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なろラジ大賞2 応募作品

サラリーマン

作者: 海堂直也

am06:00 家を出た私は鼻から冷たい空気を吸い込むと、上を向いて口から出る白い息を楽しむ。


夜の名残と昼の装い、空には沢山の色が混在している。この不思議な空模様が拝めるなら、出勤するのも悪くない。


数週間前から、早めに家を出ている。初めは混雑を避ける為だった。今は少し楽しみが増えてきた。


am07:13 職場とは反対の改札を出る。良い香りがする。まだはっきりと目覚めていない頭に丁度良いパンの香り。店に入ると耳にすっと届く店員の挨拶。元気過ぎず心地良い。クランベリーチーズ・クロワッサン・カプチーノを二階席で楽しむ。


am07:42 オフィスでニュースとメールをチェックしながら、お気に入りの音楽を楽しむ。 


am08:10 人が揃い始める。この朝の様子が面白い。それぞれパターンが決まっていて、性格がよく表れている。人間観察を楽しむようになるとは思ってなかった。


am08:25 朝礼が始まる5分前。今の私には解る。この時間に慌ただしく出社して来るようでは、まわりからの評価は上がりにくい。意味が無いと思っていた朝礼も頭に入ってくる。


一様に仕事に向かう人達にも個性があって、職場には多様な色が混在していた。染まってしまう事に嫌悪していた自分に嫌悪感を持てるようになった。


捉え方一つで世の中が違って見える。早起きは三文以上お得だ。


pm06:58 電車の中で人の波に呑まれる。普段の生活では有り得ない姿勢を久しぶりに楽しむ。


そこに落ち着きを感じる私が居る。






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― 新着の感想 ―
[一言] 映像がとても目に浮かびました! 朝礼のくだりは、思い当たるような節もあり 思わず背筋が伸びるような・・(苦笑) 朝が苦手な私ですが「ちょっと頑張ってみたら 良いことあるかも」と思わしてくださ…
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