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森の魔女の後継者  作者: O.T.I


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02 使命


SIDE:メリア



 ああ、やっぱり『森の魔女』に会いに来たのか。


 だけど…彼に言った通り、森の魔女(ばあちゃん)は三年前に死んでしまった。

 とても悲しかったけど……まぁ、300歳オーバーだったって言うから大往生だろう。


 それ以来、私は婆ちゃんと暮らしたこの家で一人で暮してきた。

 ……いや、レヴィやチルル達森の仲間が一緒だったわね。






 さて、どうしようか。


 彼の尋ね人であった婆ちゃんは、もうこの世にいない。

 だけど、多分……その目的は私でも果たせるとは思う。



 でもなぁ……絶対厄介事よねぇ……

 う〜ん……取り敢えず話だけでも聞いてみようか…



「…もし良かったら、『森の魔女』に何を依頼しようとしてたのか、聞かせてもらえないかしら?」


「……そう、ですね。もはや隠す意味も無いですし……」


 かなりショックを受けていたらしい彼は気を取り直して、ここまでやって来た理由を話し始める。



「私は、さる高貴なお方に仕える騎士なのですが……そのお方のご息女が、病に伏せってしまわれたのです」


「……わざわざここまで来たと言う事は、ただの病気では無い、と言う事よね?」


「はい。何人もの医師に見せたのですが、全く原因がわからず。あるいは呪いなのではないか?とも言われ始め……。そこで、伝説の『森の魔女』であれば、治すための薬を調合できるのではないか……という事になり、私が派遣されたのです。まだ幼いご息女の命を何とか救いたい……そう思って」


 まあ、予想の範疇ね。


 ウチの婆ちゃんは、ありとあらゆる病を治す薬を調合できると言われる程の薬師(くすし)だった。



 だけど、その力を利用されることを厭い、こんな森の中で隠遁生活を送るようになったとか。

 さらに、この家の周りには結界が施されており、婆ちゃんが認めたものしか入ることができないようになっていて……それほどまでに徹底的に人目を避けていた。


 でも、時折外に出たときに街の人達の病気を治してたりしたので『森の魔女』なんて伝説が生まれたのだろう。





 取り敢えず話は分かった。

 彼の主……まぁ、貴族とか王族とかってことなんだろうけど、やっぱり厄介事にしか思えない。


 だけど…

 幼い女の子が命の危機にあると言うのを聞いて、放って置くなんて事は私には出来ない。


 ……まぁ、話を聞けばそうなる事は分かっていた。

 我ながらお人好しよね……



 だけど、そうと決めたからには善は急げだ。

 今の話だけでは何の病か…それこそ呪いなのかも分からない。

 急がなければ何時まで保つのかも分からない。



「グレン、私をその子の所まで案内してもらえるかしら?」


「…え?」


「私が診るわ。『森の魔女』はもういないけど、その知識と技は全て私が受け継いでいる」


 そう。

 私は、婆ちゃんから全ての知識と技術を教わっている。

 それどころか、彼女をして自分以上だとお墨付きを貰っていたのだ。



「!!ほ、本当ですか!?」


「ええ。でも、今の話だけでは対処方法が分からない。出来れば直接診察したいのだけど…」


「お、お願いします!!今直ぐにでも!!」


「落ち着いて。今日はもう日が落ちるし、体調が万全ではないまま森に出るのは危険よ。今は焦らずに回復に努めなさい」


「……分かりました。その…ところで…」


「?」


「このベッドは…」


「あら?寝にくかったかしら?私のベッドなんだけど…」


「そ、そうですか…すみません、占領してしまって!直ぐに退きます!!」


 何か赤くなってるけど、どうしたのかしら?

 だけど…ウチにはそのベッドしか無いし、彼にはしっかり体調を整えてもらわないと森を抜けられない。


「何言ってるの、回復に努めなさいって言ったでしょう。私の事は気にしないでゆっくり休みなさい。あぁ、その前に……もう少し症状について詳しく聞かせてもらいたいわ」


「わ、分かりました」




 そして、彼から聞いた症状。

 思い当たるものは幾つかあった。

 だけど、やっぱり厄介事かもしれない…そう思って内心ため息をつくのだった。









SIDE:グレン



 目的の人物…『森の魔女』に会うことは叶わなかった。

 それを聞いたとき、主より賜った勅命が果たせない……いや、それよりも幼い子どもの命を救えないことが悔しかった。


 だが、目の前の美しい少女は無情な事実を告げただけでなく、希望をも齎してくれた。

 見た目15〜6歳の……いや、もしかしたらもっと若いかも知れない少女が、数百年の時を生きた魔女の知識と技の全てを受け継いでいるという。

 普通であれば到底信じられないようなその話に、不思議と疑念は抱かなかった。

 彼女には…それだけの力があると思わせる不思議な雰囲気を感じるのだ。


 出来ることなら今直ぐにでも彼女を連れて戻りたかったが……冷静になれと諭された。

 逸る気持ちを抑え、今すべきなのは彼女の言う通り、体調を万全にすることだと自分に言い聞かせる。




 そして、俺はベッドに横になって眠りに就こうとしたのだが……仄かに香る甘い匂いに鼓動が速くなり、中々寝付くことが出来なかった。


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