3.約束
作者の都合です。10話まで投稿して、4、5日休みます。ごめんなさい。
最近忙しいものでして……嫌だよー家にずっといたいよー……まあ、何言ってもダメですが……
ということで、この小説の文句、アドバイス等などがありましたら感想にお書き下さい。目を通します。たぶん……(。-_-。)
ルアとテフの喧嘩から逃げた少女は今、階段の1番上から下までを1歩で降り、綺麗にふわりと静かに着地した。それに伴い、少し光を帯びていた体から少しずつ光が失われていく。
部屋から廊下までを1歩、それから階段までを1歩、そして階段を降りての1歩の計3歩で、1階へと到着した少女。時間にすれば2、3秒かかってないぐらいだ。最初以外は、床を壊さずに移動した。2歩目は、ひび割れた気がしたが、それは気のせいという事にして頂きたい。少し、力加減が難しいのだ、家の中ともなると……。
体の光が完全に消え元に戻った、力加減がルアと同じぐらいダメな少女が、こんな事をやってのけられるのは、魔法のおかげである。
そして今、少女の部屋から爆発音がしたのも魔法の……あ、終わった
どうやら、また結構な喧嘩をあの2人は繰り広げているらしい。何故だろうか。ここ3ヶ月ほどであの2人は急に仲良くなったかと思えば、それに反比例して、喧嘩が大きくなった。本当にやめて欲しい。いや、喧嘩するほど仲がいいというのなら比例か?
まあ、どっちでもいいか。
少女は、そんなどうでもいい事を考えて、左へ180度向きを変えながら歩き出す。
この家は小さいので、1階は食堂以外部屋がない。階段を降りて左手は廊下を挟んで食堂の扉が、右手は壁であり、階段の下には2階にいる魔女達が使う日用品が積まれている。ちなみに階段の正面も壁である為、行き止まり。
少女は、1階の廊下を歩き食堂の前、日用品が積まれいる前を通り過ぎて、扉の前へと移動する。食堂の扉ともう1つの扉。外へと続く扉だ。少女はその扉に手をかけて、開いた。
白い陽光が差し込み、少しだけ睡魔が蝕んでいた少女の瞳を脳を刺激する。少女は、目を瞑り数秒後目を瞬かせながら外の景色を視界にいれていく。それと同時に、睡魔は焼き切れてどこかへ隠れた。この感じは、何度味わっても好きになれない。少し嫌な感覚だ。
少女は扉を閉めると、向かい側の3階建ての石造りの建物を目指す。おそらく今、あのポニーテールの少女はあそこにいるはずだ。
20秒もしないうちに3階建ての建物に着き、少女は扉を開けた。
その建物の1階は、長机が6列置かれそれぞれに椅子が等間隔で配置されており、壁がない。1階丸々がそうなっている部屋というか、階だ。
その階で、皆が慌ただしく動き周り働いている。
そんな中、ポニーテールの少女は、少女が入って来た事に気が付き、わざわざ近づいて来てくれる。
「えーと、さっきはすいませんでした。それで、あの、少しお話がありまして……」
ぺこりと謝って、早速本題に入って来るこの感じは、もう嫌な予感しかしない。だが、しょうがない。
少女は視線だけで話の続きを促した。
「は、はい。出発の予定を2時間繰り上げる、との事です。あはは」
ポニーテールの少女は最後、力なく笑い疲れを滲ませた顔をした。この少女もここにいる皆も含め、色々大変そうでありそんな顔をされれば、文句の1つも出ない。それに、可哀想に見えてきてこっちが悪いような気がしてくる。
「そう……わかっ……た……ありが……とう」
「いえ、どんでもない。私は、上からの指示を伝えただけですから。気にしないで下さい」
少女がお礼を言うと、ポニーテールの少女は手を自分の前でじたばたと振って、少しだけ微笑を浮かべた。そんな表情がとっても可愛らしく、それを見て少女も少し笑顔になる。
「では、私はこれで失礼します」
また、ぺこりとお辞儀をした後、その場でくるっと回って元の場所に戻ろうとする。
そして、少女も戻ろうとして、さっきの誤解を解いていない事に気が付き、
「ねぇ……まって」
「何か失礼な事がありましたか?」
立ち止まって、振り返りながら発せられたその言葉に、少女は首を横に振って否定する。
「では、何でしょうか?」
「私は……別に……変な……事……してない……からね?」
「変な事?……あー、ルアさんとヤってた事ですね?」
「ヤって……ない」
少女がギロリと鋭い眼差しで睨むと、ポニーテールの少女は少し慌てながら
「そ、それぐらい分かってますよ?今のは、冗談ですから」
「そう……なら……良い……けど」
「あまり激しくすると、隣に聞こえちゃいますよ?魔法でそれを防いだって、周りは魔女しかいなのでバレます。ほどほどに、ですっ」
そんな言葉を残して逃げようとした、冗談が大好きな少女を魔法で引き寄せ、少し怒ったルアとヤってる疑惑がある少女が
「ねぇ……何……言って……るの?怒る……よ?」
「痛い、痛いです。もう怒ってるじゃないですか。許して下さいよ。あっ、やめ、そこはダメー許して、あッ」
ポニーテールの少女の頬をつねって、背中に手を入れた少女は、ある魔法を使った。それは、
「あー、ダメっ冷たい、冷たいです。いや、そんな、あー。もうらめー」
何やら色っぽい声を出して、目をパチパチさせている少女は、背中を冷されて地べたへと座り込んだ。
「はぁ、はぁ、ご、ごめんなさい」
「許す……よ……よし……よし」
暴れたせいで頬を赤く染め、涙目になって肩ビクビク震わせている少女の頭を、微笑みながら少しスッキリした顔の少女が優しく撫でる。
それから、10秒ほど経ち
「じゃ……また……ね」
少女は、少し落ち着いた冗談好きの少女に小さく手を振って、その建物から出た。
それと同時、少女の部屋の窓が木っ端微塵に砕けて散った。いや、正しくは窓を含めた壁か。
どうやら、まだ続いているらしい。いつもなら、終わっていてもおかしくはない時間なのに。
自分の部屋を一瞥して、はぁー、と少女はため息を吐き、面倒だが行かないともっと面倒な事になるので、自分の部屋へと向かう事にした。
部屋の前に着くと、ここに住んでいる魔女数名がルアとテフの喧嘩を少し引いた目で見ていた。
「痛いんですけど。どうしてくれるんですか?胸だけ大きい虫けらさん?」
「はは、胸も含めて全てが小さいボンクラさんが何んですかー?」
2人とも着ている服が煤で黒くなったり、破れたりとボロボロの状態で取っ組み合いをしている。
ルアは、意外にもあまり破れたりしていないが煤で黒く、テフはフードがだいぶ破けて頭の部分とお腹の部分に至ってはほぼなく、少しエロくなっていた。
そして少女の部屋だが、部屋の扉、ベッドは無事だがそれ以外はボロボロだ。別に直せるのでいいのだが、手間をかけさせないで欲しい。というか、何故周りにいる魔女達は、止めてくれないのだろうか?
「はっ、口だけの巨乳が。弱っちいくせに、一丁前に仲良くしてんじゃねーよ」
「ふふ、仲良くなれない可哀想な人が何を言ってるんですか?私はね、あなたと違って抱きしめられて、寝れるんですよ?」
2人とも距離を取りながら言い合い、ルアが虚空から自分の杖を取り出し、自分の周りに3つ冷たい蒼色の玉を出現させた。
それを見て、ルア以外の魔女全員の目の色が変わる。それはもちろん、テフも例外ではない。だが、
「私に勝てないからって強硬手段ですか?哀れですね?」
「あれー?この状況が分かってないんですか?今ならあなたをぶっ殺せるんですよー?強かってるだけの貧乳さん?」
テフがさらに煽りを加えルアを挑発する。これは少しやばい展開になって来た。だが、少し都合がいい。
少女は野次馬の魔女達に少し鋭い視線で
「もう……終わ……り……帰って……ね?」
魔女達もこうなれば、少女が止めると分かっているのだろう。少女の言葉を聞き、魔女達は文句は言わないが少しつまらなそうに、自分の部屋へと散って行く。
少女は、皆が部屋に入ったのを確認して、自分の部屋の扉を閉めた。
そして、ルア、テフを交互に見て
「もう……喧嘩……は……終わり」
少し重く鋭い声色で言ったのだが、2人は
「この喧嘩は、私とルアの喧嘩です。もう少しで終わりますから。大丈夫です」
「そうですよ。私が勝ちますから、待っていて下さい」
2人とも少女の言葉に反抗して、喧嘩をやめなかった。そんな2人の様子は珍しく真剣で、少し驚いた少女は言葉が出てこず、少し黙ってしまった。
少女はこういう時、どうしていいのかが分からない。
こんな状況は初めてで、2年前にこの2人と出会うその前までは、1人だった少女にはどうする事もできない。ただ、分かることは喧嘩をする事は時々あるが、今回は異常だ。ルアがテフに魔法を使う事を初め、なんだが違和感がある。
何故だろうか?少しだけ心の中がモヤッとする。
嫌だ。喧嘩をする所を今まで何度も見てきたが、今回はすごく嫌なのだ。理由は分からない。けど、心が少し何かに怯え、震え出す。その震えが体全身を駆け巡り蝕んだ。
テフも虚空から杖を取り出して、とても熱い光を放つ白色の玉を3つ出現させた。
今にも殺し合いをしようとする2人。そんな光景が、少女にとって酷く歪で、耐えられなかった。
「ねぇ……やめて……よ………お願い」
少女の体を蝕んでいた震えと怯えを、何とか押さえ込むようにして発した言葉だったが、最後の方は声が震えてしまい怯えていた。少女は俯き、ひどく弱々しい小声で
「……もう………やめて……」
弱い所を見せてはダメだと思いながらも、そう言葉を零した。自分でも手が、声が震えているのなんて分かっていた。今の、少女はとっても弱々しい年相応の少女だ。だが、言わないといけない気がしたのである。
そんな、少女の言葉を聞いた2人、テフは少しオロオロしながら、ルアは目を見開き一瞬絶句しながら魔法を解き、顔を見合わせる。そして、
「ご、ごめんなさい。少しやりすぎましたね。この部屋、な、直しますから、ね」
「そ、そうですよー。そんな、顔せずにほら、抱きしめてあげますっ」
テフが焦りながら少女の部屋を直し始め、ルアが少女を抱きしめる。
だが、何故だろうか?ルアは一瞬少女よりももっと大きいなひどい怒りと深い悲しみが混ざったそんな表情をした。怒っているのも悲しんでいるのもそれはおそらく自分と少女にだろう。そんな事は直ぐに分かった。
けど今、そんな事はどうでもよかった。テフが焦っているのが、ルアが抱きしめてくれるのが心地良くって、少女は2人に
「次……喧嘩……したら……許さ……ない……から」
いつの間にか、震えも怯えも消えた声色で、少し悪戯っぽく笑ってテフを魔法で引き寄せ、ルアとテフを思いっきり、抱きしめた。
1時間に1話投稿になるはずです。よろしくお願いします。
家でゴロゴロするのも後ちょっと……あー、嫌だよー
ノォォ━━(゜д゜;)━━ッ!!!!