
「族長に紹介したいと思います!ささ、族長の家へといきましょう」
ゼルに案内されるがままについていく。集落の中央にある大きな建物に案内されていく。
「族長!王都からガーディアンの使者が来ました」
族長の家の入口はカーテンで仕切られていて、奥のほうまでは見えなかった。奥のほうから少し太い声が聞こえてきた。
「おぅ、そうか、いまはあまり姿を見せる気分ではない。客人よ。失礼する。だが感謝はしている。火を止めてくれたみたいだからな。ほんとうに感謝している」
そういってゼルからこの家を出るように促された。どうやらここの族長は気難しいらしい。家を出てからゼルから聞いた話によれば、族長の姿を知っている人はエルフの中でも少数らしい。いろんな噂が立っているらしく、数千年生きているだとか、エルフの中では珍しい肌が褐色のエルフであるとか、嘘か本当かもわからない噂が立っているという。それでも族長でいることができるのは族長のもつ膨大な魔力のおかげだという。このエルフの森が長年平和でいることができたのも族長の魔力のおかげだという。
ゼルに案内され、エルフの森にあったカフェに行くことになった。木の実ジュースがおすすめだというので3人でそれを頼み、そして本題へと移る。
「俺たちはエルフの森の依頼クエストできたんだ。どうやら怪しい魔物が森の中にいるとかで」
「あぁ。さっきの火災もそうなんだが、今までにおきなかったことがとにかく最近多いんだ。だから調査をしてほしくて冒険者に依頼したんだ。怪しいところはなんとなく、わかっているんだ」
そういって森の情勢を説明された。




