VS機械帝国軍兵士
襲われた馬車を降りて、僕たちは臨戦態勢になる。つまり、僕が一番先頭を突っ走るということだ。ぼくが受けるダメージを見て、ユキとアルベルトが対策を考える。これがいつもの流れだ。いや、今日は異世界転生者じゃない。この世の人間相手なら僕でも勝てるんじゃないだろうか。ライルさんが見ている。ここでもしも僕が役に立たないなんて思われたら、きっとライルさんを仲間にいれて僕はこの森と砂漠の間みたいな場所に捨てられるんじゃなかろうか。ここが頑張りどきだ。
「おりゃああああああ」
僕は敵に向かって走り出す。メカメカしい装備の男は僕の頭を片手でつかんで持ち上げる。そのまま僕は地面に叩きつけられた。
「おい、あれ、大丈夫なのか」
「あぁ、いつもどおりさ」
「サンダーボルト!!」
ユキが雷の魔法で攻撃をする。
ユキの手から雷が発射される。
「雷の魔法…だと……」
「キカイスーツが完全に壊れたぞ…」
二人の男はあわてふためいていた。
「こうなったらこの機械兵にたたかってもらうしかねぇ」
うしろにいたロボットは人間と大して身長の変わらないサイズの人型のロボットだった。
「行け!人型兵器アム!!」
後ろにいた人型ロボットはこちらに襲い掛かってくる。
「カイト!!」
肉壁として僕が呼ばれる。さきほど地面に叩きつけられたときに背骨にひびがはいったがもうすでに回復をしている。ロボットの拳が僕の目の前にまで来ていた。僕の顔面に拳がねじ込まれる。いつものやられやくの僕ならここで倒れるわけだが。今日は違う。
「おるぁぁ!!」
跳ね返すとまではいかなかったが倒れず耐えきる。
「僕だってやるときはやるんだ!!」
剣を構えてロボットに切りかかる。ロボットにとびかかる僕だがロボットは僕の目の前で手のひらを広げた。
僕の顔面に向かって炎が吐かれた。手のひらは火炎放射器になっていたそうだ。普通なら顔面が焼けるのだろうが、僕の感覚はもう麻痺しているのだろうか。熱さを感じない。やっぱり僕はだめなんだろうか。
「サンダーボルト!!」
ロボットに向かって雷が放たれた。だが、ロボットにはあまりダメージがなさそうだ。さきほどのメカメカしい装備とは別物なのだろうか。
「その機械はちゃんと作られているからな。電気の攻撃を受ければその攻撃はこいつのエネルギーになる」
ロボットはまだ僕への攻撃をし続ける。
「ただのパンチ」
アルベルトがロボットに向けて攻撃をする。あのテイマーを、そして僕を城壁を粉々にしたパンチだ。
「それも効かん。物理攻撃で粉砕されないよう頑丈に作っているのだ」
まさかのここにきてユキもアルベルトもお手上げの相手に出会うだなんて。もともと異世界転生者の人間を相手にしているからこのような事態にあうことがあまりなかったのだろう。
「剣はこうやってつかう」
ライルさんが腰におさめていた剣に手をかけた。僕がつかっている安物の剣とはちがってちゃんとした剣をもっていた。そしてそのままロボットに切りかかった。アルベルトのパンチでどうにもならないものを切ることができるのかが不安だったが、そんなのは余計な心配だった。普段からこの馬車の仕事をしているライルさんがロボット相手に戦ったことがないわけがないのであった。ロボットはすぐに切られてしまった。
「くっそう。ライル。またつぎこそは!!」
そういって男たちは逃げていった。
完敗だ。完全にライルさんのほうが僕よりも上位の存在じゃないか。ユキとアルベルトは完全に僕のことを見捨てただろう。僕たちは馬車に乗るが僕は完全に暗い気持ちでいた。
「カイト?どした?元気ないの?馬車酔い??」
ユキが珍しく優しいかんじで話しかけてきた。そんだけ僕は元気がなさそうにみえているのだろう。僕は胸の中にある想いをそのまま伝えた。僕はこのパーティに必要ないんじゃないか。ライルさんみたいな強い剣士がこの先必要になってくるんじゃないか。どうか僕をここで見捨ててくれ。
ユキとアルベルトは黙ってしまった。
「そんなことはないだろう」
沈黙をやぶったのはまさかのカイルさんだ。
「お前にはお前にしかできないことがある」
「そんなもの…」
「おれだったらあの攻撃をくらっていたら死んでいた。キカイスーツというものは今日初めて見たものだ。今日たまたまお前たちが客として乗ってくれたがそうじゃなかったらと考えると恐ろしい」
「でも、倒したのはユキだ」
「お前はどこまで愚かなのだ。お前が攻撃を受けているときにこの二人は相手をしっかりと観察していた。結果、キカイスーツの一部分に配線がむきだしになっている部分を見つけて雷で攻撃する方法を得たのだ。お前がいなければこいつらは適切な攻撃ができない。これはお前にしかできない仕事だ」
僕はライルさんの言葉に救われた。自分の存在価値というものを探し求めてしまっていたが、そんなものは自分で見つけられるものでなく他人から求められることで得られるものなのかもしれない。このときおれはライルさんにあこがれた。




