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第6話 模擬戦

 私は太一と真琴に連れられ、雑木林の中を歩いていた。


 真昼間ということもあり、気温が高く汗が噴き出す。


 太一「さあ、ここなら大丈夫だろう。」


 雑木林の中にこんな開けた場所があったのか。


 よく見ると、地面に穴が開いていたり、大木が倒れていたり、激しい戦闘でもあったかのようだ。


 太一「やろうか。」


 二人は一定の距離を取り、見合った。


 私は槍を模した竹棒を、向かい合う太一は一見素手に見える。

 

 太一「ここはトレーニングエリア。舞は槍使いなんだね。俺は素手だ!」


 舐められているのか…?私は少しむっとした。あと舞と呼び捨てにされたことにも。


 舞「素手とは、少々手加減しすぎでは?」


 太一「ああ、違うんだ。僕はこの拳が武器だからね。」


 言っていることがわからない。


 だが、顔は真剣そのもの。


 舞「…分かりました。」


 真琴「お二人ともっ!ケガだけは気を付けてくださいねっ!」

 

 真琴が審判の役割をしてくれるようだ。

 

 真琴「はじめっっ!」


 バチッ…


 太一が消え…


 私は槍の柄をつかまれていた。目の前で太一が不敵な笑みを浮かべている。


 太一がいた地面は大きく抉れていた。


 太一「一本ね。油断はだめだよ。」


 舞「もう一回です!」


 私はむきになってもう一度勝負を挑んだ。


 さっきのが実践だったら私は一度死んでいただろう。


 冷静になれ、私。


 太一「オッケー!舞、今度は最初から集中するんだ。」


 舞「…」


 集中…地形を頭に入れ、太一以外の存在をシャットダウンする。


 真琴「はじめっっっ!」


 一瞬で太一が距離を詰めてくる。


 速いっ!

 

 私は槍のリーチを生かしつつ最高速の技である突きで応戦。

 

 太一は右の掌で槍の刃部分である”穂”の位置を避け、器用にはじく。


 とんでもない動体視力だ。


 攻撃はしてこなかったので、左足でハイキックを繰り出した。


 太一は体を回転させるように躱し、その反動で右の裏拳を繰り出す動作。


 私は槍の持ち手の上の柄で攻撃をガード、槍の下端にあたる”石突”の部分で太一の横っ腹を打とうとした。


 次の瞬間”視えなく”なった。


 今度は私の後ろに移動していており、私は左腕を後ろへ組まれ、彼の右腕で私に後ろから抱き着くような形でがっちり押さえられた。


 動けない…


 真琴「お二人っ!すごいですっ!!太一くんの速さについていくとはっ舞さん素晴らしいですっ!!」


 太一「ごめんね!舞が思ってたよりずっと強くて、つい能力使っちゃよ!」


 能力…?突然消えたあれか…?


 舞「あの…胸、当たってるんで放してもらえます?」


 太一「わっ!!ごめっ!!そんなつもりじゃ…!!」


 私の本気の拳が太一の顔面に炸裂する。


 なぜか、無性に苛々してしまい、余計な事をしてしまった。


 真琴「舞さんっ!一本っ!」


 太一「そんなのありかよぉ…」


 そう言って太一は、気絶した。


 真琴「やりましたねっ!舞さんっ!太一くんから一本取るなんてすごいですよっ!」


 私が卑怯な手を使ったことに真琴は気づいていない。


 少しバツが悪くなったので、話題を変えることに。


 舞「…ここにいる人達はみんな能力者なのか?」


 真琴「いえ、部長と巡査部長は能力を持っていないですよっ!でも、あのふたりがこの部署では圧倒的に強いんですよこれがっ!」


 すごいな…あの吉野太一よりも圧倒的に強いとは…


 太一は途中まで能力も使わず、右手だけでいなされた。


 部長である黒田玲には会ったが、巡査部長…いったいどんな人物なんだ?


 舞「ん…?部長…?あのご婦人も強いのか!?」


 真琴「そうですよっ!部長は巡査部長の育ての親で、彼の師匠なんですよっ!」


 私は改めて、とんでもない所に来てしまったのだと自覚した。


 あの太一ですら、敵わない存在。戦慄さえする。


 木陰から、一部始終を眺めている人物がいた。


 黒いスーツに黒いコート、黒田二色だ。


 二色「…」

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