同窓会で――君に会いたい
泥酔した宮前公裕は、どうやって帰ったかすら思い出せずにいた……。
同窓会で――君に会いたい
目が……覚めた。
あれからどうなったのか……記憶がない……。
飲み過ぎたわりに、頭を振っても痛くなく、目覚めも悪くなかったが、汗でシャツが湿っている。
慌てて枕元に置いてあったスマホを手に取り、乃中の連絡先を探す――。
アドレスが複雑な記号と文字だったり、……長かったから、酔いつぶれて正しく入力されているかどうか不安だった。
一文字でも打ち間違えていれば、繋がらない――!
――不安は的中した……。
乃中のアドレスどころか……変わった彼女の苗字、名前すら入力されていなかったのだ。
目を閉じて歯を噛み締めた――。くッそ――!
見慣れたクーラーと、遮光性の悪いカーテン。
酔いつぶれた俺は、タクシーで実家にでも運ばれたのかと思っていたのだが、……ここは実家ではなく、俺の安アパートだ。
どういう事か分かるまで、数分を要した……。
――夢だったのか――。あの同窓会も……みんなとのやりとりも――。
またくだらない……。
夢を見てしまった……。
体を起こして、現実へと頭を切り替える。小さな洗面台で、何度も何度も顔を洗った。
……それにしても、リアルな夢を見てしまったものだ……。今でも口からおでんのゲップが出せそうだ。串に刺さった鳥皮の煮込みなんて……今まで見たことも食べたこともないのになあ。
必死にスマホをテーブルに取りに行った俺の慌てよう……、思わず笑ってしまう。
アパートの郵便受けに入れられた朝刊を引き抜くと、新聞に紛れて昨日取り忘れていた小さな封筒が床に落ちた。
――同窓会の案内状――!
封筒に、汗が伝い落ちる……。
淡い期待を胸に俺は、早速封筒を切り開く。しかし、会場はおでん屋などではなかった――。料金は一万円。やはり高い……。
だが……今年は……行ってみるか……。
封筒を大切に押し入れの中の小さな棚へと片付けた。
乃中は……結婚しているのだろうか?
ご愛読ありがとうございました。