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筒抜け

 ――二日目深夜、ハルカ奇襲時、テツヤとレイジ周辺の出来事。


 ガラスの割れる音が彼らの耳にも届いた。


「……早速始まったみたいだなあ」


 レイジが不敵な笑みを浮かべ、窓の外を眺める。


「ああ。僕らも実行に移ろう」

手筈てはず通りに、か……」


 テツヤは窓の外へ氷の塊を無数に生成し、レイジがそれを音のした方向へ一斉に向かわせた。


「しっかしよお、まさかこんな方法で音を拾うことができるなんてな」

「温度差によって音は屈折するんだ。ただでさえ誰もいない町内は音が響きやすい。これで充分聞き取れるだろう」


 そう言い、二人は聞き耳を立てた。


「……静かだな。っと、今度はあっちから音がしたぜ?」

「獲物に逃げられたのか? 急いでそっちに氷を回してくれ!」

「了解」


 レイジは不敵な笑みと共に氷を移動させた。

 そして……。


「……聞こえたな。女の悲鳴」

「静かに。もう一人のプレイヤーの声も聞こえるかもしれない」


 テツヤは口元に指を立て、耳を傾ける。

 その数秒後……。


「聞こえた。トウヤの声だ」

「ああ、俺にもはっきり聞こえた。うそだ、って叫んでたな」

「おそらく、殺しておきながらその現実を拒絶しているのだろう。それにしても、この状況下で叫ぶなんて相当頭が悪いな」

「おかげでこっちは情報を得ることができたぜ。あー、早くあいつらをこの手で引き裂いてやりたい!」

「まあそう急ぐな。まずは敵の能力を知ることが先決だ」


 そう言い、テツヤはメモへと情報を書き足した。


「それにしても、最初はどうなることかと思ったが、お前が話を持ちかけてくれて助かったぜ。テツヤ」

「ああ。お互い、一人で戦うよりその方が得策だからな」


 テツヤは先日の朝のことを思い出していた。



 ――初日、テツヤ周辺の出来事。


「……極めて非科学的なことだけど、どうやら本当のようだね」


 ルール説明が終わった直後、テツヤは火と氷の球体を生成し、揺らした。


「それに、君の言う通りだ。この能力で僕のオーダーは合っているよ。何か一つ魔法が使えたとしたら、火や水などを操れる力が一番強い。それは一見して単純な攻撃にしか使えなさそうだが、僕にかかればたちまち変幻自在な効果を生み出せる」


 テツヤの語りに抑揚のない声は応答しない。


「意外かな? こんな僕でも、魔法が使えたらと一度くらい考えたことがある。もしそんなことができたなら、オサムに反撃してやれるのに! ……ってね」


 トウヤが転校してくる以前、ガリ勉であることを理由にテツヤはオサムにいじめられていた。

 テツヤはそのことを未だに恨みつつも逆らうことができず、いじめっ子の一員にさせられていた。


「もう話してくれないんだね。まあ、僕をこのゲームに招いてくれたことには感謝するよ。さて、それじゃあ戦闘禁止期間らしいし、今の内に接触しておこうかな」


 テツヤは家を出て、身をひそめつつレイジの家を訪れた。


「……ったく、何だよテツヤ。まだ7時50分じゃねえか」


 チャイムに呼び出され、目が半開きのままレイジがドアを開けた。


「もう7時50分だ。登校日だったら遅刻してるぞお前」

「ああ? 今日は平日だから学校あるだろ?」

「やれやれだ。君はまだ自分の置かれた立場に気づいてない」

「どういうことだよ……?」

「テレビを見ればわかる。とりあえず上がらせてもらうぞ」


 返事を待たずに押し入るテツヤの後を、頭に疑問符を浮かべつつもレイジが追いかけた。

 そして、ルール説明の後……。


「……何だこれ? ドッキリか何かか?」

「疑うのなら試してみればいい。お前に与えられたそのポルターガイストを発動することによってな」

「冗談がきついぜ。それじゃあ、お客様にジュースでもいでやるとするか」


 そう言ってレイジは笑いながら冷蔵庫を見つめた。

 すると……。


「……う、うそだろ?」


 レイジの思い通りにコップもジュースも動いた。


「はい、どうも」


 テツヤは目の前まで運ばれたそのジュースを受け取った。


「お、おい……。お前、どうやってこんな盛大なドッキリを……」

「まだ言うのか? 俺たちは殺し合いのゲームに超能力者エスパーとして参加させられたんだ。それとも……」


 テツヤは一呼吸置き、それから不敵な笑みを見せた。


「お前、現実を直視するのが怖いのか?」

「怖い?」


 レイジはその言葉を受け、腹を抱えて笑い出した。


「そんなわけあるかよ。もし、もしもだ、これが本当のことだったとしたらよお……」


 レイジは拳を強く握りしめた。


「散々俺らをかわいがってくれたオサムの野郎をよお、この手で見るも無残な死体へ変えてやることができるんだぜ!? これがうれしくないわけねえだろうが! 俺はずっとあいつを恨んでいたんだからなあ!」

「そうか。なら目的は一致したな。どうだ? 僕と組まないか?」

「ああ、そうだな……」


 二人は握手を交わした。


「約束したもんな。お前と俺は、何があっても裏切らねえってな。お互い、いじめられていた期間も同じ。いじめっ子側に回ることになったのも同時!」

「そう。いつまたオサムに酷い目にあわされるかもわからない。だから君と僕はせめてお互いに裏切らないようにとちかった」

「ちゃんと覚えてるぜ。けれど、最後に二人だけ残った時は、どうするつもりなんだ?」

「大丈夫だ。あの声は敵を全て殺せと言っていた。僕らが敵同士じゃないことをわからせればきっと解放される」

「そっか。じゃあ、俺たちの敵は……」

「僕らをいじめていたオサムたち全員。それと、僕らに敵意を抱いているトウヤだ」


 二人はオサムたちを思い浮かべ、恨みで心を満たした。


「さて、それじゃあ早速準備に移ろう。まずは学校を拠点とし、他のプレイヤーの能力を割り出す」

「いいのか? 学校は敵も本拠地にしようと考えてくるかもしれないぜ?」

「大丈夫。僕らの能力は用途が広く、かつ強力だ。対策は非常に立てにくい。一方で、他のプレイヤーの能力はわかってしまえば対策できるかもしれない。だったら、接触を避けなくてもいいということになる」

「なるほどな。それじゃ、行こうぜ」


 二人はナイフと包丁を忍ばせ、学校へと向かった。

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