表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捻くれ者の空  作者: セン
1/1

リアルとは別のコミュニティ

その日俺は穴を掘っていた。

別に富士の樹海に人を埋めるとかではなく、長年飼っていた愛犬のミルが寿命を迎えたので庭に埋めるのだ。

本来は火葬した方がいいのかもしれないが、俺は正しい手順なんて知らないし、今はまだ別れたくなかった。

ミルと出会ったのは親と喧嘩をして家を飛び出した社会人1年目で、ずっと家族と暮らしていた俺が1人の辛さに参っていた頃だった。

仕事終わりに橋の下にダンボールが、というベタな展開だった。

都会のことは知らないが、俺の住んでいる地域ではまだ河原に入ることができる。

綺麗な白い毛並みをしていたのでミルと付けた。ミルクのミルだ。

出会った時には既にそれなりのおっさん犬だったようで、まだ5年しか一緒に生活していないのにもう逝ってしまった。

失って初めて大切なものはわかるとよくいうが、俺はミルがいなくなって初めて俺がミルにどれほど依存していたのか知った。

社会人になってから毎日欠かさず付けている日記を見返しても、ミルの話題がない日は数えるほどしかない。

夕食を食べる時、テレビで犬の特集をしていた時など、ことある事に思い出してしまい、俺は精神的に疲れてしまった。

友人や先輩は「早く忘れた方がいい」と言ってくれるが、自分には簡単に忘れることなどできない。幼稚な考えだと理解しているが、俺が死ぬまでは待っていて欲しかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ