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デュアルカンパニー潜入!

 その頃、デュアルカンパニー地下では……。


「どうしよう……。失敗しちゃったよ!」


 タイチが焦りを顔に浮かべながら、学校の保健室にいるドッペルゲンガーへと呼びかけていた。

 すると……。


「心配するな。すぐに向かう……」


 ドッペルゲンガーは躊躇なく自らをナイフで突き刺した。


「そんな……! 何もそこまでしなくたって!」


 ドッペルゲンガーのあまりの行動に、タイチは悲痛な叫びを上げた。もちろん、そう指示を出したのは彼自身なのだが、その反応リアクションにうそや演技は微塵みじんもない。何しろ、その命令を下したのは叫びを上げた方のタイチではなく、もう一人のタイチであり、今はドッペルゲンガーへと投影している人格だからだ。


「自分を刺すなんて、そんな……」

「今更何を言っている。俺は刺されても平気だ。死なないし、痛みもない。だからこそ安心して奇襲に向かわせられたわけだし、今もこうしてここへ戻ってくることができた」


 タイチの目の前に戻ってきたドッペルゲンガーは主張した。


「でも……怖くないの? 自分を殺すなんて、考えただけでも恐ろしいよ……」

「俺は死なない。もし死ぬことがあるとすれば、それは本体であるお前が死んだ時だけだ。ならば、自分を犠牲にしお前の元へ駆けつけることは理に適っているだろう」

「理屈とか、理由なんかじゃないよ。僕は君の立場でも同じことができそうにない……」

「まあ、俺はお前の望んだ強い自分だからな。お前にできなくても、俺にはできる」


 そう言うと、ドッペルゲンガーは頼もしい笑みを見せた。


「……僕にも、君みたいな強さがあったらよかったのに」

「いらねえよ。お前はお前のままでいろ。それでどうしようもなくなった時には、俺がいつでも駆けつけてやるよ。元の世界に戻ろうともな」

「……そっか、ありがとう」

「礼なんかいらねえよ。これは俺の使命だ。俺はお前を守るためだけに存在している。だから、気にするな」


 ドッペルゲンガーはタイチの肩を軽く叩いた。

 タイチもそれに応じ、ゆっくりと頷く。


「うん、わかった。それじゃあ、おそらく今からトウヤたちが攻め込んでくるから、僕を守って」

「言われなくてもそのつもりだ」


 ドッペルゲンガーはナイフをちらつかせた。


「奴らは俺を殺さず無視して学校から消えた。もし、まだお前の居場所特定に至ってないなら、もう一度俺を刺して捜索そうさくに利用したはずだ。逆に言うと、そうしてこなかったということは、既にその必要が奴らにはないってことだ」

「僕も同じ考えだ。トウヤたちは間違いなく来る……!」

「安心しろ。絶対守ってみせるから」


 そう言って、ドッペルゲンガーは影へと消えた。


 一方、トウヤたちは……。


「どこから調べる?」


 サヨが階段前でトウヤに問いかけた。


「わざわざ拠点に選び隠れているわけだから、きっと内部構造はタイチの頭の中に入っているんだと思う。だとしたら、電気さえ消してしまえば暗闇へと紛れられる地下を選ぶ気がする」

「そうね。それがタイチにとっては地の利を生かした最善の戦い方になるわ」

「だから、まずは入ったら電気を点ける。普通、スイッチは入り口付近にあるはずだから」

「入った時や電気を点けた瞬間は襲われやすいから気をつけて。それと、忘れていそうだから言っておくけど、どこかに平然と変身能力者が紛れ込んでいる可能性もあるから、充分に注意してね」

「そうか、それもあるのか……」


 驚異となり得るのは変身能力者のカオルだけではない。他のプレイヤーの中にも紛れ込むのに適した能力を持った者は存在しており、実際今まさにそれを実行し、様子を窺っている目が存在した。

 だが、トウヤは現時点でその存在はおろか可能性にすら気づいていない。地下への奇襲に思考が集中しており、その他の考えはおろそかになってしまっていた。


「……それじゃあ、行こうか」

「ええ」


 トウヤたちは携帯のライトを上手く使いながら、階段をゆっくり下りていった。

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