1異能力戦争
「おい起きろ、朝だぞ」
誰かが僕の体を揺すって眠りを妨げてくる。
「待ってもう少し。後五分……」
「いいから起きろって、人が来てんだよ」
「人?」
僕は直ぐ様立ち上がり、欠伸をしながら背伸びをすると、コンクリートだらけの部屋を出て、僕達は横の階段を下り始めた。
現在僕達が住んで居るのは、無人の廃墟ビル。これと要った物は無いけど、誰も居なくて静かだし、僕的には凄く気にっている場所だ。
「それでフロイス」
「何だ?」
「人って誰が来てるんだ?」
「希美」
「あーー」
階段を降り、外に出ると目の前に、勃然とした表情の希美が立っていた。
「またこんな所に居たの?」
希美は、そう言いながら少しずつ歩み寄ってきた。
「こんな所とは酷いな。静かで結構気にってるのに」
「静かだから気にっているの?」
「ああ」
「そっか……」
希美は悲しそうな表情で俯いた。次の瞬間、頬に強い衝撃が走った。いきなりの出来事に尻もちを着いた。
「嘘だよ!拓斗は世界が融合する前は、すごく明るくて、みんなの中心だったじゃん!なのに何で今はみんなの元に居てあげないの!?」
希美はそのまま崩れ落ち、泣いてしまった。
確かに以前の僕は、学校のクラスの中心で、誰からも慕われてた。でも、だからと言って皆の元に帰って過ごしても、裏世界から来たもう一人の僕、フロイスを受け入れてくれるだろうか?答えはNOだ。
今現在、表の住人と裏の住人は、敵関係にある。お互いの世界の融合の所為で、自分の家族や友達を失ってしまっているからだ。それが相手側の所為だと勘違いしている。
原因を突き止めない限り、皆は耳を傾けてはくれないだろう。だから……
「希美」
「……何?」
「今日も一旦帰れ、俺たちも出かける所があるから」
「……また来るから」
希美はそう言うと、立ち上がりその場から立ち去っていった。
「フロイス」
「何?」
「直ぐに荷物纏めろ」
「食料でも取りに行くの?」
「いや、家を探しに行くんだよ。もう此処じゃ、希美にバレバレだからな」
僕達の新しい隠れ家を探して、かれこれ七時間位経っただろうか。一向に見つかる気配がない。
「それにしても、いつ見ても異様な光景だよね。」
フロストが話題を持ち掛けて来た。
「そうだな。壊れ掛けの建造物に巨大な木のツルが巻き付いてるんだもんな」
「俺から見たら、その建造物が凄く異様だけどね」
僕達が隠れ家にしていた場所のエリアは、辺りは崩れ落ちた建物の瓦礫で埋め尽くされているが、僕達が今辿り着いた場所は、辺り一面草や花が咲いているウィザードエリアいう所だ。
噂ではこのエリアに、生き残った裏世界の住人であるエルフ達が、暮らして居ると言われている。
「とりあえずもうそろそろ日が暮れるから、其処ら辺で野宿しよう」
「了解」
僕達は野宿できそうな場所を探しにまた歩み始めた。